翌日の夕食は、かなりの暗い空気だった。


ゾロは朝も昼も食事を摂らず、皆の前にも姿を現さなかった。
ナミはと言うと、泣きながら眠ったのか、
朝食には現れず、昼食前になってキッチンに出てきたときには、
真っ赤な目をはらしていた。
そして数口食べただけで、またすぐに部屋に戻ってしまった。


そして、夕食。
ゾロもナミも一応出てきたが、
ナミは昼間も泣いたのか、まだ目をはらして俯き、食事は全く進んでいない。
ゾロは殺気まがいの空気を放ちつつ、無言で食事をする。



 「んナミさぁ〜ん・・・vv ど、どうしたのーー?」



サンジが汗をかきつつ、ナミに話しかける。
そんなサンジをゾロがギロリと睨んだ。



 「なっ、何だよ、つーかお前のせいだろどうせ!!」



サンジも負けじと睨み返し、一触即発のムードになったところで、
ゾロが立ち上がる。
そのまま出て行こうとするゾロの背中に、サンジが声をかける。





 「てめぇがナミさん泣かせてばっかりいるんじゃ、おれが取っちまうぞ」

 「・・・・・・どうぞ」






サンジを見もせずに、ゾロは呟いた。








 「・・・・は?」

 「やるよ」

 「・・・・・おい・・・、何言って・・・」




ゾロの言葉に、ナミはビクリと体を震わせた。




 「別れ時、なんだろ」

 「・・・・・・・お前、昨日・・・・?」



動揺するサンジと目に涙を溜めているナミ、
そしてどうすることもできずただその状況を見ている他のクルーを残して、
ゾロはキッチンから出て行った。







 「ナ、ナミさん、あいつ昨日聞いてたんだ・・・」

 「・・・・・・」

 「しかもあの様子じゃ、途中まで聞いて完璧誤解してやがる!」

 「・・・・・・」

 「おれ、行って説明してこようか」

 「・・・・・・」

 「ナミさん・・・・」




申し訳なさそうにナミを見つめるサンジに、ナミは何の返事もせずに俯いてただ震えている。









 「私が行ってくるわ」

 「・・・・・っロビン・・・・」



ロビンが立ち上がり、ナミはハッと顔を上げた。


よりにもよって何故ロビンが、
やはりこの2人は、


そう思って、ナミは傷ついた顔でロビンを見つめる。



 「そんな顔しないで」



ロビンはナミに微笑みかけ、ゾロを追って出て行った。











扉が閉まり、とうとうナミは嗚咽をあげて泣き出した。



 「な、泣くなよナミ!ゾロは機嫌悪いだけだよ多分!」

 「ナミー!お前が泣くとおれ殺されるんだ!ゾロはおれがブッ飛ばしてやるから!」

 「ナミー!ナミー!」



ナミの周りに集まって、おたおたと慰めるクルーたちを他所に、
サンジは咳払いをした。



 「あー、ナミさん、お話が・・・・」

 「今それどころじゃねぇだろサンジ!ナミの一大事だ!」

 「いや、その問題を払拭する事実を・・・・」

 「・・・・・・なに、サンジくん・・・」













 「剣士さん」

 「・・・・・・何だよ」



甲板の手すりにもたれて海を見下ろしていたゾロに、ロビンは声をかける。



 「あんなこと言って、いいの?」

 「・・・・・うるせぇ」

 「航海士さん、泣いてるわ」

 「・・・・・・コックが・・、慰めるだろ」

 「・・・・・」



ぷいっと顔をそむけるゾロに、ロビンは溜息をつく。



 「あのね、いいこと教えてあげましょうか」














 「おれ、ロビンちゃんと付き合ってんだ」

 「私、コックさんとお付き合いしてるのよ」












 「・・・・・・・え!?」

 「・・・・・・・はぁ!?」














 「まぁ、バレたら言おうと思ってたんだけど、ナミさんたちがどうも誤解してるようだから・・・」

 「・・・・・」

 「そういうことでナミさん、あの2人はナミさんが思ってるような間柄じゃないから」

 「・・・・・ほんと、に?」

 「うん、ちゃんとロビンちゃんに確認したから、昨日の夜」













 「貴方が聞いたのは、途中までなのよ」

 「・・・・・・」

 「航海士さんがどれだけ貴方のこと好きなのか、分からないとは言わせないわよ」

 「・・・・・・」


















 「航海士さん」



ロビンがキッチンに戻ってきて、ナミに声をかける。



 「彼、外にいるわ」

 「・・・・・ちょっと、行ってくる」



ナミは立ち上がる。



 「・・・ロビン、ごめんね。ありがとう」

 「いいえ、こちらこそ、誤解させてごめんなさい」



もう涙の止まっているナミはロビンに微笑んで、甲板へと走った。








 「ごめんロビンちゃん、言っちゃった」

 「私も剣士さんに言ったわ」

 「お前ら隠し事すんなよなー!」



ルフィが怒りながら叫ぶ。



 「今言ったんだからいいだろ」

 「黙ってたバツとしてサンジ!夕食第2弾を作れ!」

 「何でだよ!」












 「・・・・ゾロ」

 「・・・・・・・・ナミ・・」



さっきと同じように海を見下ろしていたゾロに、ナミは近づく。



お互い目を合わせたが、気まずい空気が流れる。
先に口を開いたのは、ナミだった。




 「あのね、昨日のはね、」

 「待て」

 「・・・っ」



言葉を遮られて、またナミはビクリとする。

言い訳もさせてもらえないのか。
そう思って、また泣きそうになった。





 「悪かった」

 「・・・・・・ゾロ・・・」

 「さっきのは、その・・・売り言葉に買い言葉ってヤツで、・・・本心じゃ無ぇ」

 「・・・・・・私も、昨日のは、冗談だから」



ゾロがしどろもどろながら謝ってくれたので、
ナミは少し笑ってそう言えた。



 「あぁ、ロビンから聞いた」

 「私ね、ゾロとロビンが付き合ってるのかと思ってね、サンジくんに相談してて」

 「おれとあの女が・・・?何で」



思いもよらぬナミの言葉に、ゾロは目を見開く。



 「だって・・・一昨日の夜、好きとか何とか・・・」

 「・・・・そういう意味の会話はしてねぇ。
  第一ロビンは、コックと付き合ってるってさっき聞いたぞ」

 「うん、私もさっき聞いた。だから、勘違いだったみたい」

 「・・・・たく、紛らわしい会話してんな、おれら」

 「ほんとね」





ゾロが苦笑する。
ナミも一緒に笑う。





 「・・・今日の見張りは・・・」

 「ゾロよ」

 「・・・・見張り台、来いよ?」

 「うん!」













 「ゾロのやつ、ちゃんと謝ってんだろうな・・・」

 「大丈夫よ」



キッチンに残った面々は、ゾロとナミが出て行ったあとも食事を続けた。
サンジが要望通りに(というか色々つっこまれたらウザイので)、夕食第2弾を作ったため、
ルフィらは満足げにキッチンのテーブルでくつろいでいる。
サンジは皆に食後のお茶を配りつつ、独り言のように呟き、
ロビンは胸の前で両腕をクロスさせ、数秒目を閉じたあと、
微笑んで答えた。






 「見張りの夜食は、2人分用意しておいた方がいいわね」

 「今日の見張りは・・・あぁ、ゾロか。なるほどね」

 「航海士さん、部屋には戻らないわよ今夜は」

 「・・・・・・・・・なるほどね?」



サンジとロビンは目を合わせてにっこりと笑う。











 「あーー、そうか、こういう会話が2組になるわけか・・・っ!」



船の唯一の常識人・ウソップは、2人の会話を聞いて頭を抱えた。



終了!
「恋人同士のゾロナミ、勘違いで擦れ違い。最後は甘く」

掲示板にてリクくれた安季さま!
いかがでしょう!
一瞬(本当に一瞬)ニコナミも入れてみました!(笑)。
でも最終的にはゾロナミ・サンロビです。
サンジくんがようやく報われてます。

2005/10/20

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