傷。
「サンジ!ルフィが大物釣ったぜ!!」
ウソップが満面の笑みでキッチンに飛び込んでくる。
後ろからは、船長と船医の喜びの雄たけびが聞こえる。
「よくやった!よし、夕食のメニューちょっと変えるか・・・」
サンジは料理人の顔つきで、早速魚料理のレシピを頭の中でフル回転させる。
「おい、お前、指はもういいのかよ?」
「あ?」
「昨日は包帯巻いてたろ?昼メシん時も確か・・」
昨日の『船医特攻事件(仮)』のせいで、サンジは指に怪我をしていた。
ウソップはその現場や、傷跡を見ていたわけではないが、
左手を血まみれにしてルフィを蹴り飛ばしたのを目撃したし、
チョッパーが念入りに包帯を巻いていたのも知っている。
確か今日の昼食の時も、指には包帯が巻いてあったし、
それをかばうようにサンジは料理をしていた。
「あぁ、チョッパーがうるさいからな。でももう治った」
ヒラヒラと左手を振って、サンジは笑う。
「そんなにすぐ治るかぁ?結構切ったんだろ?」
「治る」
呆れたようなウソップの言葉にも、サンジは即答で返す。
「見せてみろよ」
「お前に見せて何になる」
「昨日チョッパーに言われたんだよ。サンジが勝手に包帯外さないように見ててくれって」
「あの非常食め・・・余計な真似を・・・」
ウソップは構わずキッチンの前に立つサンジの元へ歩み寄る。
「このウソップ様が傷塞がってるかどうか確認して、
本当にちゃんと治ってたら、チョッパーにもそう言っといてやるよ」
「何でお前が偉そうに言うんだ」
「まぁまぁ」
「野郎に手ぇ握られたって、気色悪ぃだけなんだがな・・・・」
ぶつぶつ言いながらも、サンジはウソップに左手を突き出す。
ウソップはその手を取って、うっすらと傷跡の残る指をまじまじと観察する。
「・・・マジで塞がってんなぁ・・・・・」
「当たり前だ。おれの自然治癒力をバカにすんなよ」
「別にしてねぇけど・・・」
「おい、手ぇ離せよ」
「あ、あぁ、悪い」
「何だよ気持ち悪い」
傷口は既に確認し終えたのに、サンジの手を握ってじっと見つめていたウソップを、サンジは睨みつける。
「お前の手って、ハタから見ると傷一つも無いみたいなのにな、色白いし。
でもよく見たら傷とか火傷とか、結構あるんだな」
「おいおい失礼な言い草だなコラ」
何故か感心したようなウソップに若干呆れながら、サンジは自分の手を見下ろす。
確かに傷は多い。
最近でこそ、切り傷や火傷を負うことは少なくなったが、
(戦闘での傷はシャレにならんレベルで負ってはいるが)
まだまだ下っ端だった頃、包丁で自らの手を傷つけてしまうことも多々あった。
火や油を使う時には何度となく火傷した。
一瞬、あのバラティエの顔ぶれを思い出してしまい、
ヤバイ、と思って顔をあげる。
「まぁこれはコックの勲章だぜ?火傷だの何だのな。
ナミさんのペンだこやらも、そうだろ」
「あぁ、なるほどな・・・」
「それでも彼女の美しさには変わりはないのさ」
「あぁ・・・・なるほど・・・・・・」
あっという間に目をハートにするサンジの豹変ぶりに、ウソップは苦笑いで相槌をうつ。
「お前のだって、そうだろ」
サンジは真顔に戻って、ウソップの手を顎で示しながら言う。
「え?お?あ、ああ!おれの手にも例えば昔の部下達を率いて巨大海王類と戦闘した時の傷が・・・・」
照れたように真っ赤になって、ウソップは早口で得意のホラを吹く。
「ほーお?じゃ、今からまたその巨大なヤツを獲ってきてくんねぇか」
「あ?あー、えー、ま、また今度な!!今日はルフィが獲ったしな!」
サンジが意地悪く笑いながら言うと、ウソップは冷や汗をたらす。
「アイツが獲った獲物じゃ、全部一人で食っちまうかもしんねぇぞ。
つーかもう食ってるかもな」
「いやー、あー、じゃちょっと見てくるわ!うん!」
ウソップはそう言い残して、キッチンから逃げるように飛び出していった。
ふっ、と笑いながら、
本当に船長が獲物を食いきってしまう前に、と
サンジは夕飯確保のためにキッチンから出て行った。
甲板では、獲った魚に頭から噛りつこうとするルフィを、ウソップが必死で止めているのだった・・。
あーと、サン誕第3弾です・・・。
何て薄っぺらい表面のみなSSなんだ・・・自爆・・・。
今度はサンジくんとウソップ。
ウソップ・・・難しい・・・・。うがー。
○○誕は密かに一部続き話になってます。
ていうか、なりました(後付け)。
ちなみにmarikoの○○誕は、
誕生日ネタではなく、単なるアップ祭りですね。あは。
2005/03/08
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