流。





あんたの傷が増えるたびに

私が

どんな思いでいるのか分かってる?

分かってないでしょ?

分かってれば、そんな傷、作らないでしょ?

あんたは分かってないのよ

全然分かってない

分かってないのよ















 「痛ぇよ・・・」

 「自業自得」

 「・・・・」



ぱっくりと割れた腕の傷からは、いまだに血が流れていた。
肘から伝い落ちる血が、床を赤く染めていく。
押し当てている布など、あっというまに意味をなさなくなる。



 「つーかお前、縫えんのか・・」

 「しょうがないでしょ、チョッパーは街に出てるんだから。
  せっかく久々の上陸で、何でこんな怪我して戻ってくるのかしら」

 「・・・・」

 「やっぱあんたは船番してた方がいいわね。明日の船番、あんたよ」

 「あー五月蝿ぇな、いいよもう自分でやるから」

 「いくらあんたでも、片手じゃ縫えないでしょ」

 「・・・・・・くっつきゃいいんだよ、そんなもん」

 「・・・・」



わざと傷口に流水を流し込む。



 「っ、」

 「痛い?」

 「・・・てめぇ、わざとか」

 「だって私、医者じゃないもの。やり方なんて分かんない」

 「・・・・やっぱ自分でやる。貸せ」

 「いや」




手を伸ばしてくるゾロを無視して、傷の周りの血や汚れを洗い流す。





 「痛い?」

 「痛ぇよ」

 「当たり前よ、だってあんた、生きてるんだから」

 「・・・・」

 「死んだら痛いも何も無いのよ」

 「そりゃそうだろ・・・」

 「だから、いっぱい痛がりなさい」

 「・・・・・」



チョッパーの救急箱から縫合針と糸を探し出して、縫い始める。



 「あんたが血を流すたびに、私はその傷を抉ってやる」

 「・・・酷ぇ女だな」

 「それが嫌なら、一思いに死になさい」

 「・・・・・」

 「それも嫌なら、血を流さなければいいのよ」

 「・・・・・」




流れ続ける血が、私の手も染めていく。




 「傷なんて、作らなければいいのよ」

 「・・・・泣くなよ」

 「泣いてるんじゃないわ」

 「泣いてる」

 「怒ってるのよ」

 「泣きながら怒るな・・」




腕が、指が、震える。
皮膚を貫く感触に、頭の中が赤く染まる。



 「・・・こわいのよ」

 「何が」

 「自分が」

 「・・・・・」

 「・・・はい、終わり。夜にチョッパーが戻ったら、ちゃんと縫い直してもらって」
















あんたがいなくなったときが怖い

あんたのいなくなった世界で

自分がどうなってしまうのか

自分が何をするのか

それが

怖い




そんなに傷を作って

あんたはいつか

私を置いて

いってしまう


血を流して

赤く染まって

そうして私の元から去っていく






置いていかないで

私はそんなに強くない

分かってる?

あんたは何も分かってない




ナミさんはこんな弱くはないと思うが。
でもまぁこんな心境のときもあるでしょう。
つーかまたこんな話・・・。
気付けばシリアス話ばっかりだ・・。

2005/10/07

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