終。










ゾロに、終わりにしようと言われた。

大分前から、分かってはいたのだけど。










私にしか見せなかった顔を、ロビンの前で見せる。
前はロビンが見張りのときは女部屋に来ていたのに、来なくなった。

そして、時折私に見せる、辛そうな表情。


耐えられなかった。


あの顔を見るたびに、心の中で悲鳴が聞こえるような気がした。


それでも私は。















 「もう、無理?」


返事など分かりきっているのに、聞かずにはいられなかった。


 「・・・・すまん」




謝らないで。


謝らないで。





 「ロビンが・・・、好きなの?」

 「・・・・・・あぁ」

 「私は?私のこと、嫌いになった?」

 「違う、そうじゃない」

 「じゃあ、何で?」




ゾロが言葉に詰まる。
ゾロはこういうことを、言葉で表現するのが苦手だと知っているから、
わざと聞く。

このくらい、仕返ししてもいいでしょう?






 「・・・・あいつの、横に居たいと、思ったんだ」





自分で聞いておいて、ゾロの返事にすぐ後悔した。
聞くんじゃなかった。






 「・・・・わかった」




 「ナミ」




名前を

呼ばないで。




 「大丈夫よ。じゃあ、私、日誌書かないと」



 「ナミ」




呼ばないで。
愛してくれたその声で、
そんな声で。
私を。





 「お前になら、おれよりイイ男なんて腐るほどいるよ」





そんな言葉で、慰めてるつもりなのかしら。
そんな言葉で、私が慰められると、まさか本気で思ってるのかしら。

冗談じゃないわよ。


怒りとか悔しさとか哀しさとか寂しさとか。
いろんな感情が混じって泣きそうになるのを必死にこらえて、振り返って笑った。
きっとゾロにはその強がりも、バレているけど。




 「当たり前でしょ」

 「・・・・だな」




あぁ、またあの顔。




 「じゃあね」



私の好きだったゾロは、そんな顔をしない。
させているのは、誰?
ずるずるとゾロの優しさに甘えて、
もう終わっている関係を続けさせたのは、誰?


















階段を下りていくと、メリーの上からルフィが声をかけてきた。
会話が聞こえていたとは思わないけど、
きっとこの男には全部お見通しだろう。




 「ナミ」

 「・・・・何よ」



いつものように笑いながら、ルフィは言った。




 「泣くなよ」

 「・・・・泣かないわ」

 「でも泣きたくなったら、おれんとこ来いよ」

 「・・・・何よ、慰めてくれるの?」

 「コレ貸してやるよ」




ルフィは自分の頭の麦わらをポンポンと叩き、また笑う。





 「・・・ありがと」



 「お前、船降りるなんて言わねぇよな?」

 「・・・・・・・・当然でしょ、私はこの船の航海士よ」





ルフィの目をまっすぐに見て、言えた。

あぁ大丈夫だ。


本当は、さっきまで分らなかった。
あの2人の傍で、この船の上で、自分が耐えられるかどうか。

でも、ルフィの問いに、私はまっすぐ答えられた。

大丈夫。

私はこの船の航海士。

それに変わりはないんだから。

私の居場所は、ちゃんとある。







 「ししし!ナミ!!おれお前が好きだぞ!」

 「私もあんたのこと好きよ、ルフィ」



満面の笑みのルフィに、私も素直に答えた。



 「だから、早く笑えよ?」

 「・・・」

 「好きなヤツには、やっぱ笑っててほしいだろ?」

 「・・・・・・そうね」








ゾロの笑顔が、私は好きだった。

その笑顔が変わったことに私は気付いていたのに、
気付かないフリをした。

ロビンとゾロの、あの辛そうな笑顔に、気付かないフリをした。
自分たちの関係が、もはや終わっている事に、気付かないフリをした。


私がもっと早く、ゾロと別れていれば、
2人にあんな顔をさせずにすんだのに。

ずっと笑っていてほしいと、思っていたのに。


その笑顔を奪ったのは、私だ。













 「ナミ」

 「・・・・なに」

 「お前は少しも悪くないんだぞ」



私の心を見透かしたかのように、ルフィが真面目な顔で言う。



 「ただな、動いちまったもんは、しょうがねぇんだ」

 「・・・・」

 「お前のせいじゃねぇよ」

 「・・・うん・・・」

 「早く笑えよ?ナミ」

 「・・・うん」












ゾロ。

ロビンの傍なら、笑っていられる?
私が好きだった、あの笑顔のままで。


私、ロビンもゾロも、大好きよ。



だから


笑ってね。

笑っていてね。

もうすぐしたらきっと私も

笑えるから。









 「メリー、乗るか?」

 「・・・・後で、乗せて」

 「わかった!」





とりあえず今は、ルフィから麦わらを借りておくから。




やってしまった破局ネタ。
ナミ誕でのUPを控えてたらこんな時期になりました。
むむ・・・・。
いや本当ゴメンナサイ。
ここはゾロナミ中心サイトですよ?(笑)。
全面的にゾロが悪ぅございます。
でもどうしようもないんだよ!だって好きになっちゃったんだもんね!
・・・ファイト、ナミさん!
ちなみにルナミには発展しませんので。サンナミにもなりません。

2005/09/17

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