様。







 「あ、日付変わったよゾロ」

 「あ?」

 「・・・・まさか、忘れてるなんて言わないわよね?」

 「・・・・・・何を」



ロロノア・ゾロ、女部屋から強制退出。











7月3日、航海士の誕生日を祝うためメリー号では宴会が開かれている。


昨晩女部屋から追い出されて以来、ゾロはナミに嫌味を言われ続けうんざりしていた。
誕生日を忘れていたわけではない。
ただ金が無く何も用意できなかったので、誤魔化したらそれが余計に悪かった、というだけ。
まさかあれほど機嫌を損ねることになるとはゾロも思っていなかった。





 「おいゾロ、ペース早ぇぞ」

 「うるせぇ」

 「ナミの誕生日だぞ、一人で飲むなよー」

 「うるせぇ! ほっとけ!!」

 「何だよ、機嫌悪ぃな・・・・」




酒が入って上機嫌だったウソップに八つ当たりして、ゾロは酒を瓶ごと煽る。


ナミに目をやると、楽しそうにチョッパーたちと笑って話している。
自分の誕生日パーティーなのだから、機嫌がいいのも当然だ。
だがゾロには一向に話しかけてこない。


自分から謝るべきだと言うのは分かっている。
ただプレゼントの一つも用意していないのは事実。
どうしたらナミの機嫌を取ることができるのか。


ゾロは自棄酒を続けながら、日頃使わないであろう部分の脳をフル回転させていた。












割り箸で宴会芸を見せてくれるルフィたちに、ナミは腹を抱えて笑い転げた。
息を切らせながら目元の涙を拭うと、ゾロの姿が目に飛び込んでくる。

ゾロは一人で酒を飲み続けている。


誕生日なのに。
おめでとうの一言も、まだ言ってくれていない。


ナミは口を尖らせて、手元のグラスを一気に飲み干す。

昨晩のゾロの様子を見る限り、多分誕生日のことは覚えていたはずだ。
でも何かを誤魔化そうとして、わざととぼけていた。
恐らく誕生日プレゼントを用意していないとか、その程度のことだろう。

ナミは、はなからプレゼントなど期待していなかった。
ゾロの経済状況などナミが一番よく分かっている。

ただ、一番最初に『おめでとう』と言ってくれてれば、
きっとそれだけですごく幸せな気分になれたのに。

サンジが口にするような気のきいた言葉をゾロに期待するのは無理な話。
それでも、仮にも恋人である女の誕生日なのだから・・・・、
と心中で愚痴って、ナミも手酌でワインをグラスに注いで飲み干した。


















 「おいナミ」



クルーたちに笑顔を振りまきながらも、こっそりとワイン1本を一人で開けかけていたナミに、
ゾロが低い声で呼びかけた。



ナミは少し間を置いてから、ゾロに近づいてその正面に立つ。





 「何の用よ」

 「ちょっとココ座れ」



そう言って、ゾロは自分の太腿をポンポンと叩いた。



 「・・・・・・・何考えてんの?」



ナミは思わず高い声を出した。

それに気付いたクルーたちは、騒ぎをやめて2人に目をやる。


ナミとゾロの関係は船内では暗黙の了解として認められていた。
だが2人がクルーの前でいちゃついたりすることはない。
ゾロがそういうことをあまり好まないのだ。
ナミはそれを寂しいと思うこともあるが、2人きりでいるときは思う存分甘えても許してくれるので、
ゾロに合わせて、『クールな2人』を演じていた。


そのゾロが今、皆の前で堂々と、ナミに向かって自分の膝の上に座るように言ってきた。




ナミは機嫌の悪い顔を崩さないようにしながらも、素直にゾロの足の上に座った。



 「・・・・座ったわよ」

 「あのな、おれ金がねぇんだ」

 「・・・・それが何よ」

 「だから金のかからない誕生日プレゼント、やるよ」

 「え?」





そのままゾロは、片手でナミの後頭部をがっちり固定して、かぶりつくようなキスをした。





 「〜〜〜〜〜っっっ!!!?」



ナミは突然のことに驚いてもがいたが、抵抗するその手をゾロは片手で掴んで阻んだ。






 「・・・・・このエロマリモーー!!ナミさんから離れろーーー!!!!」



突然の光景に固まっていたクルーたちの輪から、サンジがいち早く動き出しゾロの腕にガバリと掴みかかる。


だがゾロはピクリともせず、それどころかより一層ナミの体を自分に引き寄せた。




息をする余裕も与えられず、ゾロの服を引っぱって必死に抵抗していたナミだったが、
結局はその腕はゾロの首にしっかりとまわされた。




ポカンとしているクルーたちの存在を完璧に忘れているらしい2人は、
なかなか『2人の世界』から戻ってはこなかった。










 「・・・・・・てことで、誕生日仕様だ」

 「・・・・・・・こんなのがプレゼントなんて、・・・・・」

 「何だよ、文句あるか」

 「・・・・・・いつもと同じじゃない」

 「・・・・・・・・・・ほぉー、じゃあ同じかどうか教えてやる」

 「な、」




ゾロはそのままナミを抱きかかえて立ち上がり、颯爽と女部屋へと向かって行った。









 「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」





主役の消えてしまったこの宴会をどうするかと、残されたクルーは互いの目を見合わせるしかなかった・・・・・。



2006/07/12 UP

『【贈。】の逆バージョン、ゾロがナミにプレゼント』
6/3にリクくれた春さん、これで許して・・・!!

何か私、こういう展開ばっかりだなぁ・・・・。
マ、マンネリ化?
困った・・・。

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