誘。







なんていうか、男が多い。







通りを歩きながら思った。







別にそれが何だというわけではない。
ただ、何か違和感がある。

・・・男女の連れがいないのだ。


女もいることはいる。
だが、男と女が連れ立っている、というのを全く見かけない。
普通なら1組や2組は必ずいるものだが。




気にしないことにして、あの迷子を捜すことに専念する。


一人で出るなと言ったのに、
フラフラと散歩に出た迷子剣士。
夕食前になっても帰ってこないので、こうしてわざわざ探しに出たのだが。
酒場あたりなら迷わずに来ているかもと、こうして裏通りに来たが、まだ発見できていない。













おなかも空いたので放っといて帰ろうかと思ったら、見つかった。








が。




一人ではなかった。





まぁ女と一緒というわけではないが、若い男と話している。


ゾロと似たような背格好で、整った顔をした、いわゆるハンサムな男であった。





 (誰・・・?知り合い?)




この距離では会話までは聞こえない。
だが、少なくとも相手の男は親しそうに話していた。




 (なんていうか・・・・・)




あの若い男、物腰というか雰囲気というか、
ここでも何か微妙な違和感を感じた。


早いとこ船に戻ろうとゾロに近づこうとしたが、足が止まる。





若い男の手が、さりげなくゾロの腰に触れた。







 (・・・・・何よアレ)




違和感が、確信に変わる。













あの男、ゾロを誘ってる。






 (何よあの手つき!!ちょっとドコ触ってんのよ!!!)



柱の影に隠れて、その様子を見守る。





ゾロはその手を振り払うでもなく、ただ平然としている。


さらにその男は、ゾロのピアスに逆の手を伸ばした。
ゾロはさすがにその手を振り払い、男から少し離れた。
すると若い男は肩をすくめて、残念そうにゾロから離れ去っていった。


ゾロはそのまま、また一人で歩き出す。




 (あぁもうだからそっちは港から逆よバカ!)






とりあえずこっそりと後を追った。
またさっきみたいに変な男から声をかけられないうちに、と思った矢先、
2人目の男がゾロに近づき話しかけた。



今度の男はゾロよりもかなり体格がいい。
筋骨隆々といった感じの男で、こいつもまた、ゾロの腰に手をまわした。
今回はゾロはすぐにそれを振り払った。



 (よし!よくやったゾロ!!)



隠れて思わずガッツポーズをした。


その男も未練たらたらな様子でゾロから離れていった。





その後相変わらず港から逆進するゾロに、熱い視線を送る男が多数。
目が会えばチャンスとばかりにゾロに近づいていく。
ゾロはもう無視して進んでいるが。





さすがにいい加減ゾロを止めないと、港から大分離れてしまっている。
当初の目的を思い出して、走ってゾロに声をかけた。










 「ゾロ!!船はこっちよ!」

 「おぉ、ナミか」


振り返ったゾロは、へらりと笑う。




 「あんた貞操の危機だったってのに呑気なもんね」

 「あ?何か言ったか?」

 「何も」




2人で並んで、港へ向かって歩く。
今度はゾロへの視線に加えて、私に対する視線も感じる。
場違いな者へ向けられる視線。

私は邪魔者ですか、そうですか。
でもそう簡単に渡してなるもんですか。




 「さっき、男に声かけられてたでしょ」

 「あぁ、刀好きなヤツみたいだったな」

 「は?」

 「いい腰だって褒められた」




あっさりとそう言ったゾロに、開いた口が塞がらない。
何言っちゃってるの、この男。



 「いい腰で、何で刀好きなのよ」

 「腰のものってことだろ?」

 「・・・・・・・」




アホだ。
アホがいる。




 「・・・あと何か逞しい男にも声かけられてたわよね」

 「てかお前いたんなら、さっさと声かけろよ」

 「どうでもいいのよ今はそんなこと」

 「あの男、いきなり刀触ろうとしやがって」

 「・・・・・・」




この男の頭には刀のことしか無いのかしら。
頭がイタイ・・・・・。




 「どうしたナミ」

 「ゾロ、今度からこういう道を一人で歩いちゃダメよ?」

 「何だその母親みたいな言い方は」

 「むしろ本当に保護者の気持ちよ」

 「何だそりゃ」




全く分かってないゾロに、溜息が出る。



 「何なんだよ」

 「本当、アンタいつかヤラれちゃうわよ」

 「は?」

 「何でもないわ。大丈夫よ!私がついてるから!!」

 「訳分かんねぇぞお前」

 「無自覚って怖ろしいわね、本当」

 「だから、何のことだよ」

 「いいから!今度から街は私と一緒に歩くのよ!!」

 「お前の買い物の荷物持ちかよ」

 「あんたのためなのよ」

 「はぁ?」

 「い・い・か・ら!!わかった!?」

 「わかったよ」




私が『虫除け』だなんてムカつくけど、
背に腹はかえられないものね。



ナミ誕リクです。
「男にナンパされるゾロ、発見するナミ」。
5月31日に拍手にてリクくれた方、いかがでしょう?
え?ダメ?
マジっすか!

私・・・ゾロ受も大好きです(笑)。
ていうかもう全ての矢印がゾロとナミさんに向かってればいい。
この2人がいろんな人に愛されてればいい。
そんな感じ。

2005/06/29

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