「ちょ、ちょっとロビンちゃん、それマジで?」
「えぇ。みんなにも式に参加してほしいそうよ」
「そりゃ、ゾロの結婚式ならもちろん出席するけどよ・・・相手は誰なんだ?」
「それはお楽しみにとっておいたら?」
ウソップの問いに、ロビンは意味深な笑みでそう返すのみだった。
「しっかし・・・あのマリモ野郎にそんな相手がいたとはな・・・・」
「ロビーーン、お前は相手知ってんだろー?」
ルフィがうずうずとした様子でロビンにすがる。
それでもロビンは笑って『まだ内緒よ』と告げる。
「ちぇーー、ケチ!! あれ?ナミは?」
「あ・・・そういえばいねぇな」
「んナミすわーーーん!? いずこへーーー!?」
「航海士さんにはちょっと用を頼んだの。すぐ戻るわ」
「そっか」
それを聞いて安心したのか、ルフィはまた相手は誰だとうずうずとし、男連中は頭をそろえて推理をし始めた。
あの町では行動が怪しかっただとか、
故郷に女が2,3人いるんだとか、
海賊狩り時代の女だとか、
教会の前で唸っている彼らの姿を、ロビンは微笑ましく見つめる。
チョッパーはそんな男たちの間でどうしていいか分からず、ただウロチョロウロチョロしていた。
「ほら、出てきたわよ」
ロビンの声に、一同は同時に教会に目を向ける。
「・・・・・・」
教会の扉を開け、低い階段を下りてきたのは、
真っ白なタキシードを着た未来の大剣豪。
微妙に顔が引きつってはいるが、立派な『新郎』の姿だった。
「・・・・・似合わねぇな」
「自覚してる・・・」
ポツリとサンジがもらすと、ゾロは間髪入れず返す。
「まぁとにかく、おめでとうゾロ!!!」
「・・・おう」
ウソップは自分のことのように嬉しそうに、駆け寄ってゾロの肩をバンバン叩く。
みなもそれに続き、ゾロを取り囲む。
「で? お前みたいなヤツを選んでくれた心優しきお姫様は?」
「まだ準備中」
「しっかし、やるこたやってたんだなぁてめぇも・・・。ストイックなフリしやがって」
「うるせぇな」
「なぁゾロお前さ、結婚するってことは嫁さんも船に乗るんだろ?」
「そうだよなー、なら事前に紹介ぐらいしてくれよ、水臭ぇ」
「・・・・・お前らの知ってるヤツだから、別にいいだろ」
「・・・・・知ってるヤツ・・・?」
「おれらの知ってる中で、女・・・?」
ルフィとウソップは顔を見合わせて首をかしげる。
「おいおいまさかマジでロビンちゃんとか言う気じゃ・・・」
サンジが真っ青な顔でそう呟いた矢先、
教会の扉からロビンがひょっこりと顔を出した。
「花嫁さんの準備できたわよ」
「あれ、違う」
「じゃあ誰だ?」
そして、ロビンが大きく開けた扉から『新婦』は出てきた。
「「「・・・・・・・ナミ・・・・・・・・・・?」」」
決して豪華とは言えない、だが真っ白なドレスを着て、
ナミは出てきた。
小さなブーケを大事そうに持ってうっすらと頬を染め、恥ずかしそうにうつむいている。
レースや花が豪華についているわけではない、シンプルなドレスだった。
ホルターネックで、ウエストからはふんわりと裾が広がっている。
普段のナミは、キャミソールにミニのスカートといった服装が多いため、
こんなにも女性らしい姿を見るのは、仲間といえど滅多にあることではなかった。
普段からお金や宝石が大好きと公言するナミが、高価でもないドレスを幸せそうに着ている。
その姿は、何倍も綺麗に見えた。
ルフィたちはしばらくその姿に見惚れていたが、はっと我に帰る。
「・・・・って、おい、相手って・・・・」
「つまり・・・・」
「んナミさぁぁああぁぁぁああん!!!???」
目を丸くしてみっとなく顎を落とした3人を尻目に、ゾロは階段を上りナミに手を差し出す。
ナミは嬉しそうにゾロを見つめ、その手に自分の手を重ねた。
「待て待て待てぇ!! 聞いてねぇぞ!!!」
「言ってねぇからな」
「そういう問題じゃねぇーー!!! ナミさん何でこんなヤツとーー!!!」
「・・・・祝福してくれないの、サンジくん・・・?」
「う・・・・・」
哀しそうにナミに見つめられ、サンジはゾロに掴みかかる手を止める。
「・・・・・貴女の幸せがおれの幸せ・・・っ!!」
そう呟いてガックリと崩れ落ちた。
「・・・綺麗だよ、ナミさん」
「ありがとう」
ひざまずいたままで、サンジはナミを見上げてそう言った。
笑顔で返事をしたナミの姿に、またもサンジはしばし見惚れる。
「おいおいお前ら、いつの間にそういう関係になってたんだよー!?」
「言えよコノヤローー!!」
「ごめんね、内緒にしてて」
「まぁいいけどさー。 ナミ、綺麗だなーー」
「ありがと、ルフィ」
「おれも今そう言おうと思ってたんだ!!」
「ふふっ、ありがとウソップ」
ナミはゾロにエスコートされながら、階段を下りていく。
「気をつけて、剣士さん」
「あぁ?」
「階段、危ないわ」
「・・・・あー、あぁ」
「こけたら大変」
「・・・・・・?」
ロビンが何故わざわざ注意したのか分からないまま、ゾロは慎重にナミを下まで導いた。
「いやーーー、でも全然気付かなかったぜお前らのこと・・・・」
「そりゃあね、必死に隠してたもん」
「すげーなーお前らーーー」
「いや本当、おれは何だか父親の気持ちで・・・・」
「やだウソップ、泣いてんの?」
「なっ、泣いてねぇよバカ!!」
ウソップが慌てて目をゴシゴシとこする。
それを見てナミも思わず泣きそうになった。
だが、その隣を見るとチョッパーが号泣していたので、驚いて涙が引っ込んでしまった。
「チョッパー? そんなに泣かなくても・・・・」
「よ、よ、よがっだな!!ナミ!!! おれ、おれ、嬉じぐで・・・・」
「・・・・チョッパーには心配かけたね、ごめんね」
「おい、非常食。それどういう意味だ?」
「・・・・おれは、知っでだんだ」
泣きじゃくるチョッパーの前にナミはしゃがみこみ、その頭を撫でる。
「えーーー! ずりぃ!! チョッパーだけ!!」
「おれ、船医だし・・・」
「関係ねぇだろ」
「本当よかったなナミ・・・!! これで安心して産めるな・・・っ!!」
「・・・・・・・・・・は?」
唐突なチョッパーの発言に、固まったのはサンジたちだけではなかった。
ナミの後ろで、ゾロまでもが目を丸くしていた。
「・・・・・・え? ゾロ、ロビンから聞いてなかったの・・・?」
「さすがにそこまで私の口から言うのもアレかしら、と思って・・・・」
ゾロの後ろでロビンが肩をすくめた。
ロビンが全部話したもの、と思っていたナミは驚いて立ち上がる。
「・・・ナミ、産むって・・・・・」
「あのー・・・・、妊娠、してるみたいで・・・」
「それでチョッパーだけは2人のこと知ってたのか・・・」
「おれは船医だから! クルーの体調管理はおれの仕事だから!!」
ゾロは無言でナミを見つめる。
ナミもゾロは了承の上での式だと思っていたので、予想外のことに戸惑っていた。
上目遣いで、伺うように呟く。
「・・・・産んでも、いい?」
「・・・・・・・・今、ヒールか?」
「え?」
「足」
「あ、ううん。ロビンがダメだって・・・」
「よし。船でももう履くな」
「・・・・・・産んでも・・・いいの?」
「当たり前だ。・・・おれら夫婦の子供だろ?」
ニヤリとゾロが笑うと、ナミの目から一気に涙が溢れた。
そのままゾロの胸に飛び込む。
「おいおいお前ら、いくら式挙げたからって、いきなり面前でいちゃつくなよ・・・・」
「あああぁぁぁぁ・・・・ナミさぁああぁあああぁぁん・・・・・」
「よーーし!! 今夜はパーティーだ!!!」
いちゃつく2人、照れるクルー、泣くクルーを無視して、ルフィは叫ぶ。
「ナミ! ゾロ!! 船に戻るぞ!! サンジ、パーティーの準備だ!!!」
「マリモのためではなくナミさんのために腕をふるいましょう!!!」
「え、でも先にドレスとか返さなきゃ。これ借り物なの」
「そうなのか?」
「うん、式っていってもさ、時間無いからドレス借りて着ただけなの。皆にお披露目してオシマイ」
「そんなの、買い取れ!!!」
「はぁ!?」
ルフィは問答無用でナミに向き直る。
「お前の花嫁衣裳だぞ!? ちゃんと手元に持っとけ!」
「でも・・・」
「せっかくそんなに綺麗なのに、すぐ脱いだらもったいねぇ! そのままメリーに戻るぞーーー!!」
「・・・・・」
にかっと笑って、ルフィは港に向かって歩き出した。
「にくーー! にくーーー! 肉パーティーーー!!」
「結局それかお前は・・・」
サンジたちもその後に続く。
呆然としているナミとゾロに、ロビンがそっと声をかける。
「2人とも、船に戻ってていいわよ。お金なら私が払っておくから」
「でも・・・」
「お祝いですもの、このくらいするわ」
優しく微笑んだロビンにポンと背中を押され、2人も慌ててルフィたちの後を追った。
「・・・・言っとくけどな」
「ん?」
「あの女に言われたからじゃねぇぞ」
「何が?」
「式」
「あぁ・・・」
「おれも、ちゃんとその気はあったんだからな・・・・」
「・・・うん・・・・」
「ただ、まだ世界一の大剣豪にもなってねぇし、色々とけじめがな・・・・」
「うん、分かってるよ」
「・・・・・・腹、さっさと気付いてやれなくてごめんな」
「ううん、いいの」
「・・・なんだ、今日はやたら素直だな」
「だって」
「だって?」
「だって、今日から私たち夫婦なんでしょ?」
「・・・・改めて言うな・・・・」
「それだけで充分幸せvv」
「・・・・ふぅん」
「これからもよろしくね、パパ?」
「・・・・よろしく、ママ」
「・・・・似合わないっ」
「うるせぇっ!」
30000HITキリリクだーーい。
『結婚宣言するゾロナミ、お付き合いは秘密。ついでにナミさん妊娠』。
あれ、宣言っつーか式になっちまった。
むしろロビンちゃんが宣言している。
そして相変わらずの尻切れ終了。
えらい長くお待たせして・・・。
ゾロ誕・遊廓が終了してようやく落ち着いたので。
本当は、『僕たち私たち結婚しまーす!』っていうアホ2人の図が浮かんだんですが(笑)、
あまりにウチのゾロとキャラが違いすぎるのでやめました。
ということで友子さんへ。
拒否られても押し付けます!!(笑)。
校正してたら、友人から結婚しますメールが!!!
タイムリーー!!!!!!
おめでとーーー!!!!
って、ココで叫んだところでこっちのサイトは内緒なんですけど。
ナミさんが読んでたのは○クシィです(笑)。
九州版でお願いします。
数年前、姉のウェルカムボードを妹が手作りし、この雑誌に載りました。
いい出来でした(自慢げに)。
2006/02/10
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