煙。
いつものように夕食後の片づけを終え、
サンジは一息ついて、新しい煙草に火をつけた。
キッチンのテーブルで日誌を書いていたナミはそれを見て、
以前から気になっていたことを口にした。
「サンジくんってさ、煙草一日何本くらい吸うの？」
「え？いやー・・・数えた事は・・・」
「１箱は吸ってるわよね？」
「そー・・ですねぇ・・・そんなもんかな」
ペンをクルクル回しながら、ナミは大きな目をサンジに向けた。
「美味しいの？」
「美味しいというか・・・・無いと、どうもね」
「へぇー」
サンジが吐き出す煙を、ナミは子供のようにじーっと見つめている。
そんなナミをかわいいなぁ、とサンジは顔を崩しまくって、しみじみと思った。
「ナミさんは吸えないんだっけ？匂い平気ですか？」」
「うん、ベルメールさんが吸ってたから匂いは平気よ」
「この船の奴らはみんな吸いませんよね」
「そうね」
「マリモ野郎は・・・どうだったかな・・」
いちいち頭に浮かべてやるのもムカつく相手だが、
この船の中では唯一喫煙の可能性がありそうな人間だった。
サンジは今までのゾロとの会話（というか喧嘩）から、
それらしい発言があったかどうか思い出そうとした。
「ゾロ？見たことないなぁ。吸えないのか、吸わないのか・・」
「吸えないとしたら意外に子供だな、あの野郎も」
「あはは、そうね」
「酒寄越せ」
「何だその態度は」
ナミが部屋に戻り、サンジが見張り用の夜食を作り始めた頃、
ゾロがキッチンに入ってきた。
「うるせぇ、眠気覚ましだ」
「お前結局いっつも寝てるじゃねぇか。夜食と一緒に渡すから待ってろ」
「とりあえず先に酒寄越せ」
「へっ、煙草も吸えねぇお子様が、一丁前に酒だけは飲みやがる」
サンジは挑発する口調でそう言った。
「あぁ？」
「吸えねぇんだろ？」
出来上がった夜食をテーブルに置いてゾロに向き直り、
咥えていた煙草をサンジは見せ付けるように深く吸い、煙をゾロへ向けて長く吐き出した。
無言でそれを見ていたゾロは、
ゆっくりサンジの傍まで歩み寄る。
「な、何だ、やるか！？」
無言で近づいたことに戸惑っているサンジの真正面に立ち、ゾロはさらに近づいた。
「なん・・・・・」
口を開いた隙に、ゾロはサンジが加えていた煙草を奪い、それを口にした。
「おいっ・・」
軽く目を閉じて深く吸い込み、溜めるように一呼吸置いた後、
ゾロは俯いてゆっくりと長い煙を吐き出した。
サンジは声も出せず、目の前のその姿をを眺めていた。
悔しいが、かなりサマになっていた。
吸えないどころか、かなり吸い慣れた様子だった。
ゾロはもう一度吸い込み、目を開けて、
視線だけをサンジに向けた。
「・・・っ、何だよっ・・」
ニヤリと笑って、ゾロはサンジに向けて煙を吐き出し、
その煙草をサンジの口に咥えさせた。
「ごちそうさま」
サンジの目の前でそう呟いて離れたゾロは、
夜食の皿と酒を一本掴んで、キッチンから出て行った。
残されたサンジは、ただ固まっていた。
ポロリと、口元から力なく煙草が落ちる。
「この、エロ剣豪・・・！！」
唇に触れたゾロの指は、冷たかった。
「・・・ゾロ？」
「何だ」
はしごを上ったゾロは、見張り台の中で待っていたナミに皿と酒を手渡して、その隣に腰を下ろした。
酒をまた受け取り、そのままあおる。
「何か、サンジくんの匂いがする」
「・・・・あー、煙草吸ったからだろ」
もう一度あおってから、ゾロはナミに瓶を渡す。
「ゾロ、煙草吸うの？」
「いや、あいつが吸ってたのさっき盗っただけ」
「ふーん・・・」
「どうした」
瓶を両手で持ったまま飲まずにいるナミを、ゾロは訝しげに見る。
「お風呂入ってきて」
「は？」
「匂い」
「何だよ、お前煙草平気だろ？」
「平気よ、でも嫌」
「何だよそりゃ」
瓶を両手で抱え込んで、ナミは頬を膨らませる。
「何で私がヤキモチやかなきゃいけないのよ。普通男女逆でしょコレって」
「ヤキモチぃ？」
「他の男の匂いつけてんじゃないわよ！」
「はぁ！？妙な言い方すんな！！」
「浮気者ーー！！」
「何でだよ！！」
ナミ誕リク。
「ゾロは煙草を吸うのか？」
６月１８日に拍手でリクくれた方、
ゾロは吸えます、ということで・・・・。えへ。
だってmariko吸わないからよく分からんのです！！
うわーん！！！！
若干ゾロサン、でもゾロナミ。
2005/07/13
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