89999ゲッター、AIサマへ愛を込めて。
目。
何てハレンチな奴だと、思った。
だがそのしなやかな肢体に目を奪われた。
その強気な目を、明るい微笑を、嵐に負けぬその体を、仲間を思う強い心を、
美しいと、思った。
「はい、タオル」
「あ?」
樽の上に座り込んで目を閉じていたゾロに、ナミは白いタオルを差し出した。
ゾロは片目だけ開けてそれを見て、無言で手を伸ばし受け取った。
全身びしょ濡れなのだがとりあえずは腕を拭き、それからタオルを頭にかけて軽くこする。
「もっとちゃんと拭きなさいよ」
「うるせぇなぁ、いちいち」
「風邪引くわよ」
「誰がンなもん」
「人の好意は素直に受け取りなさい」
ナミはぴしゃりとそう言って、手を伸ばしてタオルを奪う。
広げてゾロの頭を覆い、力を込めてガシガシと拭く。
雨と波にさらされて幾分ペタリと寝ていた緑の髪は、すぐにまたいつものように立ち上がってきた。
「もうちょっと優しくできねぇのかよ」
「これでもかなり優しくしてるわ」
全力で頭をこすってくるナミの動きに合わせて、ゾロは首をガクガクと前後左右に揺らされていた。
だが両腕を胸の前で組んで、逆らうことなくそれを素直に受ける。
「……さっきの、かっこよかったわよ」
「あ?」
「【船斬り】とか言う人との」
「あぁ…」
腕を組んで目を瞑ったままのゾロは、曖昧に返事をする。
ナミは口端を上げて、頭を拭く力を少し緩めた。
チラリと背後の気配をうかがうと、ルフィやチョッパー、ガレーラの面々が興奮した表情で盛り上がっている。
ルフィとゾロの合わせ技や、先程のゾロの活躍の話に夢中になっているようだった。
「あの姉妹、あんたに惚れちゃったんじゃないの?」
「知るか」
Tボーン大佐を倒し船内に戻ってきたゾロに、一番に駆け寄ったのはキウイとモズだった。
ゾロの強さを知っているナミですら、アレにはなかなか興奮したのだ。
初めてその強さに触れる人間ならば、思わず頬を染めても無理は無い。
「モテる男は大変ね」
「………」
ふんと鼻を鳴らしたナミの言葉を聞いて、ゾロは目を開けて眼前の細い腕を掴む。
タオルを持つナミの手が固まり、それを奪って自分の肩にかけた。
ナミは眉を寄せて睨みながら、小さく抗議の声を発する。
「…何よ」
「…ふーん……妬いてんのか?」
「………バカじゃないの」
ナミは口を尖らせて悪態をついた。
だがゾロがニヤニヤと笑いながら見上げてくるので、段々と頬に赤みが差してくる。
「……あとは自分で拭きなさいよっ」
「へーへー」
ナミはゾロの腕を払い、誤魔化すようにプイと顔を背けた。
素直に返事をしたゾロは服の上から上半身を拭きながら、
今思い出した、というような口調で再び口を開く。
「あぁそれから」
「何よ」
「あのガレーラの、パウリーって奴」
「…あの人がどうかした?」
唐突に話題が変わったので、ナミは首をかしげてゾロを見下ろす。
少し間を空けて、ゾロはニヤリと笑いながら言った。
「お前に惚れてるぜ」
「………」
目を丸くしたナミは一瞬呆けたあと、ゾロを真似てニヤリと笑う。
「………モテる女も、大変だわ」
「言っとけ」
「何にせよ、今はそんなの関係ないわ」
「お前が言い出したような気がするが」
「ロビンのとこに行くことだけを考えないと!!」
「………」
「まぁ、好意は有難く頂戴するけどね」
「………」
ナミは口元を引き締め宙を見上げ、ぐっと拳を握った。
タオルを首にかけて両端を握ったゾロは、無言でその姿を見上げる。
「……あら、この答えじゃご不満?」
「別に」
ナミが意地の悪い顔でわざとらしくそう言うと、眉間に皺を寄せてゾロは顔を逸らした。
その横顔を見下ろしながら、ナミはフフと柔らかく笑う。
それから腰をかがめて、ゾロの頬に軽くキスを一つ。
「…さっきは本当、かっこよかったわよ?」
「………あ、そ」
「まだ到着まではかかるから、少し寝てたら」
「…おう」
目が合うと、ナミは再び微笑んでゾロの頭を優しく撫でた。
子供のような扱いに若干不満そうだったが、ゾロは素直に目を閉じた。
あっというまに眠ってしまったゾロから離れると、ナミの傍に男が近づいた。
その男は船内の騒ぎには加わらず、ただ先程のゾロとナミのやりとりを一人離れて見つめていた。
「なぁに、また服装でお説教?」
「……お前ら、付き合ってんのか?」
「………なにそれ、気になるの?」
「…そういうんじゃ、ねぇが」
「別に付き合ってるわけじゃないわ」
妖艶とも言える微笑を見せて、ナミはパウリーの横を通り過ぎて窓から海の様子を伺う。
振り返ったパウリーは後姿を見つめながら、小さく舌打ちをした。
ギリ、と一際強く葉巻を噛み潰す。
「人のいる所で堂々とあんな真似しやがって、ハレンチ女が」
その言葉を聞いて、ナミはゆっくりと振り返った。
壁によりかかり、緩く微笑んでパウリーをじっと見つめる。
他のメンバーは相変わらず部屋の中央で大騒ぎながら、ナミたちには目もくれていない。
2人の会話すらも聞こえてはいないだろう。
反対側の壁際で樽に座っているゾロは、両腕を組んで目を閉じたまま動かない。
ナミにまっすぐ見つめられ、パウリーは多少動揺しながらも逸らしはしなかった。
「好きな男にキスしたいと思うのは、普通でしょ?」
フランキー一家や他のガレーラの面々がこのナミの笑顔を見ていたら、
全員が全員、頬を赤くして見惚れていたことだろう。
当然パウリーもさっと顔を赤くして、慌ててナミから目を逸らした。
「ナミ」
ふいに反対側から声がして、2人はそちらに顔を向けた。
中央で騒いでいる連中の間から、目を開けたゾロがこちらを睨んでいるのが見えた。
決して大きな車両ではない。
いくら周りが騒いでいようと、少し声を張ればその音は簡単に届く。
だがゾロは二度は呼ばず、2人を睨んでいた。
ナミはふふっと笑い、壁から離れた。
ゾロの視線を受けていたパウリーの横を再び通り過ぎようとして、一瞬足を止める。
「好きな女が他の男と喋ってたら、嫉妬するのも普通よね?」
隣に居る者にしか聞こえない程度の小声でナミはそう言って微笑み、離れて行った。
パウリーは声も返せず、向かい合ってなにやら話しているゾロとナミの姿を見つめていた。
ゾロは何か言いながら、ナミにタオルを渡した。
ナミも二言三言言い返したあと、再びゾロの頭にタオルをかけてその頭を拭いてやっている。
大きな波に揺られて、ガクンと列車が激しく動いた。
体勢が崩れたナミの腰にゾロが腕をまわし、その体を支える。
ナミはそれを振り払いもせず受け入れていた。
すっかり乾いたゾロの頭からタオルを外して首に回し、微笑みながら見下ろしている。
ゾロも口端を上げて見上げながら、2人は再び何か言葉を交わす。
立ち尽くしその姿を見ていたパウリーに、一瞬だけゾロが視線を寄越した。
だが睨むでも笑うでもなく、すぐにそれは逸らされた。
舌打ちをしたパウリーは、頭を掻きながら2人から顔を逸らし、窓の外に視線を移す。
今はこんなことを考えている場合ではない。
分かっているはずなのに。
グッと拳を握ったパウリーは、軽く首を振って女の姿を頭から追い出した。
今すべきことは、ただひとつ。
けじめを、つけなければならないのだ。
己の手で。
嵐の海を、パウリーはただじっと睨み続ける。
意識が、ひとつの場所に向かって澄んでいくのを感じた。
07/02/12 UP
89999リク。
ゲッターはAIサマでした。
リクは『ゾロナミ←パウリー』です。
パウリーに嫉妬するゾロ、のリクだったんですが…どうだろコレ…。
しかも微妙にデキてないんだよこのゾロナミ…。
矢印は向き合ってるけどね!
marikoは麦わらクルーばっかり書いてるから、新たなキャラは難しい……。
パウリーの再登場はあるかな。
W7の面々のその後は、恐らく扉絵でされるんだと思うけども。
てことで、AIさんへ問答無用で捧げますv
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