離。 - nami side -






全てを話してしまえばラクになれたのかもしれない。

でもあんたたちを巻き込むわけにはいかなかった。

これは私の問題だから。








例えば肩に巻いた包帯の下とか。
例えばまっすぐ見つめられたとき、つい逸らしてしまう視線だとか。

あんたは何かを感じていたんだろうけど、それを問い詰めることはしなかった。
何も言わない私を、あんたはどんな思いで見ていたんだろう。




聞かれたかったのかもしれない。
言いたかったのかもしれない。
言わずとも、分かって欲しかったのかもしれない。

到底それはムリな話で、
そしてそれがムリだと分かっている以上、
私はあんたから離れるしかなかったの。












これが最後の夜だと一方的に告げたら、あんたは本気で怒った。
今までも喧嘩したり怒鳴られたりしたことはあったけど、
あんなに私に向かって怒ったのは初めてだった。
それすらも嬉しいと感じた私は、それ以上進んだら取り返しのつかないところまで来ていたんだろう。

私に怒ってくれるあんたが、愛しかったよ。





何も言わない私を置いて、あんたは背中を向けて離れて行った。
行かないで、と叫びたい衝動を抑えるのがどれだけ大変だったか、分かる?






行かないで

早く消えて

傍に居て

遠くへ行って



明日になれば、私はあんたたちの元から出て行って本来の場所に戻る。
私の居るべき場所へ。
あんたたちは新しい航海士を見つける。
それが正しい、私たちの取るべき道。







泣くのをこらえていたら、突然にあんたは振り返った。
そうして戻ってきて、最後のキスを。

このまま意地を張って、明日まで一言も口を聞いてもらえないと思ってた。
ありがとね、ゾロ。
あんたに抱きしめられるのも、これが最後。
あんたとキスするのも、これが最後。
せめて、笑顔で別れたかった。



あんたともっと早く出会ってたら。
ルフィよりも早く。
あいつらよりも早く。

時間は戻らないし、失ったものは還らない。
分かっているけど、やはり考えずにはいられない。






愛してるという言葉を口にすることは無かったし、言ってくれることもなかった。
最後に言うつもりもない。
その言葉は私を、あんたを縛ってしまうから。
だから、最後のこのキスにこめるよ。



あんたを愛してる、ゾロ。

だからさよなら。











ゾロが部屋から出て行って、真っ暗な部屋の中で一人シーツにくるまる。
今外に出たら、きっと凍えてしまう。
一人では今日の夜風は耐えられない。
冷たい風も雨も忘れさせてくれる、あの暖かさはもう戻らない。


もう戻らないけど、時間が経てば冷たさにも慣れていく。
慣れなければいけない。
耐えなければならない。

私は、独りなのだから。





早く明日になればいい。
独りで眠る夜を辛いと思うくらいなら。


2人で笑った日々を思い出したいけど、
それは逆に苦しくなるだけだから、
どうか何の夢も見ませんようにと、ぎゅっと目を閉じた。





サザンオールスターズ『涙のキッス』より。
虹色サマのゾロナミソングだそうで。
アーロンパーク前夜のゾロナミです。
・・・mariko的なSSを勝手に書きましたv
ナミさんside。

書き終わって気付きましたが、・・・・これ夏の歌やん!!!!
気分的には秋の終わりだった!!!!!!
まいっか。

ゾロsideもあるよーぅ。

2006/05/16

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