手。
「密貿易?」
「あぁ、大分儲けてるみたいだぜ。それに・・・最近武器関係にも手を出してる」
「そんなの、この町で何に使う気だ?」
「別にここで使わなくたって、外にゃ買い手は腐るほどいるさ」
そう言ってウソップは、ゾロの前にポンと紙の束を投げた。
「ま、とりあえず調べたことは書いてある」
「悪ぃな」
ゾロはそれを手に取り、目を通す。
無言で文字を追うゾロの姿を、ウソップは串団子を頬張りつつ見つめた。
「で・・・お前さ、それどうする気だ?」
「別に」
「脅迫でもすんのかよ」
「・・・・お前は、忘れろ」
「今さら」
脅迫。
果たしてそれだけで済むものか。
あの男を前にして、おれは『脅迫』という話し合いだけで終えることができるだろうか。
多分、無理だ。
裏の犯罪をあの男が素直に認めるとも思えない。
おれはアーロンを殺す。
あの男は、殺されて然るべき男だ。
だが、それでいいのか。
そんな形でナミを解放することは、正しいことなのか。
おれには分からない。
それでもおれには、もうそれしか浮かばないんだ。
どうしても、ナミが欲しい。
どうしても、ナミを解放したい。
そのためにおれ自身ができることは、あの男を殺すことだけだ。
「何やらかす気なのか知んねぇけど、どっか行くならサンジ連れてけよ」
「・・・何で」
「サンジがいたら、お前無茶しねぇだろ?」
「・・・・・・お前おれのこと分かってんなぁ」
「ウソップ様に見抜けぬことはない、ってな!!」
「ははっ。 まぁ、そのつもりだったよ」
サンジには話そうと思う。
でもあいつは多分、止めるどころか背中を押すだろうな。
それでいい。
誰にも止めることはできないのだから。
ナミ
お前は、自分は穢れていると言う。
だがおれのこの手こそ、血で穢れるのだろう。
その手でお前に触れることを、
お前は許してくれるだろうか。
2006/01/31 UP
ゾロ。
もっと別の方法があったとしても、
今のゾロにはこれしかなかったのです。
ということで・・・(笑)。
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