発。








上陸を終えて食糧在庫が潤ったばかりのメリー号では、いつものように宴会が開かれていた。
サンジが新鮮な食材を存分に使って、これでもかというほどの量を用意しても、
あっというまにテーブルの上の皿は空っぽになってしまう。
ルフィに盗られてなるものか、とクルーたちは必死に、だがそれでも楽しく食糧争奪戦を繰り広げ、
宴会が始まって何時間経ったころか、ようやくその勢いは収まりつつあった。

腹が満たされ、今はのんびりとした空気の中でクルーたちは酒を楽しんでいた。



いつもより大目に酒を開けて、とろんとした目つきのウソップがふいに口を開く。





 「なーー、お前ら彼女とかいねぇの?」

 「あぁーー?」



サンジとゾロは片眉を上げてウソップを見る。
キッチンの隅ではチョッパーとルフィが早くもウトウトと船をこぎ始めていて、ウソップの質問は聞こえていない。
ナミとロビンは自分に火の粉がかからぬよう、だが答えには興味津々で耳を澄ましていた。



 「だってよー、サンジはバラティエで客ナンパしまくってたんだろー?」

 「人を遊び人みたいに言うな、真面目なコックさんだぜおれァ」

 「ゾロだって海賊狩りしながらフラフラしてたんならさー、そこかしこで…」

 「フラフラ言うな」

 「だってよー…」




ウソップは赤い顔でちびちびとグラスの酒を飲みながら、テーブルに伸びた。




 「何だよ突然…」



サンジも酒で顔を赤くして、呆れたようにウソップの頭を拳で突付いた。
ゾロは気にもせず、一人で瓶ごと酒を煽っている。




 「お前らはさー、顔もいいしモテるだろうと思ってなー…」

 「…何だそりゃ」

 「アホか」



サンジは肩をすくめて、椅子に背もたれる。
顔を上げたウソップは、じと目でサンジを見た。




 「ウソップだってカヤさんがいるじゃない」

 「…カヤはそんなんじゃねぇよ……」




ナミが慰めるように言うと、ウソップはテーブルに伏せたままで小さく呟く。
ロビンはふふっと笑って、テーブルに手を咲かせてウソップの頭を優しく撫でた。




 「おれのことはいいから! お前らは好きなヤツとか居ないのかよ」



顔を上げたウソップは酒だけのせいではなく顔を赤くして、上半身を伸ばしてサンジに詰め寄った。
ゾロは相変わらず我関せずで酒を飲み続けている。



 「おれはこの世の全てのレディを愛してるぜ?」

 「真面目に答えろよーー」

 「おれはいつだって真面目に愛してる!」

 「…もーいい、おいゾロ、お前は?」

 「あぁ?」



はーっと溜息をついたウソップは、今度はゾロをターゲットにする。

ゾロが何と答えるのか、サンジも興味があったために口を挟まずにゾロの横顔を見た。
ナミとロビンも面白そうな顔を向ける。


4人の視線を感じながら、ゾロは静かに傾けていた酒瓶を置いた。





 「居るぜ」





平然と返されたその答えを聞いて、4人は思わず固まった。
ゾロはその顔を見渡して、何事もなかったかのようにまた酒を煽る。




 「……マジで?」

 「マジで」

 「…だ、誰だ?」

 「聞きてぇか?」

 「おう!」




まさかゾロとこんな会話が出来るとは思わず、ウソップとサンジは目を輝かせて答えを待った。
ナミとロビンも同様に、じっとゾロが口を開くのを見つめる。
焦らすようにもう一口酒を口に含んでから、ゾロはゴトリと瓶をテーブルに置く。

ゴクリとそれを飲み込んで、それから言った。







 「ナミ」






簡潔に答えて、また酒を煽るが中身が空になった事に気付いて立ち上がり、
ゾロはワインラックから新しい1本を取った。

その間、4人はずっと固まっていた。





 「……へ?」

 「…マジで?」

 「え?」

 「…あら…」




4人の顔を見て、ゾロは不満そうに唇を突き出す。




 「…何だよ、文句あっか?」

 「え、え?」

 「おい、ちょっと、本気かそれ…?」

 「冗談言うように見えるか?」




立ったまま歯でコルクを抜き、ぺっと吐き出したゾロはあっさりと答える。
ウソップとサンジは思わず顔を赤くして、おたおたと互いの顔を見合わせる。



 「いや、てか、だとしたら結構な告白じゃねぇのかそれ?」

 「そりゃ、そのつもりだからな」

 「え?え?」




ゾロはナミの顔を見つめながら、ニヤリと笑う。




 「別に返事期待してるわけじゃねぇから、心配すんな」



ゾロはナミの頭をぐしゃりと撫でて、そのまま酒瓶片手にキッチンから出て行った。








遠ざかるゾロの足音を聞きながら、サンジたちは思わず小さく息を吐いた。



 「マリモ野郎が人並みに…」

 「お、おいナミ、お前知ってたのか?」

 「この顔を見る限り、知らなかったみたいね…」

 「え、え?」




ナミは見たこともないほど顔を真っ赤にして、ひたすら『え?』と繰り返していた。



明日からゾロに―ゾロとナミに―どう接すればいいのやら。
サンジとウソップは溜息をついて、聞かなかったことにするために互いのグラスに酒を注いだ。



『ゾロナミ+ALLで、ゾロがみんなの前でナミに告白』
とりあえず告白させてみた。
あっさりゾロ。
ナミさんはいきなりのことでパニックです。
そんな兆候カケラも見せてなかったんですよ、剣豪(ここで説明するな)。

10/4にリクくれたふぅさん、こんな感じじゃダメー?
ラブくなるどころかナミさん返事もしてねぇよーー!!!

2006/11/19 UP


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