居。














           何も求めてはいない

           想いが返ってくると、期待などしていない。





           それでも、傍にいたいと思う。

           そのくらい、許されてもいいでしょう?
















ゾロとロビンちゃんが一緒に居るのを最近よく見かける。



もちろん、ナミさんと一緒にいるときほどではない。
それでも、ゾロのロビンちゃんに対する最初の態度から考えると
頻度が高い。



甲板で何事かを話している2人の顔は、
他のどの仲間に対しても見せない顔だ。

それは、ルフィや、ナミさんへ向ける顔とは違う。




まるで


自分自身と会話しているように。




気を張っている、それなのに安心している。






いつの間にそんな間柄になったんだよ。




男とか女とか、そういう関係ではないだろう。

2人の雰囲気は決してそういった類のものではない。




それにゾロには、ナミさんがいる。









でも


ロビンちゃん、




君がゾロに向けるその顔は、







ただの仲間に向ける表情じゃないよ










それはゾロも気付いているだろう。

あいつは鈍いようで、時々めちゃくちゃ鋭くなるからな。







気付いていながら、お前はロビンちゃんと其処に居るんだ。








ゾロ、



お前がロビンちゃんにそんな顔をしているのを



ナミさんがどんな気持ちで見ていると思う?






ゾロ、



お前がナミさんと居るときに



ロビンちゃんがどんな表情をしているのか



お前は見たことがあるか?























 「ロビンちゃんを泣かすんじゃねぇよ」




深夜、キッチンにゾロが水分を摂りに来る前に、
サンジは自分からゾロのいる甲板にやってきた。




 「てめぇいい加減どうにかしろよ」

 「何を」


 「ナミさんとロビンちゃん、はっきり決めろって言ってんだよ」


 「・・・・・・」




 「お前とロビンちゃんは似てるんだ」

サンジは海の方を見ながら、煙草に火をつける。
ゾロはそんなサンジを無視するように、トレーニングを続ける。




 「お前とナミさんも似てると思ったよ。


  でもロビンちゃんが仲間になってから気付いた。


  ナミさんよりもロビンちゃんの方が


  てめぇにそっくりだ」






     人の道の暗い部分を知っている


     夢へ命を賭ける


     夢のために命を捨てる、誇りの高さと潔さと、信念







 「お前らのはな、2人で傷を舐めあってるだけの関係なんだよ」

サンジはゾロの方へ向き直る。

ゾロはまだトレーニングを続けている。





 「失礼なこと言ってごめんよ、ロビンちゃん」





ゾロの傍で、そのトレーニングを見ていたロビンに、サンジは声をかける。







 「でもそれが事実だろ?」









 「お前はロビンちゃんを縛り付けてる」

 「・・・・・」

 「てめぇの我儘で、彼女を束縛してんだ」

 「・・・知った口きくんじゃねぇ」


 「お前らの関係じゃ、全然前に進めねぇんだ」

ゾロはトレーニングの手を止める。
ロビンは、壁にもたれたまま動かない。




 「てめぇがナミさんをきっぱり捨てて、

  ロビンちゃんと2人で前を見るってんならいいんだよ。

  でもお前はナミさんと前を見てるんだ」




ロビンは、口を挟まずに、ただゾロとサンジの2人を見つめる。





 「ロビンちゃんの気持ちを知ってやがるのに

  ただお互いの傷を舐めるためだけに彼女を利用してる。

  そりゃてめぇは心地いいだろうよ。

  惚れた女と前を見て、

  自分と似た女と居ることで自分の傷を癒してる。

  でもロビンちゃんの気持ちはどうなる?

  ナミさんの立場は何なんだ?」






サンジは、段々と自分の感情が高ぶっているのに気付いた。


態度は一見冷静だが、口調が棘を帯びる。






  冷静に話そうと思ったのに。

  くそ。

  ロビンちゃんにこんな話を聞かせるつもりなんて。











 「ここで決めろよ」





 「・・・・・」






 「ナミさんを捨てられるか?」





 「・・・・・・・・・無理だ」




 「じゃあロビンちゃんはどうなる?」

 「・・・・・・・・」

















 「もうやめて」











 「・・ロビンちゃん」



 「もうやめて、コックさん」



今まで静かに話を聞いていたロビンが、
同じように変わらぬ静かな表情と声で、サンジに言った。




 「私たち2人とも、ちゃんと分かってるわ

  お互いに分かってて、一緒にいるのよ」




 「・・・君はそれでいいのかい?」


 「・・・えぇ」









 「たとえ自己憐憫だけの関係でも、私は彼が必要だったから」

 「ロビンちゃん・・・・・」





 「本当にありがとう、コックさん。

  でももう、いいの」




サンジは、ロビンの瞳を見つめる。

ロビンもその瞳を見返す。


やがてサンジは息を吐いて、煙草を海に放り投げた。




 「でしゃばった真似して、ごめんよロビンちゃん」


 「いいえ、本当にありがとう」





サンジは2人を残して、キッチンへと戻った。














 「ロビン、」

 「もういいのよ、剣士さん」

 「おれは・・・・」

 「あなたは航海士さんと前に進むべきよ」

 「・・・・」

ロビンは微笑む。




 「私とでは、進めない。

  自分でも分かるもの」


 「ロビン・・・・」




 「それにね、コックさんの言ったとおり、

  あなたと私はとても似てる。



  惹かれるものも」





 「・・・」



 「だから、あなたは、航海士さんと居て」











 私と貴方は、同じ船のクルー

 今までと同じ

 何も変わらない

















           きっとこの気持ちは変えられない

           だけど思いを隠すことには慣れてるわ

           もう外には出さない

           ただ想うだけで




           でもそれが

           私にとって救いになる





・・・この二股野郎!!!!!
最悪やなゾロ・・・・・(自分で書いておいて)
いやいやゾロも苦悩してるということで・・・。
これもロビ誕祝いですが、・・・・暗い。
祝えてねぇ!!!!!!!
可哀相なロビンちゃんばっかりになってしまう。
いやいや、これからこれから。
ひっそりと続くロビ誕でございます。

2005/02/06

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