溶。


注)パラレルです














 「誕生日おめでとうナミ!!」





朝の挨拶と同時に、ナミはクラスの友人からそんな風に声をかけられた。



 「ありがとう!」




仲のいい女友達5,6人がナミを囲み、おめでとうと声をかけ、プレゼントを手渡す。

ここまで祝福されると、逆に照れてしまうが、
恥ずかしいのを上回る嬉しさがあって、ナミは皆に礼を言って笑う。














その日の昼、ナミは親友であるビビと一緒に食堂に行った。




 「ナミさん、デザート奢るわ」

 「わ、本当?やった!」

 「誕生日ですもんね」

 「ありがと!」



ビビの言葉に甘えて、ナミは定食のセットに加えてアイスを頼んだ。









 「でもナミさん、何だか元気ない?」

 「・・・・・・分かる・・?」

 「何かあったの?」

 「・・・・・・・ゾロと、喧嘩した」

 「・・・それは・・・・・・・」



自嘲気味に笑ってそう言うナミに、ビビは言葉に詰まる。



 「誕生日の前日に喧嘩って、最悪でしょ」

 「何でまた・・・・?」





盆を持ってテーブルについた2人は、とりあえず食事をしながら話し出す。





 「大したことじゃないのよ。
  いつもみたいに、今日の放課後どっか行こうって言ったら、
  練習試合が近いから部活行くって、あいつ」

 「え、誕生日忘れてたってこと?」

 「・・・・・」

 「あ・・」



地雷を踏んだビビ。
思わず口を手で覆うが、既に遅い。



 「ご、ごめんなさい!」

 「いいのよ、本当のことだもん」

 「・・ナミさん、ちゃんとMr.ブシドーに言ったの?」







ビビはゾロに妙なあだ名をつけている。

生徒会の役員であるビビは、生徒会発行の校内新聞に、毎回各運動部の戦績や選手の紹介等を載せている。
以前に剣道部のエースであるゾロを取材した際、見出しにこのあだ名を使った。
それ以来、彼女はそのままゾロをMr.ブシドーと呼んでいる。



 「言ってない。忘れてるんならそれでいいわ」

 「ナミさんたら、意地張らないで」

 「ゾロは最後の夏だもの」



ナミは俯いて、小さくそう言った。



 「ナミさん・・・・」

 「いいの。ビビ、今日もし暇なら放課後どっか行かない?」

 「私でいいならもちろん」

 「ありがと」


ナミはにっこりと笑い、食事を再開した。









ナミが、ビビの奢ってくれたアイスを食べ始めた頃、
食堂の入り口から何かザワザワと騒ぐ音がした。





 「ナミさん!」

 「え?」





入り口に背を向けて座っていたナミは、
ビビに言われて振り返る。












 「・・ゾロ」







ちょうどゾロが入り口から入ってきたところで、
ざわめきの正体は、女子生徒の小さな歓声だった。










ゾロは学校では目立つ存在だ。
剣道部のエース的存在というのに加えて、
人目を引く容姿、さらに成績もそれなりの上位に位置している。
同級生から後輩まで、ゾロに憧れている女子生徒は多い。
決して愛想のいい男ではないのだが、
それがまたカッコイイと、ひっそりとアイドル状態である。
当の本人はそれを知っているのか、気づいていないのか、
素知らぬ態度で過ごしているが。


ナミと付き合っているのは校内ではほぼ知れ渡っていることだが、
妬んだ女子生徒からナミは軽い嫌がらせを受けたこともあった。
しかしナミはそんな事でへこたれる性格でもないので、
時間の経過とともにそれもなくなった。














で、そのゾロが、キョロキョロしながら食堂に入ってきた。
普段のゾロは食堂で昼食を摂ることはないので、
思わぬ幸運に、すれ違う女子生徒は頬を赤らめて振り返る。

控えめな黄色い歓声を背後に従えて、ゾロはずんずんと歩いている。
すぐにナミを見つけて、足を速めて近づいていった。







 「ナミ」

 「・・・・・ゾロ」




回りの生徒が注目している。
心なしか、食堂が静まった。




 「今日は長めに部活やるから、会えねぇ」

 「・・・・昨日聞いた」

 「だから今やっとくわ」

 「え?」




ナミたちの座っているテーブルの横に立って、ゾロはポケットの中にごそごそと手を突っこんだ。




 「手ぇ出せ」

 「え、あ、はい」



アイスのスプーンを持ったままだったナミは、
スプーンを置いて両手をゾロの方へ差し出す。

ゾロはズボンのポケットから、小さな箱を出して、ナミの掌の上にポンと乗せた。



シンプルな紙で包装されただけの箱。
リボンも何もかかっていない。






 「・・・・・何コレ」

 「てめぇの誕生日にモノ渡されたら、そりゃプレゼントだろ」




ゾロは呆れたように言った。




 「・・・・本当?」

 「何だよ、その意外そうな顔は」

 「や、だって、忘れてると思ったから」

 「・・・失礼なヤツだな」

 「だって・・・・」




手の中の箱を見つめながら、泣きそうな顔のナミの頭に手をのせ、
ゾロはぐしゃぐしゃとそのオレンジの髪をかき回した。



 「やだ、髪崩れる!」


ナミはあせって顔を上げた。
そのままゾロは、ナミの頬に手を滑らせ、優しく触れる。





 「誕生日おめでとう、ナミ」

 「・・・・・・・・」





周りで見ていた女子生徒が眩暈を起こしかねない笑顔で、ゾロは言った。




 「じゃあな、とりあえずそういうことだ。夜電話できたらするよ」








そうしてゾロは、周囲の目も気にせずに堂々と食堂から出て行った。















一部始終を一番間近で見ていたビビは頬を染めつつ、ナミに声をかける。


 「・・・・ナミさん・・?」

 「・・・・・・・・・・・・」

 「・・・大丈夫?」

 「大丈夫・・・・・・」

 「とりあえずアイスでも食べて顔冷やしたら?」

 「うん・・・・・・・・・」






周りの生徒の何倍も顔を真っ赤にしたナミは、
ゾロから渡されたプレゼントを開けもせず握り締めたまま
アイスが溶けきるまで固まっていた。




ナミ誕リクです。
「学生・社会人パラレル」。
とりあえず学生です。
高校3年生ゾロ&高校2年生ナミ。
・・・生徒会って、2年生もやるよね・・・?記憶が・・・。
学生の記憶なんてほぼ消えました。

5月30日に拍手でリクをくれたアナタ、
そしてそれ以前にパラレルを読みたいと拍手で言ってくれたアナタ。
こんなんです。
パラレルって・・難しい・・・。
学生が限界だ。。。。

ゾロが何あげたかなんて知りません(笑)。
この2人は、一応WEB拍手の2人です。
拍手ネタではもう大学1年・高3になってますが。

2005/06/29

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