利。
「おいゾロ、何か落ちたぞ」
甲板ですれ違ったサンジは、持っていた野菜の籠を片手で持ち直して、
ゾロが落としたモノを拾ってやった。
「あ? あぁ、悪ぃ」
「…何だコレ?」
サンジが拾ったそれは、破れてはいるもののどうみても女性モノの下着だった。
籠を床に置いて両手で広げ、思わず握り締めた。
「…………何だよコレは……」
「見ての通りだ」
「何でお前がこんなモン……どこで盗んだ!」
「誰が盗むか!! くれるっつーから貰っただけだ」
顔を引きつらせてゾロが答えると、
サンジは手の中の布切れをもう一度見下ろして、訝しげにゾロを睨む。
「……誰から」
「ナミ」
「…何でナミさんがお前なんかにパンツくれるんだよ」
「知るかよ、破れたからいらねぇってさ」
ゾロが片手を突き出すが、サンジは相変わらず下着とゾロとを交互に見て返そうとはしなかった。
「このムッツリマリモ」
「誰がだ!」
「下着貰って喜んでんじゃねぇよ」
「じゃあ何でお前はソレをポケットに入れようとしてんだ」
「拾った人間に1割寄越せ」
「1割で何する気だ」
「てめぇこそコレで何する気だ」
「お前にゃ関係無ぇだろ」
下着を巡って2人の火花がバチバチと飛び交う中、
呑気な声がその間に入ってきた。
「何してんの2人とも」
「あ、ナミさん!! エロマリモがこんなモノを!!」
ナミの登場にサンジはころっと表情を変え、困った顔になって持っていた下着をペロンと見せた。
ゾロは無言でナミを見る。
ナミは突き出された下着を見て、あぁと軽く声を出した。
「それ、ゾロにあげたのよ」
「どうしてナミさーーーん!!! おれにもちょうだい!!!」
「本音が出たな」
「あぁ!?」
ゾロの呟きに、サンジは額に血管を浮かべて振り返る。
その間でも下着はしっかり握り締めてはいるが。
「サンジくんはダメよ」
「何でーー」
ナミはにっこり笑って断った。
サンジが残念そうな声を出すと、続けて笑顔のナミは答える。
「何かリアルじゃない」
「……」
返事に困り、サンジは微妙な笑顔で固まった。
「ゾロだったらさ、コレで何するのかちょっと気になるでしょ?」
「……はは…」
苦笑するしかないサンジは、チラリと横目でゾロを見た。
ゾロは相変わらず無言で、不機嫌そうにナミとサンジを睨んでいる。
「で、ゾロはコレをどうするの?」
「…どうしてほしい?」
「…頭に被るとか?」
首をかしげたナミの答えに、ゾロは思わず顔を引きつらせる。
パンツを被った姿を想像したのか、横でサンジがブッと噴出したので、
ゾロは思いっきりにらみつけた。
サンジはゴホンと咳払いをして視線をそらしたが、頬のあたりがまだひきつっていた。
「どこの変態だよそりゃ……てめ、おれの事どう見てんだ」
「意外性ナンバー1キャラ」
「……」
確かに頭に女のパンツ被るなんざ、意外性ありすぎるだろうよ。
ゾロは心の中で呟いて、盛大な溜息をついた。
「ご要望にお答えしてやりてぇのは山々だが、却下だ」
「あら残念。じゃあどうするの?」
「聞きたいか?」
ゾロがニヤリと笑って答えるとナミはしばらくその顔を見つめていたが、やがて肩をすくめた。
「…遠慮しとくわ」
「賢明だ」
ゾロは軽く笑って、サンジがいまだに握り締めていた下着を奪い取って乱暴に自分のポケットに突っ込んだ。
2人に背を向けて昼寝場所であるミカン畑へと足を向け、ヒラヒラと手を振る。
「ま、楽しませてもらうぜ」
「…あんたにあげたんだから、どうぞご自由に」
「おう」
「なぁゾロー、おれにも…」
「却下」
ゾロには即行で断られ、さらにはナミからも何だか冷たい視線を送られて、
サンジは心の中で『差別だ…』とひっそり呟いた。
『【釣。】の続き』
ナミさんは一体何をしたいのか……。
サンジくんも変なキャラになっちゃったし……。
10/5にリクくれたみちりんサン。
サンジくんがアホでごめんなさい(笑)。
2006/11/20 UP
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