甘。








 「あのなゾロ!今日お前の誕生日だろ!」






ルフィが、昼寝中のゾロの隣にしゃがみこんで
ゾロを見下ろしながら言う。

いい感じにウトウトしていたゾロだったが、
目を開けると満面の笑みのルフィがいたので、怒るに怒れなかった。




 「あぁ」

 「皆からのプレゼントがあるぞ!」

 「そりゃどうも。何くれんだ?」

 「今日は皆で、お前を甘やかしてやる!」

 「・・・・は?」



眠いので適当に返事していたのだが、
ルフィの謎な発言にゾロは上体を起こす。





 「して欲しいこととか無いか?何でもしてやるぞ今日は!!」

 「お前が?」

 「皆だ!」

 「・・・・・それ、誰の発案だ?」

 「ナミ」




ルフィが即答し、ゾロはやっぱりな、といった感じで頭を抱える。

あの女、安くすませやがったな。
しかも面倒くせぇ!





 「ナミってことは、金のかかる注文はナシなんだろうな」

 「うーん、あ!酒たらふくってのはナシだって言ってたなぁ」

 「・・・・やっぱりか」




ちっ、と舌打ちをして、ゾロは宙を睨む。







 「で、ゾロ!何してほしい!?」



そんなゾロにかまいもせず、ルフィはウキウキと聞いてくる。




 「・・・・あー・・・・、考えとくから、今はいい」

 「そうか、分かった!じゃあ後でな!」

 「あぁ」



















10分もしないうちに、ルフィはメリーの上に座って、
甲板で眠るゾロに叫ぶ。




 「おーいゾローーー!!考えたかーー!?」

 「・・・・あーー・・・・・・・」



ルフィはメリーからぴょんと飛び降り、ゾロの傍まで飛んできた。
せっかく寝かけたのに、ゾロはまた起こされてしまい、こっそり溜息をつく。






 「何してほしい?」

 「あー・・・・・・、そうだな・・、魚が食いてぇ」

 「魚?」

 「でっけぇ魚釣ってくれよ、ルフィ」

 「・・・・分かった!!!まかせとけ!!!」



ゾロはにっこりと微笑み、それを見たルフィは嬉しそうに釣竿を取りに倉庫に走った。
















倉庫からはちょうどウソップが出てきたところだった。



 「お、ルフィ、何だオイ嬉しそうだな」

 「ゾロへのプレゼントだ!魚釣るんだ!」

 「えー、お前もう決まったのか!?」



倉庫に消えるルフィが残した発言に、ウソップは慌ててゾロの元にやってきた。



 「おいおいゾロ!おれには何してほしい?」

 「うー・・・・ん・・・・。あぁそうだ、靴がな」

 「靴?」




まさかこんな感じで一人一人に何か言わにゃならんのか、と
ゾロは嫌な予感を抱きつつ、
ウソップから聞かれて必死に考えて、『プレゼント』を考えた。




 「踵のあたりが、何か破れそうなんだ」

 「お安い御用だ!直してやるよ!他には?」

 「他・・・服はほつれてるのがあるが・・・・」

 「よしよし、全部持ってこい!ついでに洗ってやろうか?天気いいし」

 「いやそこまでは・・・」




いくらプレゼントとはいえ、
そこまでされては気が引ける。
だがウソップは、ゾロからのリクエストに嬉しそうだった。



 「いいんだって、誕生日プレゼントなんだからな!」

 「・・・そうか?じゃあ、悪ぃけど・・・」

 「まかせろ!」



そうしてウソップは、ゾロの脱いだ靴を抱えていそいそと男部屋へと消えた。
















ゾロは裸足のままでその後姿を見送っていると、
ロビンとチョッパーが連れ立ってやってきた。



 「剣士さん、もう皆にリクエストしてるんですって?」

 「なぁゾロ!おれには!?おれには何してほしい?」

 「私は?」




にこにこと2人に微笑まれ、ゾロは顔を引きつらせる。

正直、誰かに何かしてほしいことなど、今は無かった。
ルフィやウソップに頼んだ事も、
必死で考えあぐねた結果だった。

それなのに2人は、無邪気な笑顔で催促する。





 「ゾロ!」

 「剣士さん?」







 「あーー・・・昼寝がしてぇな・・・」







思わず呟いてしまったゾロの言葉に、
ロビンは何か思い立ったのか、ゾロを座らせて自分もその隣に座った。






 「じゃあ、枕を提供するわ」

 「は?」





よいしょ、とゾロの体を倒して、
ロビンは自分の太腿の上に、ゾロの頭を乗せた。



 「おい・・・」

 「航海士さんの方がいいかしらやっぱり」

 「・・・・うるせぇな・・・」



笑いながら見下ろすロビンを、ゾロは睨み上げる。

少し顔の赤くなったゾロを見て、ロビンはまた微笑む。






 「ゾロ!ゾロー!おれはーー!!?」



寝転んだゾロの周りをグルグル回りながら、チョッパーが言う。






 「あー・・・・じゃ、抱き枕で」





そう言ってチョッパーを捕まえて抱き寄せる。



 「もっと他にはない?」

 「・・・・いや、これでいい」





相変わらず微笑んで言うロビンに、ゾロはそう返した。

そのまま、チョッパーを抱きかかえ、ロビンの膝枕で、
ゾロはようやく平穏な昼寝をすることができた。



















 「あーーー!何羨ましいことになってんだーー!!」





キッチンから出てきたサンジは、眼下の甲板の光景を見て叫んだ。



 「ふふ、寝ちゃったわよ2人とも」



ロビンはゾロとチョッパーの頭を撫でながら、サンジを見上げる。






 「チョッパーのそれって、プレゼントになってんの?」

 「でも剣士さん、気持ちよさそうよ。ふわふわして」

 「そりゃロビンちゃんの膝枕だもん!気持ちよくなかったら男じゃねぇ!!」

 「ふふ」



力説するサンジに、ロビンは小さく笑う。

サンジは階段を下りて、倉庫から食材を取って出てきた。
そのまま3人の傍に近づいて、しゃがみこむ。




 「いいなぁチクショウ。ロビンちゃんおれの時もしてくれるー?」

 「あら、膝枕だけでいいの?」

 「いいや!!」

 「誕生日をお楽しみに」

 「はーいvvvv」





サンジは目をハートにして、キッチンの中に戻った。



















夕食の時間になり、ロビンは2人を起こし、共にキッチンに入った。



 「誕生日おめでとうゾロ!!」



既に揃っていたクルーが、一斉に叫ぶ。





 「ゾロ、ほら靴!あと服も。取り込んで部屋に置いてるからな」

 「ゾロ!!おれもおれも!魚釣ったぞ!すっげーデカイやつ2匹も!」



ルフィが叫びながら指差すテーブルには、
巨大魚の活き造りや、サンジの手によって鮮やかに料理された品々が並んでいた。
パタパタと振る尻尾が見えそうな2人に苦笑しながら、
ゾロは席につく。



 「当然、肉もあるぜ」



サンジが両手に皿を抱えながらニヤリと笑う。




 「そしてコレだ」




ゾロが座った席の前に、サンジはどどんっ!と酒瓶を置いた。





 「酒樽もある。浴びるほど飲みやがれ!!」

 「・・・酒たらふくはナシだって聞いたぞ」




サンジの意外な行動に、ゾロは若干驚きつつ酒瓶を見つめた。




 「おれがお前を甘やかすのなんて、これぐらいしかねぇからな。
  それとも何か?もっと違うことで甘やかしてもらいたかったか?」

 「気持ち悪ぃこと言うな、これで充分だ」

 「今日だけの特別だ、じゃんじゃん飲め!」

 「あぁ、ありがとう」




目の前の酒瓶や、キッチンに転がっている酒樽を見回して、
ゾロは嬉しそうに言った。
それを見て、サンジも満足げに微笑む。



 「素直でよろしい」

 「お前らも、ありがとな」



ゾロは皆が座ったテーブルを見回しながら、全員の目を見てそう言った。






 「へへ!誕生日おめでとうゾロ!よし!食うぞ!」

 「主役より先に食うんじゃねぇ!」



サンジに叩かれても気にせずに、
ルフィは眼前の肉にかぶりついた。

それからは、いつもと変わらぬ食事風景。




















 「おいナミ、さっきから何で黙ってんだ?」

 「別にー」



ゾロの隣に座っているナミは、黙々と食事をしていた。



 「・・・・今日は甘やかしてくれんだろ?お前は?」



ナミの顔を覗き込むようにそう言ったゾロに、
ナミは冷たい視線を返す。



 「ロビンの膝枕は気持ちよかった?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・」

 「どうなの?」

 「・・・・・・・・いや、別に、あれは、」



妙な汗をかいて固まるゾロに、ナミは耐え切れず噴出した。



 「冗談よ!今日は特別な日だから、許してあげる」

 「そりゃどうも・・・・」



ふーっと、小さく息を吐いて、ゾロは椅子に座りなおした。



 「それにね、私のは膝枕なんかには負けないから」

 「あ?」





脇目もふらず食事に食らいついているクルーたちが気付かぬほど素早く、
ナミはゾロにキスをした。




 「私のプレゼントは、夜のお楽しみね」

 「・・・・甘やかしてくれんのか?」

 「存分に」

 「そりゃ楽しみだ」








「皆でゾロを甘やかして!最終的にはゾロナミ」
10/2に拍手でリクくれた方。
甘やかせてますかねコレ・・・?
とりあえず、こんなんになりました!
タイトルが・・・思い浮かばねぇ・・っ!!!

精神的ゾロ総受?
去年のゾロ誕はナミさんの膝枕でしたね。
何気にサンロビが混ざってます今回も。

2005/10/21

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