救。







風呂から上がると、甲板で人の声がした。

ナミと、コックだ。




静かに扉を開けると、隣同士に立っている2人の姿が目に入る。
会話までは耳に届かない。
微かな声で話しているらしい、ということだけは分かり、
思わず気配を殺してその後姿を見つめていた。



二言三言話したあとで、唐突にコックがナミの肩を抱き寄せた。

だがすぐに離れる。

ナミは気にしていないというような笑顔を見せ、それにコックも安心したように笑顔を返した。






どこを見てやがんだ、クソコック。

あいつにあんな顔で笑わしてんじゃねぇよ。




心の中で舌打ちした。











 「ナミ」





声をかけると、案の定ナミは顔を歪めて駆け寄ってきた。

また、例の夢でも見たのだろう。

こいつは今でも時々、昔の夢にうなされる。
過去を引きずっているわけではない。
だがそれでも、夢を見てしまうのだ。

家族を奪われ、自由を奪われ、がんじがらめにされていたあの頃の夢を。


おれが一緒に居るときならすぐに抱きしめてやれば落ち着くのだが、
一人で寝ているときはどうにもならないらしい。
声を殺した微かな泣き声を聞いて、夜中に女部屋に移動したこともある。




駆けてきたナミはおれのシャツを握り締めて、胸に顔を押し当てる。




 「また見たのか」



ナミは今にも零れるほどの涙を溜めて、顔を上げ小さくうんと答えた。
頬に触れると、それに反応して涙が零れる。



 「部屋、戻るぞ」



指でそれをぬぐってやりながら言った。







ナミの腰を抱いて女部屋に向かう途中、一瞬だけコックに視線を送る。


いくらおれが居なかったからとはいえ、コックにあんな行動を許してしまうとは。
油断も隙も無ぇ。




口を真一文字に結んで立ち尽くすコックの姿が目に入る。

その目が合うと、コックは眉を寄せて顔を歪めた。

嫉妬と羨望が混じった目。
それを受けとめて、こちらからは殺気を込めて視線を返す。




渡してやるもんかよ。

あの『笑顔』に気付けねぇんなら、てめぇにゃムリだぜこの女は。



『【晒。】のゾロバージョン』
最初、弱気ゾロ?て勘違いしてましたけど、
よく考えたら『あの話のゾロ視点』てことだった…?
というわけでこんな感じにしてみました。
オチが無ぇなぁ………あいたたた。

10/4にリクくれたmiyuさん、これじゃダメ?

2006/11/18 UP


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