様々な意味を込めて魔女と呼ばれた。
それも当然と、甘んじて受け入れるだけの覚悟と心持ちはあった。

だが、本音は常に別のところにあり、8年前のままの少女は心の片隅で違うのだと膝を抱えて泣いていた。


(大丈夫――)


そんな、本当の彼女を見つけてくれたのは麦わら帽子を被った海賊のクルーたち。
勇猛果敢なかれらに囲まれ、安寧とするわけではないが時には守られてもいいのだと遠くに近くに言葉以外で告げられる。

――心底嬉しいのに、慣れないせいかどこかこそばゆい。

正直、ナミはそう苦笑するしかなかった。





   Tiny Memory





広大なグランドラインの海では、固定された陸地のように決まった気候の下にあるわけではない。
春島なら春島の、夏島なら夏島の季節がある。

その雑多な海を航海するかれらにとっては、カレンダーの示唆する通常の気候は当てにならなかった。
8月の真っ盛りに豪雪に遭い、4月の最中に紅葉を狩る――そんな海に於いて、それぞれの島にいた頃の季節感覚は驚かされることの連続だった。

日誌をつけながら、ふとナミはカレンダーを顧みる。
村を出てからというもの、通常の人の何倍もの冒険を潜り抜けて来たが実際はそんな何年も経過したわけではない。
今年も何とか自らの歳を重ねる日が近づいていることに気づき、ナミはふと苦笑するように羽ペンを持つ手を止めた。

いつもなら何とか生き延びたと苦痛じみて思うところだが、今年はそんな風に自虐的になる必要はない。
それどころか、両手を上げて歓迎してくれるクルーたちの存在が嬉しくてついつい頬が緩む。

普段から「好きな物はお金とみかん!」と公言して憚らないナミだが、本当のところ一緒に旅をするかれらにそれを求めようとは思っていなかった。

もちろんこの広い海には大小様々な海賊も数多くいるわけで、それらと遭遇すれば遠慮会釈なくお宝争奪戦に突入する。
戦利品はきっちり頂き、それをどう分配するかは船の財政をも管理する者としては当然の措置を取ることにもなる。

だからナミは、口で言うほどそういった意味ではかれらに期待はしていなかった。
それ以上のものを貰っていると、素直な気持ちでは感じているからだ。

もちろん照れ臭くて、そんな言葉を口に出して言える筈もないが。

(どうせ貧乏海賊団だもの、あいつらの懐には期待してないわ)

くすくすと楽しげな笑みが口許に浮かぶ。

かれらはかれららしく、そこにあってくれればいい。
自分を救い出してくれたあの頃の気持ちのまま、ずっと傍にいてくれるだけでいい。

そう思ってはいても意地と照れが見事にタッグを組んでとても口に出せる筈などなく、表面上では「誠意はお金で表してね」などとうそぶいてやるのが常だった。





書き物に一段落つけて甲板に出ると、いつもの見慣れた光景があちこちで展開されている。
メリーの船首にはルフィが座り、キッチンではサンジがおやつの支度中らしくいい香りが漂って来つつある。
デッキの中ほどではウソップ工房とチョッパー製薬所が軒を連ね、パラソルの下に広げたデッキチェアにはロビンが分厚い歴史書を開いている。
ガチャガチャと鉄塊がぶつかる音がするので、ここに姿の見えないゾロは後甲板の方で鍛錬中なのだろう。

毎度の光景に目を細め、手首に嵌められたログポースの指針を確かめる。
まっすぐ前方を指し示して揺るぎないそのひたむきさは、その船首にいるキャプテンそのものを表しているようにも思う――良くも悪くも、というのが難点だったが。

風向きと方角を確認している姿に気づいたのか、ふとルフィが180度顔だけ振り返った。

「おうナミ、そっち終わったのか」
「ええ、後は次の海域に入ってからにするから――って、あんたいくらゴム人間だからってそれは気持ち悪いわよ、やめてくれない?」
「そっか〜? 身体と頭に当たる風向きが違って感じられるから、俺としては面白いんだけどな」
「見てる方は気持ち悪いんだってば」
「そっか? ならナミもやってみっか?」
「できるかッッ!!」

クリマタクトの先で問答無用に眉間を刺し、堪らずルフィは悶絶して甲板に落ちた。

ふと視線を感じて振り向けば、凍りついたような面持ちでウソップとチョッパーがその一部始終を見つめており、目線が合った瞬間一方はケチャップ星を胸元にぶちまけ、もう一方はガードポイントになって毛玉と化した身体を震わせた。

「何よあんたたち、何気に失礼じゃない?」
「「ひいいい、ごめんなさいい〜〜ッ!」」

「おらクソギャラリーども、何ナミさんに絡んでんだ! は〜い、麗しのレディたち、おやつですよ〜。野郎どもは勝手にキッチンに行きやがれ! クソマリモにも知らせてやんねぇと、全部ルフィの胃の中だからな」
「「「へ〜〜い♪」」」

タイミング良くサンジがトレイに淡い色合いのムースゼリーも持って現れ、甲板にいた3人はこぞってキッチンへと駆け込んで行った。

特別仕様に盛りつけられたグラスをパラソルの下のテーブルに置き、振り返ったサンジがナミのことも呼ぶ。
すぐさま席が設けられ、麦わら海賊団の美女双璧は見た目にも爽やかなデザートに頬を緩ませた。

「そういやナミさん、次の島にはあとどのくらいで着きますかね?」
「ん? そうねぇ・・・この風向きと波の速度からすると、明後日になるかしらね」
「あー・・・明後日、ですか。どうにか明日中には辿り着けませんか? その、せめて日付が変わる前に」
「どうあっても無理なのかしら、航海士さん?」
「なぁに、ロビンまで。そうねぇ・・・まあここで海王イルカの波状攻撃を10発くらい喰らうか、突発巨大サイクロンの追い風でも受ければ明日の夜くらいに着けなくもないでしょうけど。そんな偶然はまずないから、やっぱり明後日ね」

憂愁の色合いを含む風に指針が揺らぐことはなく、それはピンと前を指している。
それはもう、次の島の気候区域に入り込んだことを暗に示していた。

「どうしても、駄目なんですか」
「ええ、こればかりはね。ま、以前あの巨大ガメから逃げた時みたいに、男連中総出で一昼夜くらいオールを漕ぐ覚悟があるんなら、あるいは奇跡的に着くかもよ?」

もちろんそんなことをするのは無意味だし、何を示唆してそれに食い下がるのかも判っているので、ナミは込み上げる笑いを堪えながらもそれ以上の追撃はやめた。

言われずとも判る。
きっとこそこそと他の全員で何かしら示し合わせ、ナミの誕生日を祝おうとしているのだろう。
祭り好きのルフィがこんなイベントを見逃すわけもなく、大いに飲み食いできる機会となればゾロすらもやぶさかではなく協力するに決まっている。

「何だナミ、明日に着かないのかー? せっかく宴会できると思ったのになー」
「やだ、もしかして食料底をついてるの?」
「いえいえ、ナミさん! 今回は死守しましたから、何とかあと3日は持ちますよ。でも、やっぱり場を盛り上げるだけの食材には少々花が欠けるのは否めませんね。いえ、もちろん全力で腕を振るわせてはもらいますが」

そうは言っても、通常モードのサンジの料理でも十分美味しいので、わざわざ豪華にしてもらわなくともいつも満足はしている。
それでは気が済まないのがサンジのラブコックたる所以だった。

「そ、それに、この間出喰わした海賊団、威勢の割には全然ショボくてよ、ロクなお宝持ってなかったじゃねーか。お陰でこっちの懐はさして潤ってねぇしよ」
「ここんとこ、ログに従って寄った島って無人島多かったしな。食料や薬草散策には面白かったけど、やっぱ人のいるところじゃないといろいろ不都合があるんだろ?」
「別に気を遣わなくていいわよ。誰も貧乏街道まっしぐらなあんたたちから、骨のエキスまで残らず絞り取ろうだなんて思ってないから」
「例えがこえーよッ! んな殊勝なこと言うなんて、お前まさか熱でもあんのか? ・・・明日ガレオン船でも降って来るかな」

至極失礼な言葉を吐いてくれるウソップを一睨みすると、彼は全身を震わせて口許に両手を当てた。

「あながち冗談で済まねぇかもしんねぇぞ? いや、いっそのこと空島が落っこちて来るかもな」
「・・・ゾロ、あんたの口は胸の傷みたいに縫う必要がありそうね」

剣呑な空気が漂いそうになるのをウソップが慌てて止めに入り、それでも、と必死に視線で訴える長鼻の狙撃手にナミは苦笑を浮かべるしかなかった。
もともとそんなことは何も考えていなかったので、自然そこに込められる溜息はさして重くはならない。

「さっきチョッパーも言った通り、ここんとこ買い物できる島もなかったのは十分知ってるわ。だから今回は特別期待なんかしてないわよ。もちろん、島に着いてからどうしてもって言うならいつでも大歓迎だけど? あ、ロビン、この間言ってた本借りるわね」
「ええどうぞ」

テーブルの上にあったもう1冊の本を取り上げ、ナミはひらひらと手を振ってその場を後にした。




「・・・期待してないってぇのも、存外失礼な話だな。そりゃ、今の段階ではできることは自ずと限られてくっけどよ」
「でもナミ、本気でそう思ってるのかな? そんなことないよな?」
「航海士として、船の財政を預かる者として、きっと遠慮しているのさ。あああ、レディに我慢を強いるなんて、愛の料理人たる俺のポリシーに反する!」

それぞれの反応を鑑みたロビンは、パタリと本を閉じて肩に掛かる黒髪を払った。

「今まで長いようで短い航海の間、航海士さんのお祝いをするのはもしや今回が初めてなのかしら?」
「え? あ、ああ、俺が乗ってからはそうかな。それが何か、ロビンちゃん?」
「ふふふ、おそらく彼女は照れているのではなくて? でなければ、素直になれない性格が災いしているだけのような気もするけれど」

意味深な言葉にふと気づけば、それに何かを上乗せするような視線を向けられていることにゾロは眉間の皺を深くする。
どうして自分がそんな視線を受けなければならないのか、少々納得のいかないものがあった。

「だったらここは、彼女との関わりが長くて深い人が真意のお伺いに立つべきでしょうね。――剣士さん、そういうことだから行って頂けるかしら?」
「だから、何で俺が!? 大体『関わりが長くて深い奴』ならルフィやウソップだって長いだろ! ふ、深い関わりって、てめェ一体何が言いてぇ!」
「あら、言葉のあやよ。気に障ったのなら謝るわ」

そう言いつつも当然のように反省の色など微塵もあるわけもなく、ロビンは悠然とした微笑を崩さない。

「ってぇことなら、あいつにケンカ腰になられても退かねぇお前がやっぱ最適だな。んん、行って聞いて来いよ、ゾロ。それが一番手っ取り早そうだ」
「ルフィ! てめェまで・・・!」
「だって俺、あれこれ考えて質問すんの苦手だしよ。何よりお前が適任だと思うし」

くるくると黒い瞳が悪戯っぽく揺れ、不意に翡翠色の双眸とかち合う。
そこには打算も駆け引きもなく、ただどこまでもまっすぐに見通す光だけが宿っていた。
それを見たゾロは小さく吐息を漏らす。

「・・・船長命令か?」
「ん、そうだ」
「言葉が足んねェのは俺も一緒だぞ? 火に油注いだらどうするよ」
「そっか? でもお前なら、ナミも俺らに怒るほどにはきっと怒んねェよ。ってなわけで、よろしくな」
「結局怒られんのは俺じゃねェかよ・・・」

そこまで言われてしまっては仕方がない。
ゾロは腰の3本刀に肘を預け、重い足取りで後甲板の方へと踵を返した。




進行方向と陽射しの角度から、後甲板の壁際は丁度日陰になっていた。
部屋で読んでもいいのだが、せっかくの上天気にいい場所を確保できそうだったので、ナミは室内からクッションをひとつ持ち出してそこを臨時の読書場所に定めていた。

さして時間もたたずに、重い軍靴の足音がする。
さり気なく視線を向ければごつい靴にズボン、3本の刀を携えた緑の腹巻が降りて来るのが見えた。

「今度はなぁに?」

どうせ言葉が足りないこの男のことと、話がこじれる前に水を向けてやる。
何て優しい心遣いなのかと自画自賛しているのを見抜いたわけでもないだろうに、ゾロは喉の奥で唸りながら転がしていた言葉をようやく吐き出した。

「連中の代表で、最後通告に来た」
私はあんたらのテキかッッ!!

(何でこいつって、こんな時涙が出るくらい的外れてトンチキな奴なんだろう・・・)

反射的にツッコんでしまい、ナミは頭を抱えたくなった。

もともとこの男には言葉でのコミュニケーションは期待していなかったが、こういう不器用なところは本当に船長といい勝負だ。

神経を逆撫でするところも。
言葉選びがトンチンカンなところも。
声に出して言わないのに、大事なことをいち早く見抜いてしまうところも・・・。

「そういう意味なら、俺らは海軍やら世間一般市民やらの敵だろ。何たって海賊なんだしよ」
「・・・だから、改めてそういう話をしに来たわけ?」
「ああ、その・・・お前のホントの要求とやらを聞きに来た」
「ホントの要求って・・・だから、今の段階で何か物を求めても無理でしょ? それを汲んであげてるのに、私に何を要求させたいの? 黄金を山ほど持って来いとでも言わせたい?」
「嘘つけ、本気の本音でもあるまいし」

あまりにもまっすぐな瞳に、さすがのナミも一瞬たじろぐ。

年中貧乏海賊団なので、黄金の山が手に入るなら願ったり叶ったりだ。
もちろんそれも嘘ではない。

だが――それだけ・・かと問われれば、常日頃隠れて決して人前に姿を見せない心の奥底にいる自分は素直に「イヤだ」と言うだろう。

(だからって、本当にそう言ってあんたたちが今更何をくれるって言うのよ。もう十分すぎるくらい貰ってるわよ、そんなことも判んないの?)

不意にじっと見つめるヘイゼルの瞳を、ゾロは逸らしもせずに真っ向から受けて立つ。
どこか挑むような色に、ナミはふと悪戯心をひらめかせた。

「だったら――」
「おう」

ナミの口角がにっと上がる。
それを見たゾロは微かに眉目を寄せたが、否定の言葉は告げなかった。

「『気持ち』でいいわ」
「・・・あ?」
「だから気持ち――あんたたちの“心意気”を頂だい。まあ普段私のことを『魔女だごうつく張りだ』ってほざいてるから、私に対するそれだけの“気持ち”があれば、の話だけどね。そういうレベルではホント期待してないから、気張る必要なんてないわよ」

だから考えなさいと、ナミは逆に最後通告を突きつけてゾロを追い払うように手を振る。
それ以上の会話を諦めたのか、ゾロは意外に素直にその場を去って行った。

みかん畑の陰に消えて行く後ろ姿を見送って、ナミは声を殺して細かく肩を揺らした。

どうせ大した案も出ないだろうが、たまには少し困らせてやるのもいい薬かもしれない。
子供じみていたかもしれないが、何だか小さな目論見を企んだようでナミは自然とこぼれる笑みを止められなかった。





対して、ナミから難題をそのままゾロの口から聞かされた面々は眉間に皺を寄せて唸るしかなかった。

「き、気持ちって・・・まさか、俺たちのナイーブなハートそのものか? 心臓を抉って差し出せと――」
「あああ、んナミすわんのためならこのサンジ、心臓のひとつやふたついつでも差し出してご覧に入れます〜♪」
「うわ〜、凄ェ! サンジ心臓がふたつあんのかッ? オレ解剖していいかッ!?」
「や、生き物の端くれならそこは1個にしとけよ、人として!」
「なら心置きなく捧げとけ、クソラブコック」
「ああッ? 脳みそにマリモ菌が生えてるてめぇに言われる筋合いはねぇな」
「やんのか、くぉら」
「おうよ、いつでも相手になんぞ!?」

あわや掴み合いのケンカに発展しそうになるのを、その場の常識&良識の者としてはどうしてもウソップが止めざるを得なかった。

「相手になんなくていいし、んなスプラッタな例えがあるかぁぁ! 言葉通り、あれはホントに『気持ち』、つまり『誠意』を表せってことなんだよ。確かに相手は魔女だが、ここはイッパツ同じ船に乗るクルーとして爪の先くらいの誠意を見せてもバチは当たんねぇだろ?」
「でも、誠意って何だ? 食えるのか?」
「だから、心意気だって言ったろ。それでいいんじゃねェのか?」
「だーかーらぁ、その『心意気』ってのが曲者なんだろうがよ。何でもう少しツッコんで聞いて来なかったんだよ〜」

今更そんなことを言われても後の祭りで、もう一度行ってももう取りつく島もないだろう。
変なところに確信を抱くゾロは、どうしたものかと腕を組んで空を仰いだ。

「なあゾロ、俺らあいつと結構つき合い長くていろんな宴やったけど、あいつのためだけの祝いの席なんてなかったよな」
「・・・ああ、そうだな」
「それであいつは、納得してたと思うか?」
「――いや」

不意の真摯な瞳に、いつもは目を向けない自らの奥深くに問い掛ける。

納得はしていないかもしれない。
そんなもんだと紙一重で選択を迫られて生きていたのだから、選べるものなど殆どなかったのかもしれない。

期待はしていないと言った。
だが、最初の段階からいる者としては、それも何だか納得の行かない答えのような気もした。

ここまでの航海で幾多の寝食をともにし、様々な死線を潜り抜けて来た仲間としては、こういった一種遠慮がちな行為は納得できないものも感じてならなかった。
過剰に期待されても困るが、まったく期待されていないというのも男として不甲斐ないと切り捨てられたような憤りを感じる。

(男として・・・?)

無意識で何気なく浮かんだ言葉に理性が躓き、思わずぎょっとして我に帰る。
誰かに見咎められてはいないだろうかそっと周囲を見回したが、それぞれに考え事をしているようでその思考を読まれた気配はなかった。

何となく黒髪の考古学者がこちらを見ていたような気がしたが、それについては気づかない振りを決め込むことにした。

「風車のおっさんと約束したんだよなぁ。ナミを、泣かさないってよ」

胡坐を組んだ足首を握り、ルフィが全身でゆらゆらと波に合わせて身体を揺らす。

「ああ・・・あの、オヤジ代わりのおっさんか・・・」

ココヤシの村にいた駐在の男。
攫われそうになったナミを救い出そうと敢然と立ち向かい、あれだけの手傷を全身に刻みつけられてもなお怯まなかったと聞いている。
謂われなき暴力に膝を屈することなく、彼女をあらん限りの力で守ろうとした者。

不幸にも力及ばず、その行動はひどく彼女を悲しませたようだったが、それらのすべてを内包しているからこそ今のナミが仲間としてここにある。

今は亡き母のベルメール、故郷に遺されたみかん畑を守りながら彼女を案じる姉のノジコ、それを父親のように見守るゲンゾウ、そして村の人々――そうした想いのすべてが、今日のナミを生かす基礎となり、礎となっている。

「ん〜〜、んッ! こんなんどーだ?」

ころりと転がり、ついた手の反動で跳ね起きたルフィはにんまりと笑ってクルーの顔を見回した。
いい企みことを思いついた――やんちゃな顔を見せる船長は、得意満面の笑顔で「ししし」と笑いながら全員に顔を寄せろと手招きした。



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