願。










 「誕生日おめでとう!!!!!!」






キッチンに入るなり、皆が声を揃えて叫んだ。












今日が自分の誕生日だとは、もちろん知っていたし、
皆がコソコソと何やら準備しているのにも気づいていた。

夕食前にわざわざ私一人だけをロビンに引き止めさせて、
キッチンに遅れて入るようにして、驚かせようとしているのも、気づかないわけがなかった。







分かってはいてもやはり、
こうして皆から祝ってもらえると、嬉しい。





本当に心からそう思った。
だけど、私の中のもう一人の私が、囁く。







一体あと何度、皆にこうやって誕生日を祝ってもらえるのだろうか。

一体あとどれくらい、変わらぬ笑顔で皆と一緒にいられるのだろうか。








そう考えて、泣けてきた。





 「おいナミっ!?どうしたんだ!?」

 「大丈夫だチョッパー、これは嬉し泣きってヤツだ!」

 「何だナミ、おれの肉がそんなに嬉しかったのかぁ?」

 「何て美しい涙なんだ!!真珠のようだよナミさん!!!」













そうね。

嬉しくて。

そして。

哀しくて。










来年も一緒に居られるのか。

その次の年は?またその次は?



それとも、明日は?



















 「泣かないで、航海士さん」

 「・・嬉し泣きなんざ、てめぇのガラじゃねぇだろ」




 「・・・・みんな、ありがとう・・・」



涙をゴシゴシと拭いて顔を上げ、皆ににっこりと微笑みかける。




 「来年もお願いね!!」




 「お前もう来年の催促かよー」

 「来年と言わずいつでも貴女のためなら腕によりかけておもてなしいたしまーす!!!」

 「へー、じゃまぁ、おれらん時もよろしく頼むぞ、サンジ」

 「野郎の誕生日なんか知るかぁボケ!!」

 「サンジそれは差別だー!」

 「差別だー!」

 「あーうるせぇ!!ナミさんのための料理が冷めちまうじゃねぇか!!」

 「うむぁいあー、ほえ」

 「先に食ってんじゃねぇクソゴム!!!!」




サンジくんがルフィを止めようと身を翻すが、その隙にウソップとチョッパーもこっそり食べ始める。













 「航海士さん」


その光景を笑いながら見ていたら、ロビンがそっとハンカチを渡してくれた。


 「・・ありがと、ロビン」




気づかぬうちに、また泣いていたらしい。





 「来年もきっと、こんなふうに楽しいバースデーになるわよ」

 「・・・うん、・・ありがとう」



私の心の内を知っているかのようなロビンの言葉。
この人には敵わないな、と思う。


 「それと、私今夜は朝まで見張りだから、部屋のことは気にしなくていいわよ」

 「・・・っっっっ!!!!」

 「そりゃありがてぇ」

 「あんたが返事するなー!!!!」




やっぱりロビンには敵わない。













 「さーてナミさん、まずはバースデーケーキを!!!!」


特製ケーキの上のろうそくに、サンジくんがマッチで火を点けていく。



 「願い事は決まってる?」

 「うん」

 「それじゃ、どうぞ」






促され、ケーキの前に立った。



瞳を閉じて心に願い事を浮かべる。

そして、一気に火を吹き消した。








 「ハッピーバースデー!ナミさん!!!」

 「おめでとうナミ!!」

 「おめでとー!!」









 「ありがとう!!!」

















いつだったか、サンジくんに言われたことがある。

私が、明日が来ると思い込んでいると。



私たちの生き方に、明日への保障なんてない。
海賊なんてそんなもの。
分かってはいるけど。



ただそれは、明日があるとは限らないというのを『知る』ことであって。

明日があると『願う』のを否定することではない。












今日も明日もあさっても

皆と一緒にいられますように

いつもいつまでも

皆と一緒に、今日と同じように過ごしていられますように




神様、今日は私の誕生日


どうか願いを聞いてね




とりあえずやっぱり誕生日ネタを。
ナミさん、はぴば!!!!
『サンジくんに言われた』云々はサン誕の『未』にて。

2005/06/28

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