未。





その日の昼間、ナミとゾロは大喧嘩をした。

喧嘩、とは言っても、
イライラしていたナミがゾロに一方的に怒鳴り散らしていただけだった。
単なる八つ当たりと分かっていたのでゾロも反論をしなかったのが、さらにナミの癇に障ったらしく
見ている周りの人間がヘコんでしまうほどに、ナミはゾロに喧嘩を売り続けた。

結局ロビンがナミを宥めて女部屋へと連れていき、その場はとりあえず収まった。
ゾロも辛抱していたほうだが、さすがに機嫌が悪くなっており
それも当然、と周りが思うほどに、ナミは一方的に怒っていたのだ。

おかげで夕食はかなりの険悪ムードになり、
メンバーは揃って無言で食事をしたのだった。











 「今日はごめんね、サンジくん」



キッチンで明日の仕込をしていたサンジの元に、ナミが恐る恐る、といったようにやってきた。



 「ナミさん、落ち着きました?」


サンジは笑ってナミに話しかける。


 「うん。ごめんね、夕食のムード悪くして」

 「気にしないで」


ナミのために椅子を引き、サンジはコーヒーの準備をする。




 「かなりの八つ当たりでしたね」

サンジはカップをナミに手渡しながら言う。


 「うん・・・頭では止めようと思ってたんだけど、止まらなくて。
  大した理由は無いんだけど、何だか無性にイライラして」


ナミは椅子に座ってカップを受け取り、恥ずかしそうに俯きながら答える。



 「ま、そういう時もありますよ」

 「ゾロ、怒ってるわよね当然」

 「まぁ、結構耐えてたみたいですけど」

 「はぁ〜・・・・・」

 「・・・謝りに行かないのかい?今ならトレーニング中でしょ奴は」

 「・・さすがに今は悪くて顔合わせらんない。明日にするわ」




決まり悪そうに言うナミを、サンジはただ見つめる。



 「・・・なに?」

 「どうして明日があると思うんですか、ナミさん?」


 「・・・え?」




突然妙な事を言い出したサンジを、ナミはきょとんとして見返す。




 「貴女は、これからベッドに入って、朝が来て、
  皆に挨拶をして、朝食を食べて、
  そうして今日と同じようにまた1日を過ごすと思ってる」

 「・・・・それが何?いけないこと?」

 「明日がくると、誰が保証してくれるんですか?」

 「誰って・・・」

 「もしかしたら、次の瞬間に敵船と遭遇して、
  ルフィも、ゾロも、おれたちも皆死んでしまうかもしれない。
  そうならないと言い切れますか?」

 「・・・どうしてそんなこと言うの・・・?」







ナミは傷ついていた。

普段のサンジなら、喧嘩してナミがサンジの元へ逃げてくると
いつも自分を立ててくれて、優しくしてくれる。
それなのに今日は。



今までのナミの生き方から考えると、
今のこの船での生活は幸せそのものだった。

確かに面倒事は多いが、
信頼できる仲間と旅をし
好きな男と同じ空間を共有し
喧嘩すらできてしまうような日常。

そこへ突然、未来の無い『死』などという言葉を突きつけられて、
困惑するのもムリはないのだ。







 「ごめんね。でも、明日が必ず来ると貴女が思い込んでいるから」


 「、そんなの、私だけじゃないでしょう?
  ルフィやゾロだってそうじゃないの?
  だってアイツら、海賊王とか大剣豪とか、自分がなるって、
  未来の夢を確実な風に言い切ってるじゃない」

 「『未来』と『明日』は違うんですよ、ナミさん」

 「結局は一緒よ」

 「あいつらの夢はね、未来にあるんだ」

 「分かってるわそんなの」

 「『未来』は凄く明るい。
  おれたちの今の場所からも見えるくらいにね。
  そこにあるのは確実な未来。

  でも、それを見てるおれたちの足元は、真っ暗なんですよ。
  ここから『未来』の場所まで、ずっと真っ暗なんです」


 「・・・それが『明日』?」



ナミの問いに、サンジは笑顔で返す。



 「足元は見えないの?」

 「見えません。
  道が存在するのかどうかも。

  一歩踏み出せば、そこには何も無いかもしれない。
  『未来』はあんなに明るく見えてるのに、そこに辿りつくこともなく、
  何も無い闇の底に落ちていくかもしれない。

  それが『明日』ですよ」


 「・・・・・」


 「もちろん、一歩踏み出せば広大な草原のような道があるかもしれないけどね。
  それは結果論ですから」


 「・・・・・・・」


 「おれの言いたいこと、分かります?
  ナミさんみたいに上手く言えないけど」

 「分かるわ」

 「よかった」


俯くナミに、サンジは優しく笑顔を向ける。



 「ちゃんと、今から、謝ってくる」


ナミは立ち上がって、サンジに微笑みかける。




 「ありがとう、サンジくん」

 「いいえ」






  結局はあの2人に仲直りをさせて、距離を近づけさせてしまうことになるのだけれど。

  損な役回りだ、と自分でも思う。

  だけど、あの人には笑っていてほしいのだ。


  過ぎてから後悔することのないように



何が言いたいんだmariko!!(自爆)
後悔のない人生を送れよ!と。
その日できることはその日しなさいよ!と。
明日があると思って先に延ばしちゃ駄目だよ!と。
そんな感じ。
偉そうに言ってゴメンナサイあぁ石を投げないで!(笑)。
ところでナミさんは何に一体怒ってたんでしょう。
まぁ情緒不安定なお年頃ということで。

あ、一応サン誕第1弾。あは。
サンジくんとナミさん。

2005/02/28

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