晒。
明日の仕込みを終え、サンジは煙草の煙を燻らせながらキッチンの扉を開けた。
見下ろすと、甲板に人影がある。
夜も遅いのに誰かと思って手すりに近づくと、そこには愛しの航海士の姿。
「どうしたのナミさん」
声をかけながら、サンジは階段を下りていく。
手すりに両手をついて海を見下ろしてナミは、サンジに気付いてゆっくり振り向いた。
「サンジくん・・・。 ちょっと、夢見ちゃって」
「夢? 怖い夢ですか?」
かわいいなぁナミさんvなどと思いつつ、サンジはナミの隣に立って手すりにもたれた。
ナミはふふと軽く笑って、ポツリと呟く。
「・・・昔の、夢」
弱々しく微笑んでみせたナミを見て、サンジは思わずその細い肩を抱き寄せた。
「・・・サンジくん?」
「・・・あっ、ご、ごめんナミさん」
サンジは慌てて離れ、両手を広げて上にあげる。
「いいわよ、気にしてない」
それはそれで切ないが、と思いつつも、
ナミの機嫌を損ねなかった事にサンジは小さく息をついた。
「おれでよけりゃ・・・添い寝でも何でもしますよ?」
「ふふ、遠慮しとくわ」
「つれない貴女も素敵です・・・」
くだけたサンジの口調に、ナミに笑顔が戻る。
サンジは安心して、同じように笑った。
「ナミ」
サンジ的にはいい感じのムードだったのだが、そこに男の声が割り込んできた。
振り向くと、風呂上りだったのか、体からうっすら湯気を出したゾロが倉庫の前に立っていた。
「ゾロ・・・・っ」
同じように振り向いたナミは、くしゃりと顔を歪ませてゾロの元に駆けて行った。
サンジは離れていくナミに何も言えなかった。
自分の前では強気に笑って見せたナミ。
それがゾロが現れた途端、あんなにも弱い部分を露にする。
ゾロのシャツの胸を両手でしっかりと掴んで、ナミはゾロを見つめていた。
「また見たのか」
「うん・・・」
ゾロはそれだけ言って、ナミの頬に片手を添えて優しく撫でた。
「部屋戻るぞ」
コクリとナミは頷いて、肩を抱かれて女部屋へと向かって行った。
立ち尽くすサンジに、ゾロは去り際に一瞬の視線を送った。
嫉妬の混じった視線を。
それを受けて、サンジはぎゅっと拳を握る。
お前がおれに嫉妬するのか?
お前の前では、ナミさんは全てを見せるんだろう?
その強さも、その弱さも。
きっとおれは見ることはない。
おれの前では、彼女はいつも完璧な航海士で。
優しく、美しく、そして強い。
おれの前では、『女』になることは無いのに。
妬きたいのはコッチだ、クソ野郎。
サンジは舌打ちして、おそらくはゾロが戻ってくることのない男部屋へと下りていった。
2006/08/22 UP
『弱気ナミに優しいゾロ、サナゾ風味』
6/24にリクくれたふぅサマ、こんな感じで・・・?
あら、サンジメインになったな・・・・。
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