相。







 「なぁーゾロ、お前テスト勉強どうよ?」




この日最後の授業の終わりを知らせるベルが鳴ると同時に、
サンジは椅子に座ったままグルリと上半身を後ろに向けてそう言った。




 「ぼちぼち」

 「おれ数学マジでやべぇんだよ、教えてくれーーーー」

 「授業ロクに聞いてねぇからだろ」

 「野郎の授業なんか聞く気起きねぇ」

 「知るか」



何故か偉そうに答えたサンジに呆れた返事をして、
ゾロはバッグの中にノート数冊を放り込んで、さっさと立ち上がった。



 「頼むよーー、晩飯作ってやっから、な?」

 「・・・わかった」



料理好きのサンジの腕を知っているだけに、これはゾロにはなかなか好条件な取引である。

父親との2人暮らしで、しかもその父の帰りは遅い。
食事はスーパーの惣菜かコンビニ弁当で済ませることが多い自分が、
この取引に簡単に応じることをこの友人は知っているのだ。




 「じゃあ今日泊まりな!」

 「勉強合宿かよ」



サンジはそう言って、いそいそと教科書をバッグに詰め込む。
やけに楽しそうな言い方にゾロは苦笑しつつも、サンジが準備を終えて立ち上がるのを待っていた。
バッグを肩に担いで、サンジはゾロに笑いかける。



 「ついでに他の教科も頼むわ」

 「へーへー」

 「よし、これで今回も何とか乗り切れるな」

 「言っとくが、晩飯の材料は無ぇぞ」

 「ンなこと知ってる。おれん家から持ってこーぜ」







サンジの家に寄って、夕食の材料や(メインである)勉強道具を持ち、
さらには途中のスーパーで買出しをしてから、2人はゾロの家に着いた。


ゾロがポケットから鍵を取り出しガチャガチャとドアを開けていると、
隣の家の玄関が開いた。




 「あれ、サンジくん?」



出てきた女は、ゾロとサンジの姿を見て驚いた顔をした。
サンジはその姿を見て、目をハート型にして体をくねらせる。



 「んナミさーん!久しぶりーv 隣のクラスなのに全然会わないから寂しかったでしょーー!?」

 「はいはい、寂しかった寂しかった」

 「どこ行くの?買い物?」

 「うん、お使い。 てかどうしたの、大荷物で?」



ナミは財布を掲げて見せて笑い、
それからサンジとゾロが抱えているバッグやビニール袋を見て首をかしげた。



 「勉強合宿」



玄関の扉を開けながらゾロがそう答えると、ナミは目を輝かせて近づいてきた。



 「えーー! 楽しそう!!」

 「勉強だぞ、勉強」

 「私も混ぜてよ」

 「あぁ?」



ナミはゾロの隣に立ち、その顔を覗き込む。



 「この荷物見る限り、サンジくんが晩御飯作るんでしょ? 私も食べたい!」



ゾロが持ったビニールの袋には食材が詰まっている。
眉を寄せたゾロはナミの顔をじっと見て、それからサンジをチラリと見る。



 「おれは全然いーぜーー? かわいい子が近くにいりゃ勉強もはかどるってもんよ!!」

 「わーい!ありがとサンジくん!」

 「・・・逆じゃねーの」



きゃっきゃっと盛り上がる2人を無視して、ゾロは小さく呟いてから中に入った。









何故かまずサンジの手料理を味わってから、
3人はゾロの部屋で頭を突き合わせてノートを広げていた。

ゾロのスパルタ指導のおかげで、サンジも何とか数学クリアのメドが付いてきた。
他の教科にも手を伸ばし、3人は(意外と)真面目に勉強した。
元々ゾロは成績は上位だし、ナミも学年でトップクラスに位置する。
その2人からの指導を受けては、サンジもナミに鼻の下を伸ばしている場合ではなかったのだ。






10時をまわったころ、ナミが大きな欠伸をして体を伸ばした。



 「んーーー・・・・、眠い!」

 「てか、お前はここで集中講座しなくても別にイイだろうが」

 「だって、楽しそうだったからさー」



サンジが化学の問題に苦戦している間、ベッドに倒れこんだナミをゾロは呆れたように見る。
ナミはまた大きな欠伸をして、目をこすった。



 「眠いから、ちょっと寝る」

 「じゃあもう帰っ―」



ゾロの言葉も聞かず、ナミはもぞもぞと布団に潜り込んだ。



 「・・・おい、ちゃんと客用の布団出すからそっちで・・・」

 「待てない、眠い」



ゾロが立ち上がりかけたときには、ナミは早くも寝息を立て始めていた。
すぅすぅと幸せそうな顔でシーツに包まっている。




 「・・・・・・」




ゾロは溜息をついて再び腰を下ろし、シャーペンを握りなおした。





 「・・・なぁ、お前らって付き合ってんの?」



2人の様子をこっそり横目で見ていたサンジが、声を潜めて尋ねた。



 「・・・まさか」



片肘をテーブルに付き、問題集を見ていた目を一瞬上げてすぐに下ろし、
ゾロは空中でクルクルとペンを回す。

サンジは結局解けなかった化学の問題を無かったことにしたいのか、
ノートを脇に避け、テーブルに身を乗り出すようにしてゾロに顔を近づける。



 「マジで? だってこんな無防備にナチュラルにお前のベッドで寝てんのに?」

 「マジで」

 「・・・幼馴染って、そんなモンなの?」



ゾロはチラリとベッドの中の女に目をやる。
小さいときから知っているし、一緒の布団で寝たこともそれこそ一緒の風呂に入ったこともある。

だが、年頃の男の部屋で、その男の布団で眠るなどと、
いくら幼馴染でもアリなのだろうか?



 「・・・他は知らねぇけど、コイツはずっとこんなだ」



信用されているのか、男として見られていないのか。






サンジはナミの寝顔を見て、ゾロの顔を見て、
それからその肩をポンと叩いた。



 「・・・頑張れよ、ゾロ」

 「・・・・・・余計なお世話だ」



ゾロはサンジの手を振り払い、睨みつける。



 「問題はどうした? ・・・全然解けてねぇじゃねぇか!!さっき教えたろ!!」

 「う、うるせぇ!コツがまだ掴めねぇんだよ!」

 「文句言うな!もっかい説明してやっから耳かっぽじって聞いとけ!!」

 「鬼マリモ!!」

 「頼んだのはそっちだろ!」




無意識だが半ば八つ当たりに近いゾロの指導により、今回のサンジの成績は自身過去最高の結果だったという。




『学生パラレルサナゾ、恋愛一歩手前』
9/30にリクくれたゆぅこサマ、・・・どうかな、ドキドキかなコレ・・・。

とりあえずゾロ誕一発目〜。
ダメダメ気味でごめんなさい・・・(土下座)。

2006/11/01 UP


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