幼。
「くいなさん、こんにちは!」
「あ、ベルメールさん、こんにちはー」
「お迎え? 一緒に行きましょ」
「えぇ」
幼稚園のすぐ手前で顔を合わせたベルメールとくいなは、
笑顔で挨拶を交わしながら門に手をかけた。
「いつもナミと仲良くしてくれて、ありがとねー」
「そんなの、こちらこそ! ゾロったらナミちゃんのこと大好きみたいで」
「あら、じゃあ将来結婚させちゃおうか?」
顔を寄せてベルメールが楽しそうに言うと、くいなも笑ってウンウンと頷く。
「ふふ、いいですねそれ!」
「あの2人仲いいもんねぇ」
「本当に・・・あ、ほら、今も」
門を越えて中庭に目をやると、迎えを待つ園児たちが楽しそうに遊んでいる。
その中に、くいなの子・ゾロとベルメールの子・ナミの姿もあった。
ゾロとナミは、砂場の傍にしゃがみこんで楽しげに話している。
「ナミちゃん、砂場で遊ぼう」
「いいよー」
ゾロはナミの返事を聞いて顔を明るくし、その手を取って中庭へと駆けていく。
だがゾロが早く走りすぎたのか、ナミは転んでしまった。
「ナミちゃん!」
「・・・・いたい・・・」
砂や小石で膝を軽く擦りむいてしまったナミは、そのまましゃがみこんだ。
「ごめんねナミちゃん、だいじょうぶ!?」
「・・・・・」
「泣かないで」
ナミの膝の砂をおそるおそる払いのけながら、ゾロはナミの顔を覗きこんだ。
瞳を潤ませて泣くのを耐えていたナミは、心配そうなゾロの顔を見て健気に笑う。
「だいじょうぶ」
「ごめんね・・・」
「・・・いいよ、ゆるしてあげる。だってナミ、ゾロのこと好きだもん」
「ぼくもナミちゃんのこと好きだよ」
ナミが頬をピンクに染めてそう言うと、ゾロも嬉しそうに笑う。
「ほんとに?」
「うん、だから大きくなったらぼくと結婚してね」
ゾロはナミの手をぎゅっと握って、照れながら言った。
ナミもその手を握り返し、小首をかしげてゾロの顔を上目で見る。
「あのねナミね、おっきいダイヤの宝石がほしいの」
「うん! 買ってあげるよ!」
「ほんとに?」
「うん!」
「じゃあ約束!」
「約束!」
小さな可愛らしい小指をからめて、2人はぶんぶんと振る。
それからナミは大きな目でゾロを見ながら言った。
「ねぇゾロ、結婚の約束をしたら、みんなキスをするんだよ」
「キス?」
「そう」
「じゃあしよう!」
「うん!」
他の園児がきゃっきゃっとはしゃぎまわっている隙間で、
2人仲良くしゃがみこんで、キスをしている。
「あら、あの子たちってば・・・」
「ゾロったら!! 女の子になんてこと・・・」
「いいのよくいなさん、多分ナミの方からよアレ・・・」
微笑ましい光景を少し離れて覗き込みながら、ベルメールとくいなは苦笑した。
「本当にもう・・・ごめんなさいねベルメールさん」
「いいのいいの! あ、気付いたわ」
母親たちの姿に気付いたナミが、嬉しそうに走ってきた。
先程こけたことはもう忘れているらしい。
ゾロもくいなの姿に気付き、持っていたシャベルやスコップを慌てて片付けに行った。
「ナミ、あんたなかなかやるねーー」
「なにがー?」
足元に抱きついてきたナミの頭をポンポンと撫でながら、ベルメールはふふんと笑った。
母親の顔を見上げて、ナミは首をかしげる。
「ゾロくんとチューしちゃって!」
「うん! ナミ、ゾロと結婚するの!」
「あらあら」
「それでね、ゾロはナミにダイヤの指輪買ってくれるの!」
「・・・あらあら・・・・・・」
ベルメールはちらりとくいなに視線を送り、口元をゆがめる。
「だからナミ、ゾロと結婚するの!」
「・・・・・・えーと、ごめんなさいくいなさん・・・・」
うふふとナミが笑ってまたベルメールに抱きつく。
その頭を撫でながら、ベルメールは申し訳無さそうにくいなを見た。
「い、いいの・・・・」
くいなは腹を押さえて笑いをこらえていた。
何も知らないゾロは、きちんと道具を片付けたあとで、
ご機嫌な様子でこちらに向かって走ってきていた。
「頑張れゾロ・・・!」
くいなは我が息子を改めて応援するのであった。
2006/08/26 UP
『幼稚園児ゾロ、おませなお友達ナミちゃんに遊ばれる』
6/27にリクくれたこけし堂サマ、こんなんで・・・。
遊ばれる、というか、ナミちゃんは天然子悪魔です。
子ゾロはナミ一筋です。
ゾロは可愛く、をモットーに(笑)。
もうプリップリだよ(何が)。
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