見。
「暇だわ・・・」
陽気な午後に、ナミは一人甲板に座り込んで呟いた。
壁にもたれて、ぼんやりと甲板を見渡す。
倉庫手前の階段下では、ウソップが何やら怪しげな実験をしている。
正面の手すりの上では、船長が暇そうに釣り糸を垂らしている。
キッチンからは美味しそうなおやつの匂い。
ロビンとチョッパーの姿が見えないけど、おそらくは後甲板でゲームでもしてるんだろう。
あと一人いないわ、と思った矢先、倉庫からガタガタと物音がして、扉が開いた。
出てきたのは、筋トレマニアの剣豪だった。
だがこの日は珍しく小ぶりのダンベル(それでも表示されているkgは洒落にならない)を持って、
欠伸をしながら扉を後手に閉めた。
何の気なしに見つめていると、目が合った。
ゾロはドカドカと近づいてきて、ナミの正面に立つ。
「そこはおれのお気に入りだぜ」
「筋肉丸出しでお気に入りとかカワイイこと言わないでよね」
「うるせぇ」
「あんたのいるトコって涼しいのよ」
「ふん」
ゾロはそう言って、ナミの隣にどかっと腰を下ろして、
両手のダンベルを上下させる。
「汗臭い」
「じゃあどっか行け」
「暇なのよ、見てるわ」
「勝手にしろ」
それからしばらくは、ゾロの荒い息だけがまわりにあった。
横目でそれを見ていたナミだが、すぐに飽きてしまった。
「あーーー、暇・・・・」
「・・・ウソップ見てみろ」
隣でブツブツと暇っぷりをアピールされて、ゾロは仕方なくウソップの方へ顎をしゃくった。
「何?」
「もうすぐ試験管から煙が出るぞ」
「・・・ほんと?」
ダンベルを上下させる手を止めることはなく、ゾロはポツリとそう言った。
ナミは目をぱちくりとさせ、ウソップの動きをじっと見つめる。
ウソップは片手に青い液体の入った試験管を持ち、それにもうひとつの試験管に入った透明な液体を加えようとしていた。
ぽたっとそれが混ざった瞬間。
ボン!!と試験管から煙が上がり、ウソップは顔を真っ黒にして固まっていた。
「・・・うそ、本当に煙出た!」
「だろ」
ナミは楽しそうに口元を押さえて笑いをこらえる。
「ねぇ、じゃあルフィは?」
「そうだな・・・そろそろキッチンに飛んでって、クソコックに蹴り飛ばされて出てくる」
「へぇーー」
ナミがルフィに目をやると、とうとう釣りに飽きたのか、それとも食欲に負けたのか、
釣竿を放り出してキッチンへと走って行った。
「本当に行った!」
「5、4、3、2、1、・・・」
「こんのクソゴムーーーー!!!!」
ゾロのカウントダウンがゼロになった瞬間、サンジの怒号と共にルフィがキッチンの扉から吹っ飛ばされてきた。
そのままマストにぶち当たり、べしゃりと甲板に落ちた。
「・・・すごい!! 何で分かるのゾロ!」
「トレーニングの最中、結構見てるからな」
ナミはキラキラと目を輝かせてゾロを見た。
ゾロも何故か得意げな顔で見返す。
「ねぇねぇ、じゃあ次は?」
「そろそろ・・・キッチンからクソコックが出てくるぜ」
ニヤリと笑ったゾロの言葉のすぐ後で、勢いよくキッチンの扉が開かれる。
「おやつだぞーーーー!!!!」
「お前を発見するまで3、2、1、・・・」
「んナミすわぁーーん! 貴女のために腕をふるった・・・・」
「目の色変わるまで2、1、・・・」
「あーー!! クソマリモーー!! ナミさんの隣で何やってる!!!」
「階段駆け下りて、おれに蹴りを飛ばすまで4、3、2、1、・・・」
階段をダッシュで下りてきたサンジはゾロの顔面に向かって足技を繰り出し、
ゾロがそれを避けて攻撃は船の壁にぶつかった。
ゾロのカウントダウンは、完璧だった。
「あぶねぇな、ナミに当たったらどうするつもりだ?」
「ンなことするわけねぇだろ! ナミさんこんな汗だくマリモから離れて・・・」
サンジががばりとナミに向き直ると、ナミは顔を真っ赤にして腹を抱えて震えていた。
「ナ、ナミさん!? おなか痛いの!?」
「・・・も、ゾロ、最高・・・・」
「へ?」
「だろ?」
ナミは笑いをこらえながらゾロの肩にもたれかかって、そのシャツを掴む。
ゾロは満足気に笑ってナミを見下ろした。
サンジだけが一人訳の分からない顔で、仲の良さげな2人を妬ましげに見つめていた。
「ゾロとナミって仲いいよなぁ・・・」
「ほんとね」
寄り添ってクスクスと笑っている2人を階段から見下ろして、
後甲板から出てきたチョッパーとロビンは揃って微笑んだ。
2006/08/23 UP
『ゾロとナミが一緒に他のクルーを観察』
6/25にリクくれた方、あんまり観察してないな・・・あれーー・・・。
ロビンとチョパに観察されてた2人でした。
ちなみにこの2人はまだデキてませんよ。
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