掴。
















おれの精神がまだ正常ならば




これは23回目の『今日』だ。
















夢ではなく。
何度目かに気付いた。

これは繰り返される『今日』

















『いつも』のようにキッチンに入る。

23回目の朝食。





ルフィがナミの皿に手を伸ばす。
チョッパーがロビンに塩を渡す。
ウソップがサンジにおかわりを頼む。



あぁ、またこの光景か。



何度も見たその朝食風景。

それでも、どこかが微妙に違う。
全てが同じでは、ない。



ルフィが手を伸ばした皿は、22回目の『今日』とは違う皿だった。
チョッパーがロビンに渡した塩は、『今日』は途中でサンジが受け取った。
ウソップがおかわりしたメシは、22回目の『今日』とは違う品だった。



少しずつ違う、『今日』。


それなのに





あの事実だけは変わらない。




















ナミ、お前は『今日』、階段から落ちる。







1度目は、キッチンから出てすぐだった。

2度目は、夕食後の誰も見ていないときだった。

3度目は、昼食前にキッチンへ向かう途中だった。





『今日』まで22回、おれはいつも手を伸ばした。




掴めるはずだ。

受けとめられるはずだ。







それなのに、
おれはいつもお前に触れられなかった。

目の前で落ちていくのに、
おれはお前の腕を取れなかった。

何度手を伸ばしても
おれはお前を掴めなかった。





もう動かないお前を見下ろした次の瞬間には、
また『今日』が始まる。



















ナミ、おれは何度もお前を殺す。

お前を生かすために。







いつか必ず

お前のその手を

掴んでみせる







謎のお話になりました。
よくある話ですか、そうですか。
愛しい人が何度も死ぬなんてやってられんよね。
頑張れゾロ(他人事のように)。
長く書くのはムリでした。
尻切れ御免。

2005/05/20

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