戻。







永遠に愛するだろうと思っていた女から離れて、
別の女の元へ行ったのは自分の決断。


ナミを愛してた。
それは事実。


ロビンを愛している。
それも事実。



だが心の奥で声がする。



それは真実か?

いまなおおれが求めているのは、一体どちらの手だ?















決して叶わないと思っていた想いだから、彼が私のところに来てくれたことが信じられなかった。
ただ想うだけで、ただ見つめるだけで幸せだったから。

彼が彼女の元を離れたのは事実。

でもそれは、真実ではない。


そんな簡単な、普段ならすぐに気付くようなことに、私は気付かなかった。

気付けなかった。
気付こうとしなかった。


嬉しくて。
ただ、嬉しくて。



だけど、あなたの目が追うのは私ではなく彼女の姿。


彼女ではなく私を選び、彼女ではなく私を好きだと言うあなたの心の奥底にいるのは、

私ではなく、彼女。



気付いてしまったら、もう一緒に居ることはできなくなった。



私はあなたのことが好きで、

そして何より、彼女のことも同じように愛しいと思うから。






 「あなたが私を選んでくれて、本当に嬉しかったのよ」

 「……ロビン?」

 「たとえそれが、一時的なものだったとしても」

 「………」



手を背中の後で組んで、いつものように笑って告げる。
突然の言葉に、彼は目を見開いて言葉に詰まっていた。

だが、驚いてはいなかった。



 「意味、分かるでしょう?」

 「ロビン」

 「私なら大丈夫。今までどおりに戻るだけだもの」

 「……………悪ぃ」

 「気にしないで、仕方ないわ」




一度私に背を向けて、それから振り返った彼は言った。



 「…おれ、お前のこと好きだぜ」

 「……ありがとう、でも今言う言葉じゃないわよ?」

 「………」





そうして離れていく彼の背中を見送って、頬を伝う涙に気付いて驚いた。


あぁ、そんなに好きだったんだ。

他の女の背中を追いながら、それでも私を好きだと言って傍に居ようとしてくれた。
残酷で身勝手なそんな行動も、許してしまうほどにあなたが好きだった。


恋人として一緒に居られたのは事実。
たとえ一時、それでも。

まるで夢のような。

きっとその時間と想い出は、真実に耐え得るだけの力を私にくれるだろう。













 「………ロビンを、泣かせるなって、言ったのに」



ナミは顔を歪めて、それからすぐに俯いた。



 「あいつには、お前を泣かせるなって言われた」

 「……そんな簡単に、気持ちの整理がつくと思ってるの?」

 「………」

 「一方的に振ったくせに」

 「………」



ナミは顔を上げず、冷たい口調で言葉を紡ぐ。
俯いたまま、臍のあたりで己の拳を握り締めている。
微かにその手が震えていた。

おれは何も言うことができなくて、黙ってそれを聞いていた。



 「あんたのせいで、この船の空気すごい微妙になっちゃうわよ」

 「………」

 「責任、取りなさいよ」

 「………あぁ」





そっと手を伸ばして、ナミの手に触れた。

暖かく、懐かしいその手。

固く閉じた拳をほどいて、自分の両手で包み込んだ。
ナミは抵抗しなかった。





自分がどれだけ最低な男かというのは分かっている。

それでも。

この手を忘れることができなかった。



あの女を愛していた。
傍に居たいとも思っていた。

だが真実は。




きっともう離すことはないだろう。

そう思ってその手を強く握ると、ナミも同じように握り返してきた。





求めたものは、たった一人の女の手。





『別れ話、でも最後はヨリを戻して幸せに』

はい皆さん、では一斉にゾロに向かって石を投げましょう!(笑)
ゾロのアホ!(←ゾロ誕なのに)
女2人も泣かせやがって!!
ロビンちゃんがえらいかわいそうになってしまったよ。
ここらでサンジくんの登場かしらね…ふふ…(最終目標サンロビ)。
……今年前半にやった企画に似てるなぁ……(自爆)。

『離。』の続き、という雰囲気でヨロシク!
ちなみにこのゾロとロビンは、プラトニックです(笑)。
下手すりゃキスもしてねぇよ!

10/6にリクくれたなみさん……全然甘く戻ってなくてごめんなさい……orz

2006/11/22 UP


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