30000ゲッター、友子さんへ愛をこめて。

式。







 「航海士さん、何の本読んでるの?」

 「・・・・・えっ!? あっっ!!!」





机でぼんやりと雑誌をめくっていたナミは、
突然背後からロビンに覗き込まれ、慌てて閉じて隠そうとする。




 「あら・・・・」

 「べべべ別にちょっと面白そうだったから買ってみただけで!! 大した意味は無いのよ!?」

 「どうしたの慌てて?」

 「別に慌ててなんか!!」

 「素敵な雑誌ね。剣士さんと見るの?」

 「・・・・・あいつはこんなの、興味ないわよ・・・」




ナミが読んでいたのは、いわゆる結婚情報誌だった。
ロビンに見つかって真っ赤になっていたナミだったが、
『剣士』という単語が出た瞬間、しゅんと大人しくなった。


ゾロとの関係はルフィたちには秘密にしているのだが、ロビンにはすぐ勘付かれてしまった。
最初はナミもどう誤魔化そうかと必死だったが、
いったんバレてしまうと女同士で色々と相談もでき、逆に助かっている。




 「・・・そうなの?」

 「あいつが・・・結婚とか、興味あるように見える?」

 「・・・まぁ、2人ともまだ若いから・・・あせらなくてもいいんじゃない?」



慰めるようにロビンは微笑んで、ナミの頭をなでる。





 「・・・・もうすぐ2年なの」

 「2年?」

 「私とゾロが、その・・・付き合い始めて」

 「そう」

 「・・・・・・・」

 「どうしたの?」

 「・・・実はね、ロビン・・・・」

 「?」




























1週間後、予定通りに島に着いたゴーイングメリー号では、
ナミによるお小遣い配布と、船番決定が行われていた。



 「はい、これが今回のお小遣い。無駄遣いしたら承知しないわよ!」

 「ログは?」

 「明日の朝にはたまるわ。お金無い人は船で寝なさいよ」

 「全員だろ」

 「まぁ、そうね。じゃあ夕食はどうする?」

 「おれなら構いませんよ。作りましょうか?」

 「じゃあ今回は節約コースってことで。夕方前には戻ってきてねみんな」

 「船番はどうします?」

 「私がするわ。部屋の掃除したいの」

 「お手伝いしましょうか?」

 「いいわ。サンジくんは買出ししてもらわないと」








ナミは上陸するクルーたちの背中を船の上から見送った。
サンジが何度も振り返り手を振ってくるので、そのたびに苦笑して振り返す。


少し視線をずらすと、恋人の背中が目に入る。


眠そうにあくびをしながら、のんびりと歩いている。
その隣に、さり気なくロビンが接近する。





   『私でよかったら、協力するわよ?』

   『うぅん・・・・やっぱり、あいつから言ってくれるの待ってみたいし・・・』

   『何かあれば、いつでも言って』

   『うん、ありがと』





あの時は確かに待つつもりだった。
今もその気持ちは変わらない。

だが今のロビンの行動を見る限り、この上陸の機会に何かするつもりだろう。
ロビンの気持ちはありがたい。
もしかしたらゾロにこっそり話すのかもしれない。

それでもいい、と思った。

気付いてくれるまで待つつもりだ。
でも早く気付いてほしい。

2つの想いがぐちゃぐちゃになって、ナミははーーっと溜息をついて部屋に戻った。




















陽が沈む前に、大体のクルーは戻ってきていた。

サンジは既に夕食準備に取りかかっているし、
お金の無いルフィやウソップ、チョッパーも、いつものように甲板で騒いでいる。


戻っていないのは、ロビンとゾロだった。





 「遅いわねあの2人・・・・」

 「あいつらなら、何か2人で話してたぞ」



船首から島を睨んでいたナミの呟きに、ルフィがメリーの上から答える。



 「いつ頃?」

 「上陸してすぐくらい」

 「ふーん・・・・」




やはりロビンは『あの話』をしたのだろうか。
それにしても遅い。




まさかゾロの回答に怒ったロビンが・・・などと一人で悶々としていると、
急にロビンの顔が目の前に現れた。



 「きゃあ!!」

 「あら、航海士さん」



驚いたナミが手すりから離れると、ロビンははしごを登り終え、ひらりと甲板に足を下ろす。



 「あーーびっくりした・・・。おかえりロビン」

 「呼びに行こうと思ってたの、ちょうどよかったわ」

 「え?」

 「一緒に来てくれる?」



ロビンはそう言ってナミの手をとり、またはしごを下りていく。



 「あれ? ロビンちゃーーん!ナミさーーん! もうすぐゴハンですよーー?」

 「すぐ戻るわ!」



キッチンから叫んだサンジにそう返して、ロビンはナミを半ば強引に引っぱるように船を下り、町に向かった。


















1時間後、再びロビンはメリー号に戻ってきた。



 「遅いぞロビン!! お前の分の肉も食っちまうぞ!!」

 「遅かったねーロビンちゃんvv さーー夕食だ!! あれ?ナミさんは??」



一人で戻ってきたロビンに、クルーはみな不思議そうな顔をする。



 「ごめんなさいねルフィ、夕食はもうちょっとお預けよ」

 「えーーーーー!!!!???」

 「どういうことだ?」

 「みんな、ついてきてくれる?」



ロビンはにっこりと笑って、
先程のナミと同じように、みんなを街へと連れ出した。

















ロビンに連れられて着いた先は、島の小さな教会だった。




 「教会?」

 「なになに? おれとロビンちゃんの結婚式?」

 「ふふ、あなたじゃなくて剣士さんよ」

 「ゾロとロビンが結婚すんのか?」

 「何だとクソゴム!! そんなの有り得ねぇーー!!!」

 「私じゃないわ」

 「・・・・てことはゾロと、誰かの結婚式?」

 「そうよ」





ロビンの言葉に、一同は思わずシンとなる。


未来の大剣豪(仮)と『結婚式』。
万年寝太郎と『結婚式』。
ミドリマリモと『結婚式』。
迷子剣士と『結婚式』。


あまりに不釣合いな言葉に、揃って首を振る。



 「「「「ないないないないない」」」」

 「でも事実よ。今から彼の結婚式をするわ」




 「「「「・・・・・・・マジでぇ!!???」」」」





2006/02/10

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