銀色夏生  「恋が彼等を連れ去った」  (幻冬社文庫)

 

夢のほとんどはかなわないと

知っている僕は

強く願えば夢はかなうなんて

決して

冗談でも言わない

 

夢のほとんどは

かなわないと

言うと

君は

悲しい顔をする

 

でも

夢はかなうと思っていた頃よりも

今がずっと

自由だよ

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

白い雪はいくたびも

季節をおおいつくす

 

雪の影は青い

冷たく

はかり知れない

 

傷つけば救いがたく弱くなるくせに

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

どんな小さなことでも

恋とか恋人とか愛などを

連想させるすべてから遠く離れたい

すこしでもそんなニュアンスをもつものが耳にはいると

今の僕は心が暗くなるから

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

毎日毎日眠れないから

どうか今夜は眠れますようにと

神様にいのる

もしいるのなら

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

「幸運な失敗」

失敗も成功も

同じように僕を

目的へと近づけてくれた

階段のひとつだった

 

もしあれが成功していたら

今の僕はないだろう

どこか別のところへ

行っていただろう

 

たとえば

幸運な失敗

というのもある

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

人は出会い

人は別れる

続く人もいれば

終る人もいる

 

窓ガラスをつたう

雨のしずくを見てるとわかる

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

殻にとじこもりたい

海底の貝のように

殻にとじこもっていたいのに

いつもだれかが邪魔をする

殻にとじこもって

思いに深く沈みたい

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

お別れに愛をあげましょう

ダイヤモンドのように堅く

アメ玉のように甘く

虹のように七色の

涙の形のお別れに

≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡

POEM

HOME

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送