妄。
これは運命の出会いだ。
そう確信した。
自分の目の前の椅子に座っている、オレンジ頭の女。
思わず目が釘付けになって、逸らすことができなかった。
さらさらの柔らかそうな髪を頭の横で2つ分けにして結んでいる。
ゴムにはグリーンのフェルト生地の丸い飾りがついていて、オレンジ色の髪によく映えていた。
大きくて丸っこい目をさらに大きくして、じっとこちらを珍しそうに見つめてくる。
目が合うと、彼女はにこりと微笑んだ。
小さな口を軽く開けて、ぷくぷくとしたほっぺたを薄いピンク色に染めて、笑う。
片手には小さな白いクマのぬいぐるみを握り締めており、
空いた手をこちらに伸ばしてきた。
その手に応えようと、こちらも必死に手を伸ばすが届かない。
顔を下に向けると、腰のあたりにまわされたベルトが動きを制限している。
千切り取りたかったが、固いそれはビクともしない。
もう一度顔を上げて、彼女を見る。
あちらも状況は同じなようで、じれったそうに手をじたばたさせている。
投げ出した足からは靴が片方脱げかかっているが、気にしていないようだった。
目の前にいるのに、届かない。
あと少し。
もう少し。
近くて遠い、この距離がもどかしい。
名前は何と言うのだろう?
せめてその名を口にすることができたら、この距離も縮まる気がするのに。
彼女も自分と同じことを思ってくれているだろうか。
じっと合わせたまま逸らさないその視線に込めた想いは、彼女に届いているだろうか。
どちらにせよ、これは運命の出会いだ。
「……ていうような事を考えてるんじゃないかしら」
「やーだ、ベルメールさんったら!」
ベビーカーに座ったまま向かい合い、
互いへ向けて必死に手を伸ばしている子供達の姿を見下ろしながら、ベルメールはくっくっと笑った。
くいなもそれを見ながら口元を緩め、ヒラヒラと両手を振る。
「ゾロはそんなに頭良くないですよー?」
「だって、すごく必死じゃない2人とも? ナミもまんざらじゃないみたいだしー」
「もしそうだったら面白いですね、でも」
ベルメールと同じように、くいなも我が子ゾロを見下ろす。
ベルトに阻まれながらも、必死にナミへ向けて手を伸ばしている。
ナミの方はというと、顔を上げて母親であるベルメールに向かって「あー!」と訴えていた。
ベルメールはケラケラ笑い声を上げてナミの頭を撫でる。
「この2人が将来付き合うようになったらどうしよう!」
「やだ、そしたら私たち親戚!」
「きゃー! よろしくねくいなさーん!」
「こちらこそーー!!」
母親たちの妄想は止まらない。
『赤ん坊ゾロナミ』
このベルメールとくいな、昔同人とかやってたと思う(ノマカプで)。
なーんてね。
赤ん坊じゃあ喋ってくれないからゾロナミ話が進まない!
ということでベルメールさんに妄想してもらいました(笑)。
10/11にリクくれたこけし堂さん、これで勘弁を!
ちなみにこの赤んぼたちが大きくなって、『幼。』の子ゾロ子ナミになります。
そういうことにします(笑)。
2006/12/06 UP
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