洗。
「おいナミ、これもついでに洗ってくれ」
洗濯物を抱えて女部屋から出てきたナミに、ゾロは自分のシャツを突き出した。
「あんた、そういうの私に頼むと『契約』が発生するってこと分かってる?」
「・・・・ちゃちゃっと水に浸けてからぶら下げといてくれりゃいいだけだろ」
「ダメよ、やるからにはキッチリ漂白までしちゃうわよ」
「・・・・やっぱ自分でやる」
「別にいいわよ、初回限定特別無料サービス」
「・・・・・そりゃどうも」
ナミは機嫌がよかったのか、あっさりとゾロのシャツを受け取った。
「次回からは定額頂きますから」
「・・・いや次は自分で・・・」
「あれ、お風呂使用中?」
「おうナミ、洗濯か?悪ぃな、もうちょっとかかる!」
ナミが風呂場に行くと、ウソップが浴槽にしゃがみこんでいた。
「掃除当番、ウソップだったっけ?」
「おう。今日の風呂は気持ちいいぞー!」
掃除モードにスイッチが入ったのか、
ウソップは何故か嬉しそうに浴槽を洗っている。
「じゃあ甲板でやるわ。お風呂楽しみにしてるわ」
「おお!ウソップ特製の洗剤でピカピカだぞ!はっはっはー!」
変な気体でも吸っちゃったのかしら、と思いつつテンションの高いウソップを風呂場に残し、
ナミはタライに洗濯物と洗剤を乗せて、後甲板に運んだ。
「・・・・・おっきい」
ゾロのシャツを洗いながら、ナミはしみじみ思った。
「こんなにおっきかったっけ・・?」
着ているのを見る分にはそう大きくは感じなかったが、改めて見ると、やはりかなり大きさが違う。
「男女の差ってヤツかしらね・・・」
何かムカつくわ、と思ってナミはちょっと乱暴にそのシャツを洗った。
自分のシャツとゾロのシャツ。
並べて干すとさらに目立つ、その大きさの違い。
「やっぱムカつくわね」
ナミはゾロのシャツの両脇に、わざと自分の下着を並べて干してやった。
「せいぜい照れるがいいわ」
あ、でも、内心で喜んでたらどうしよう。
意外にムッツリだったりして。
「・・・ま、いっか」
色とりどりの華やかな下着に挟まれた、シンプルな白い大きなシャツ。
ナミは満足げにその光景を眺める。
「・・・・・・・・・さすがに青少年には毒かしら・・・・?」
「・・・ま、いっか」
「あ、ゾロ。洗っといたから、あんた後でちゃんと取り込んどきなさいよ」
「何だ、ついでにやってくれよ」
ナミは階段ですれ違ったゾロに声をかけた。
「それぐらいしなさい。無料サービスは洗うとこまでよ」
「最後までサービスしやがれ」
「ビジネスはキッチリきっかり行かないとね」
「へー、そうかよ」
「ついでに私の分もよろしくね」
「へーへー」
あぁ、どんな顔で取り込むのか見ものだわ。
後甲板へ向かうゾロの後姿を見ながら、ナミは微笑んだ。
ゾロとナミ。
ゾロナミに非ず。
果たしてゾロは慌てるのか呆れるのか喜ぶのか(笑)。
無言で取り込みそうだ。
風呂場の話はいらないと言えばいらないね。はは。
2005/05/28
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