時。
深夜のキッチンに、聞こえるのは気持ちよさそうなイビキと、
2人の人間の小さな話し声。
そしてグラスの氷の鳴る音。
話しているのは、ゾロとナミだ。
テーブルを挟んで向かい合って座っている。
今日はナミの誕生日であった。
コックであるサンジが普段に増して丹精込めて作った豪華料理を楽しみ、
お約束の宴会へと突入し、皆が酒を浴びるように飲んだ。
誕生日、ということなら、ナミも酒を飲みすぎることに文句を言わない。
いつもならば皆に節約しろと(特にゾロに)言う。
ちなみに自分はちゃっかりと満足するまで飲んでいるのを指摘するのは禁句である。
それに今日は、他ならぬナミ自身の誕生日だ。
ナミも機嫌がよかったので、他のクルーもこれでもか!というほど酒を飲めた。
しかし、酒豪2人を除いては、それほど酒に強いメンツではない。
案の定酔いつぶれ、サンジは後片付けもできないほどに泥酔し、
今では他の男連中と同じように、キッチンの床に転がって爆睡していた。
ロビンはさすが、酔いつぶれるなどということはない。
自分が美味しく飲める量を、自分のペースで飲んでいた。
この日はロビンは見張りだったため、サンジたちが潰れたころに見張り台へと登っていった。
「結局皆潰れちゃったわね」
「お前がこいつらにどんどん注ぐからだろ」
そう言いながら2人は、なおも手の中のグラスに酒を注いでいる。
「何よ、今日の主賓は私よ?私の注いだ酒が飲めないっての?」
「飲んだからこうなったんだろ」
「あ、そっか」
軽く酔ってご機嫌なナミは、楽しそうに声を上げて笑った。
「ゾロはまだ飲めるでしょ?」
「当然」
「これ、前の島で見つけたの。飲も?」
「おぉ、すげぇな!」
「高いんだからねコレ!」
ナミはどこに隠してたのか、酒瓶をドンとテーブルに置いた。
海賊狩り時代のゾロは、まとまった金が入ったときにたまに飲んでいたような、高価な酒だった。
今の小遣い制度の状態では、ゾロに買えるわけがない。
この船の財布を握るナミならば、こっそりと買うこともできたのだろう。
「自腹か」
「自分への誕生日プレゼント」
「何かむなしい響きだな」
「あんたと飲むからいいのよ」
「じゃとりあえず、いただきます」
「はいどうぞ」
ゾロは冗談めかしてナミにペコリと頭を下げ、2人のグラスにそれを注いだ。
「あーでも、楽しかった、今日」
「そりゃよかったな」
高い酒が半分以上なくなった頃、
ナミがふーっと息を吐いて言った。
「うん。最近の誕生日は、ずっと一人でいたから」
「・・・」
「家に戻ってもよかったんだけどね、何となく」
「誕生日に村にお前がいたら、村民みんな破産してるな」
「人がプレゼントたかってるみたいに言わないでよ!!」
くっくっと笑うゾロに、ナミは頬を膨らませる。
「・・・本当に嬉しいの。皆に祝ってもらって、しかも好きな人とこうして2人でいられて」
「・・・・・」
「誕生日に好きな男と過ごすのよ?幸せすぎて泣きそう」
ナミは酔ったせいだけでなく、頬を染めて俯きながらそう言った。
「そんなもんか?誕生日ってのは」
「そんなもんよ」
「じゃあおれん時もよろしくな」
「え?」
ナミが顔を上げると、ニヤリと笑ったゾロと目があった。
「好きな相手と過ごすもんなんだろ?」
「・・・・・・うん!」
ナミは一瞬呆けたような顔をしたが、すぐに笑って頷いた。
「ナミ」
「ん?」
「誕生日、おめでとう」
「・・・ありがとう」
今日一番の笑顔で、ナミは応えた。
「・・・・・・オイ、おれたちいつ起きるんだ?」
「ルフィ、待て!!今起きたら2人に殺されるぞ!」
「おれ、おれ、トイレ行きたい・・・・」
「我慢しろチョッパー、悔しいが今ナミさんは華零れるような満面の笑みだ・・・」
「・・・・・・我慢・・・・・・ガマン・・・」
「お、ゾロが移動した」
「くそうバカップルめ!いちゃつくなら部屋でしてくれよーーー!」
「あぁナミさん、おれはあなたが幸せならばそれで・・・・っっっ!!」
2人が女部屋へと消えるまで、
4人の忍耐の時間は続く。
ナミ誕リクです。
「甘々なゾロナミ」。
6月3日に拍手にてリクくれた方、
甘いですか?甘いですか??
甘いと言って!!(笑)。
誕生日の夜の話になったので、
順番早いけどUP。
2005/07/02
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