「お前はおれについてくりゃえぇんじゃ!!」

 「………」

 「………」

 「な、なんかそれって」

 「………」

 「プロポーズみたい」

 「こ、言葉のアヤじゃボケ!!!」







春から通う高校を覗きに行くというので、じゃあ私もと一緒に行くことにした。
与作は『何でお前と』とブツブツ言っていたが、うるさいと言って黙らせた。
どうやら走って行く気だったらしく、Tシャツにジャージ姿の与作はそれでも私の歩調に合わせてくれた。
文句は言ってたけど。

だけど、私が思っていたのとは違う道を歩き始めたので、慌てて聞いた。
こっちが近道だと言うけど、怪しい。
自分の通学ランニングコースじゃないの?
そう思ってしつこく聞いたら、与作のその返事が先程のもの。







耳の後ろがうっすら赤い。
それを見つけてしまって、ふふと笑うのが抑えられない。

背中を向けてさっさと歩き出した与作を追いかけて、後ろからその腕にしがみついた。



 「うぉ!! 何しとんじゃ!」

 「ついてったら、どこに辿り着くの?」

 「ヌ?」

 「ねぇ」



もちろん、今向かっている高校という意味ではなく。
それは与作にも通じたようで。

上目遣いで見ると、立ち止まった与作はしばらく考えたあと空を見上げた。
釣られて、同じように見上げる。




高く澄んだ青い空。
飛行機雲が綺麗な筋を描いて、青い色のド真ん中を横切っている。

ぼんやりとしばらくそれを2人で見上げて、それからまた与作を見た。




 「与作?」

 「…空」







    鷹は、翔ぶんじゃ






いつもの口癖を呟いたから、思わず笑ってしまった。




 「何を笑ぅとんのじゃこら!」

 「ううん、与作らしくて好き」

 「す……」



たまには素直に言ってみたら、また与作の耳が赤くなる。

まわりの皆は、きっとこんな与作の姿を知らない。
だから人殺しとか何とか、まぁ当たらずとも遠からずだけど噂しちゃうんだ。

本当はただの、野球バカなのに。




 「…空には、何があるの?」

 「ヌ?」

 「私も一緒に行けるんかな」

 「……約束、したじゃろーが」

 「え?」

 「甲子園」

 「……」




腕にしがみついたまま、目を丸くして与作の顔を見上げる。
与作は横目を合わせて、だけどすぐに決まり悪く目を逸らした。



 「……何か言え」

 「…覚えてたんだ」

 「……当たり前じゃ、ボケ」



今度は頬まで赤くなっている。
何よ、野球バカのくせに。
喜ばせてくれるヤツ。




 「…楽しみだな!!甲子園!大阪!」

 「甲子園は兵庫」

 「……関西!」

 「誤魔化すな」




『空高く、舞い上がれ』

とりあえずまぁ……こんな……うん。
美咲のキャラがいまいちまだ分からない(鷹みさサイトと言いながら)。


2006/12/10 UP

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