留。




 「で、あれからどうなったの?」



放課後の職員室で、先輩教師のノジコがニヤニヤと笑いながら詰め寄ってきた。
ガラガラと椅子に乗ったまま近づいてきて、軽く脇腹を突付いてくる。



私のせいでケガをさせてしまった生徒、ロロノア・ゾロと、
何故だか自分でも分からないが手を繋いで帰宅する、という事態に陥った翌日のこと。



 「別に・・・何も無いわよ。家まで送って、すぐ帰った」

 「何よ、家に上がらなかったの?」

 「上がるわけないでしょ!生徒の家よ!!」



残念そうなノジコの声に、顔を赤くして慌てて否定する。
ノジコは不思議そうな顔で首をかしげる。




 「家庭訪問と思えばいいじゃない」

 「・・・だって、家に一人らしいし・・・」

 「あーーら、充分男として意識してるじゃないの?」

 「・・・・・・もう!!やめてよノジコ!!」



このオープン気質な教師は、どうやら私が聖職者の道を踏み外しかけるのを面白がっているらしい。



 「ノジコ、私をクビにしたいの? 相手は生徒よ?」

 「何言ってんの、惚れちゃったんなら仕方ないじゃない」

 「ほ、惚れてなんか・・・!!」

 「はいはい」



自覚できるほど熱い頬を、ノジコはペチペチと叩いて立ち上がった。




相手は生徒なのよ?
いくつ年下だと?

昨日の『アレ』は、きっと彼の好奇心。
それとも単純な教師をからかうつもりで?

顔が赤かったのは気のせい。
緊張で手に汗かいていたのも気のせい。

私がドキドキしてたのも、きっと気のせい。





 「・・・ロロノアくんは、教師をからかって面白がってるだけなんだから」




口に出してみて、ちょっとヘコんじゃうのも気のせい。




私の呟きを聞いて、ノジコが足を止めて振り返る。



 「知ってる? ロロノアってさー、私のもだけどほとんどの授業はちゃんと起きてるんだよ」

 「・・・え・・・・」

 「あんたの授業だけ、寝てるみたいね」



言葉に詰まってしまった。
彼は私の授業ではほぼ毎回居眠りをしている。
それを叩き起こすのが、授業の定番コースになっているのだ。

だから、彼はいつもそういう人間なのだと思っていた。
成績は悪くはないけれど、授業はほとんど寝てる生徒。


それなのに。


私の授業だけ?


教師としての自分が完璧だなんて思ってはいない。
それでもここに赴任して1年、生徒との交流も含めて頑張ってきたつもりだ。


それなのに。


私の授業はそんなにつまらないのだろうか?




ふふっとノジコの笑い声が聞こえる。




 「でも、あんたのテストで赤点取ったことって一度も無いんだよね?」

 「・・・え?えぇ・・・いつも満点に近い・・・」

 「本当に居眠りしてて、そんな点数取れるかしら? あの子そんなに秀才?」

 「・・・得意、とか?」

 「じゃあ、何で得意なんだろうね?」

 「・・・・・・何が言いたいのよ、ノジコ・・・」




再び顔が熱くなる。




 「べっつにー?ただ、高校生男子ってカワイイわよねって話」

 「・・・・・だからっ、生徒に手を出すなんて」

 「手ぇ出されちゃえば?」

 「ノジコ!!!!」

 「あとそれから」

 「まだ何かあんの!?」



再び近づいてきたノジコが、椅子に座ったままの私の肩に寄りかかる。




 「何で私がこんなに、ロロノアのこと知ってると思う? 自分のクラスの生徒でもないのに」

 「何でよ」

 「あんたが話すからじゃない」

 「・・・・・・わ、私がいつ」

 「無自覚にも程があるわよ。あんた酔っ払ったらロロノアの話ばっかりなんだから。
  まぁ大半は居眠り小僧への愚痴だけどさ」

 「・・・・・・」



ノジコはヒラヒラ手を振って今度こそ出て行った。








教師と生徒。
教師と生徒。


必死に自分に言い訳しても、赤い顔は当分おさまりそうにない。





『【間。】の続き』
・・・あっれ〜・・・またひっつかなかった・・・・。
おかしいなぁ(笑)。
いつになったらこの2人、くっつくんだろう・・・。

9/30にリクくれた真牙さん!
ゾロ誕なのにゾロがいっこも出てきてなくてごめんなさい・・・。

2006/11/06 UP


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