喧。







今日は我らが船長殿の誕生日。






 「ねぇルフィ、あんた誕生日だけど」

 「おう!」

 「お金のかからないモノで何が欲しい?」



その聞き方はどうかと、と普通なら思うところだが、
ルフィは気にもせずに答える。



 「じゃあ、ゾロ」

 「は?」

 「ゾロがおれと一日中遊ぶ、てのがイイ」
















 「ということで、よろしくねゾロ」

 「何でお前からのプレゼントでおれがアイツと遊ばなきゃなんねぇんだ!」

 「だって船長殿のご所望で」

 「・・・・・・・」













そんなわけで、今日のルフィはゾロにべったりである。









おやつの時間も過ぎた頃、ナミはかなりの不機嫌顔でミカンの手入れをしていた。


今日一日、ゾロに触れていない。
それどころか会話すらしてない気がする。


普段のゾロがルフィ達お子様チームと遊んだりすることは滅多にない。
それが今日はずっとルフィに付き合って、
朝から釣りだの物真似大会だの一発芸披露だのに参加している。
まぁもちろんゾロが物真似や一発芸をやるわけではないが。
ただ見てるだけなのに、ルフィ達は大喜びだ。

確かにあの嬉しそうな顔を見れば、
プレゼント(人だけど)を贈った側としては悪い気はしない。
それでも。
さすがにそろそろイライラが溜まってくる。
自分で聞いて自分でOKを出してしまったために、直接文句を言うこともできないので、
ナミは一人ブツブツと文句を呟きながら、ミカンの手入れに精を出す。
その手つきが少々乱暴になるのも仕方がない。













突然、視界に緑色が入ってきた。






 「・・・ゾロ」

 「・・・・・・何とか逃げてきた・・・」


げんなりした様子のゾロが、大きく息を吐いて、ミカンの木の下に転がった。
ナミは顔に出ないように気をつけたが、やはりどうしても頬が緩む。


 「今日昼寝もしてねぇぞおれ・・・」

 「お疲れ様」

 「元はといえばてめぇのせいなんだぞ!責任取ってかくまえよ!」

 「ハイハイ」



久しぶり(と言ってもたかが半日)のゾロとの会話に嬉しくなって、
木に寄りかかって寝ようとするゾロの隣にナミは座り込んで、擦り寄った。
ゾロも手を伸ばし、ナミの肩にまわそうとするが・・・・・・・







 「ゾロ!!何してんだ!!今日はおれと遊ぶんだぞ!」

 「「!!!」」



あっという間に見つかってしまった。


そのままズルズルとゾロは引っぱられていく。
さすがのゾロももう抵抗する気力は残っていないらしい。
ナミも言葉も出せずそれを見送っていたが、

とうとう、ブチ切れた。










 「あんたいい加減にしなさいよ!誕生日だからって調子乗ってんの!?」

 「何だよ急に!いいじゃんか!!ゾロもいいって言ったぞ!!」


背後から突然怒鳴られて、ルフィも振り返って負けじと応戦する。
その手にはしっかりとゾロの首根っこを掴んでいる。



 「やりすぎって言ってんのよ!!ゾロ今日昼寝もトレーニングもしてないのよ!!」

 「トレーニング兼ねた遊びだ!何だよいつもゾロが寝てたら怒ってるくせによ!」

 「うるさいわね!とにかくやりすぎなのよ!!」

 「お前が言い出したんだろ!!ゾロは今日はおれんだ!!」

 「あたしのよ!!」

 「・・・・おれはモノじゃねぇぞ・・・」


ルフィとナミに挟まれた状態で、二人のやり取りにうんざりしてゾロは呟く。
いまやゾロの両腕はそれぞれルフィとナミが掴んで引っ張り合いになっている。


 あれだ、産みの母と育ての母、真の母親はどっちだ、って奴に似てるなぁ・・・・


現実逃避のごとくぼんやりとゾロは考える。




 「ものじゃないけど私のオトコよ!!」

 「何だ、ヤキモチかよ!」

 「なっ、ナマイキ言ってんじゃないわよ!ルフィのくせに!!」

 「くせにって何だ!失敬だぞお前!!」

 「朝からゾロにベタベタベタベタひっついて!何考えてんのよ!!」

 「いつもベタベタひっついてんのはそっちだろ!」

 「変な言い方しないでよ!そんなにひっついてません!」

 「そっちが先に言ったんだろ!?ひっついてるじゃねぇかいっっつも!!」

 「何よ!!悪い!?」

 「あ、開き直ったな!?じゃあおれもゾロにひっついてて悪いか!?」

 「悪いわ!!」

 「誕生日のプレゼントでくれたのはそっちだぞ!」

 「だーかーら!やりすぎなのよ!!いい加減返して!!」

 「やっぱりヤキモチじゃねぇか!!」

 「何よ!!!」







 「・・・・・・・・・・・・」

キャンキャンキャンキャン吠えまくるのに夢中になっている2人の手から、
ゾロは何とか抜け出した。


 「おいゾロ、助けて欲しいんならキッチンでジャガイモ剥け」

 「・・・今はお前の言葉すら有難く思えるぜ・・・」

 「せいぜい感謝しろ。今日の夕飯の量は尋常じゃねぇんだ。行くぞ」

 「かくまってくれるんならジャガイモでも何でも剥く・・・」

 「ただし刀じゃなくて包丁で頼むぜ」

 「おうよ・・・」















 「あ!あ!!ちょっと!!あんたがうるさいからサンジくんにゾロ盗られたわ!!!」

 「何ぃ!サンジ!!ゾロ返せぇー!!!」



 「・・・キッチンに鍵ってあったっけか・・・?」

 「あっても無意味っぽいぞ」



ルフィ誕ですよ一応。
ゾロ誕じゃないよ!!
ルフィの誕生日を祝ったSSですよ!!(必死)
19歳ズがちょっと仲良し。
じゃまぁそーゆーことで、ルフィ、はぴば!!

2005/05/03

ほのぼの小話/NOVEL/海賊TOP

日付別一覧

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送