孤。










ふと目が覚める。

小さな寝息が聞こえない。










一緒に居たのは、1ヶ月にも満たない時間だった。
それでも、
ずっと昔から傍に居たように感じていた。



昔からの友達のようで
妹のようで



守ってあげたいと
共に戦いたいと
傍に居たいと


そう思える少女だった。






あの子の決めた生き方を
私が無理矢理変えさせることはできない。

彼女は生きる場所を、自分で決めたのだ。



遠く離れていても
心は私達と共にある。











だけど
夜中に目が覚めたとき、
ずっと傍にあると思っていた、思い込んでいた気配が、無い。



小さいときは、ノジコとよく一緒に眠った。
でもそれもすぐに離れ、
一人で眠ることなど慣れているはずなのに。

自分以外、誰の気配も無いこの部屋が、
やけに広くて、暗くて、
ひどく冷たい感じがした。





どうして目が覚めてしまったのだろう。
これが朝なら、こんな気分になどならなかっただろうに。

あの子がここにいないだけで、
私は世界でたったた一人になってしまったような、
そんな気持ちになってしまう。


たった一人に。






誰か。















 「ゾロ・・・・」



耐え切れず、名前を呼ぶ。

誰でもよかった。

出てきた名前は、ゾロだった。
あの子は呼んでも、ここにはいない。
私が一人ではないと、誰かに証明してもらいたかった。

無意識に出てきたのは、ルフィでもノジコでも誰でもない、ゾロだった。

いつの間にか流れた涙が、頬を伝う。
冷たい。



 「ゾロ・・・・・」



自分にも聞こえるか聞こえないか、そんな小さな音ですら、
この部屋ではひどく大きく聞こえる気がする。












 「ナミ」







男部屋と繋がる扉から、かすかな声がした。

ビクリと体を震わせて、扉を見つめる。



コン、と軽く叩く音がして、その声がもう一度私の名を呼ぶ。



 「・・・・ナミ?」

 「・・・・・・・・・・ゾロ」

 「どうした」

 「・・・・・・どうしたって、何が・・?」

 「呼んだろ」

 「・・・・・・・」



聞こえるわけがない。
ほとんど声には出していなかったのだ。
男部屋になど、その声が届いたはずがない。



 「泣いてんのか?開けるぞ?」



皆を起こさぬよう、静かに扉を開けてゾロが覗き込んでくる。

私の顔を見て、ガラにもなく心配そうな表情を見せる。



 「どうした・・・・入るぞ」



扉を抜けて、ベッドの上で座り込んでいた私の正面に、同じように腰を下ろす。






 「・・・・・・・」

 「どうした」

 「・・・・・ビビ、が」

 「・・・・ビビ?」

 「ビビが、いないの」

 「・・・・・・」

 「目が覚めて、一人で、・・・」

 「・・・・・・」



ゾロが優しい声で聞いてきたので、また涙腺が緩んできた。

遠慮がちに抱き寄せられるのにも、抵抗しなかった。





 「泣くなよ」

 「だって」



決して強くではない、でもしっかりと、ゾロは抱きしめてきた。





 「ビビなら泣いてねぇぞ」

 「・・・・・」

 「今頃大忙しだろうからな」

 「・・・・思い出しもしないって言うの?あの子はそんな薄情な・・・」




言葉に引っかかって思わず顔を上げると、ゾロの優しい笑顔と目があった。





 「夜中に思い出して、笑ってるよ」

 「・・・・・」

 「船長のゴム風船の姿とか、狙撃手のホラ話とか、コックのたらしっぷりとか、船医の純粋さ、とかな」

 「・・・・・・」

 「あと・・・航海士の魔女っぷりも」

 「・・・・魔女って何よ・・っ」



ふざけた口調でゾロが付け加えたので、ゾロの胸をバシ、と叩いた。





 「あいつは笑ってるよ」

 「・・・・・・」

 「だからお前も、泣いてる暇あったら笑っとけ」

 「・・・・・・」








ゾロの胸は広くて暖かくて、
話すその声や、髪を撫でてくれるその手は優しくて、
あんなに冷たかった部屋の温度が、少し上がった気がした。








あの子は笑ってる。
私たちを思い出して、笑ってる。












ビビ、あんたの笑顔は本当に綺麗で、優しくて。


それを思い出すと、やっぱりまだ少し泣けるけど、



だけど、
私もあんたを思い出して笑うから

あんたも

私たちの笑顔を思い出して、笑っていてね。





「夜起きて誰もいないのが寂しくてしょうがないナミが、ゾロに助けを求める」
10/13に拍手でリクくれた方。
ナミ誕かビビ誕みたいになってしまいました(爆)。
ダメ?
ちなみにこの2人はまだデキてないです。
ロビンちゃんの存在はとりあえず置いといて(笑)。

私はどうも『笑』というテーマ(?)が好きらしい。
やっぱ『笑う』ことって人生必要ですよね。

2005/10/30

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