現。
「あんたまた妙な買い物したの?」
「へへー、これは結構面白いぜ!」
そう言って、ウソップは甲板に座り込んでガサガサと届いたばかりの荷物を広げた。
箱から出てきたのは、白い人形だった。
マリオネットのようなそれは関節がきちんとあって、
ウソップが箱から取り出すとぐにゃりと曲がった。
目鼻は無くのっぺりとした頭があるだけで、
鼻があるべき中央には小さなボタンのような突起が付いていた。
「何に使うの? 2つも買って」
「2個買うとお買い得って言われたんで」
「・・・あんた、詐欺とか引っかかるんじゃないわよ」
「へ?」
ヘラヘラとご機嫌なウソップは2体の人形を両手に持って、心配気なナミの顔を見上げた。
ナミは呆れたように溜息をついて、ウソップの手から人形を奪い取る。
「何のオモチャ? 着せ替えでもして遊ぶ気なの、あんた」
「ンなわけねぇだろ」
ナミはガチャガチャと人形の手足を動かしたり、上下逆さまにしたりして検証する。
ウソップはハラハラとしながらも、奪い返すことはしなかった。
ちょうど倉庫から出てきたゾロは、2人の姿に気付いて欠伸をしながら話し掛ける。
「何やってんだ。またヘンなモンでも作ったか」
「買ったのよ、ウソップが」
「ふーん」
ウソップが持っていたもうひとつを、今度はゾロがひょいっと取り上げる。
「何だこのボタン?」
「うん、何だろ?」
そう言って、ゾロとナミは同時に、顔の中央のボタンを押した。
「あーあ・・・」
ウソップの呆れたような声が聞こえたかと思ったら、
2人の手の中の人形が急にモゾリと動き始めた。
「なっ!?」
「え!?」
驚いた2人が人形を放り投げたときには、すでにそれは『人形』ではなくなっていた。
2人の手から離れたそれは、上手く甲板に着地した。
そして・・・顔を上げて微笑んだ。
「ママ!」
「パパ!」
さっきまで白い人形だったはずのものは、どう見ても人間になっていた。
せいぜい6,7歳くらいだろうか、小さな体で甲板の上にちょこんと立っている。
ゾロが持っていた人形は、そのままゾロを小さくしたような子供に。
同じくナミが持っていたそれも、小さなナミに。
見た目や服装までも、今現在の2人とそっくり同じだった。
彼らは2人を見上げて、声を揃えて「パパ」「ママ」と叫び、その体に飛びついた。
「な、何だよコレ」
「ちょっとウソップ!! どういうこと!?」
「これはなー、コピーロボットだ」
ウソップは説明書を広げながら言った。
「鼻のボタンを押した人間を丸々コピーするんだ」
「コピーって・・・子供じゃねぇか!!」
「それが不思議だな、うむ」
説明書に目を通しながら、ウソップは首をかしげる。
「子供型でコピーされるとは書いてないんだが・・・しかも『ママ』『パパ』ときたか・・・」
ウソップは手元から目を上げ、チラリと2人を見た。
ゾロの足元には、オレンジ頭の女の子。
ナミの足元には、緑頭の男の子。
「何で逆に懐くんだ?」
「「知るか!!」」
とりあえず鉄拳制裁を加えられて甲板にのびているウソップを置いて、
2人はチビたちを連れてキッチンに向かった。
まずは落ち着いて水でも飲もう、というわけだ。
その間にも、チビたちは2人にまとわりついて離れない。
小さいゾロはナミを『ママ』と呼び、
小さいナミはゾロを『パパ』と呼ぶ。
面白がったクルーたちに囲まれて、
2人はむすっとした顔をしながらもチビたちを突き放せなかった。
パタパタと振る尻尾が見えるんじゃないか、というほどに自分たちに懐いてくる。
悪い気は正直しない。
それに、小さいゾロ&ナミは可愛かった。
チビナミは当然だろうが、チビゾロも意外と可愛いのだ。
ロボットでなおかつ子供だからだろうか、今ではことあるごとに全開になる邪気が感じられない。
大人ゾロはおそらく今後見せることはないであろう満面の笑みで、チビゾロはナミにすがりつく。
ナミはそんなチビゾロに妙な母性本能が湧いてしまい、ついつい膝の上に乗せたりしてしまう。
ゾロはというと、もともと子供好きのうえ子供にも好かれやすい。
チビナミが足元にまとわりつくのは邪魔だったのか、ひょいっと肩の上に担ぎ上げて、
髪の毛を引っぱられたりしてもそのままにしている。
どうやらチビナミを気に入ったようである。
そんな4人の様子を見て、ふいにルフィが呟いた。
「あのさー」
「どうした、ルフィ」
何となく面白くないサンジが、無愛想に返事をする。
ルフィはテーブルに両腕を伸ばして顎を付き、4人の顔を上目で見て笑った。
「ゾロそっくりのヤツがナミを『ママ』って言って、ナミそっくりのヤツがゾロを『パパ』って呼ぶってことはーーー」
「・・・ことは?」
「ゾロとナミの子供ってことだよな?」
全員の動きが止まる。
全く悪気の無い笑顔でそう言い放ったルフィは、サンジの蹴りでキッチンから飛んで行った。
サンジは肩で息をしながら「ありえねぇありえねぇ」とブツブツ呟いていた。
ゾロとナミは一瞬目が合ったが、妙に気まずくなってお互いすぐに逸らしてしまった。
ゾロとナミは、お互いの感情に何となくは気付いている。
だがそれを口にすることはいまだ無い。
微妙な関係の2人に、ルフィの問題発言。
気まずくなるなというのがムリな話。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・こ、これ、いつまでこうなのかしらね」
「さ、さぁな・・・ウソップに聞くしかねぇだろ、あいつ何やってんだ」
先程自分たちがボコボコにしたのも忘れて、2人はこの場にいないウソップに文句を言う。
ヨロヨロとキッチンにやってきたウソップは、
ゾロとナミに睨まれながらも説明書を握り締めて何とか椅子に座った。
「えーとな・・・、とりあえずコレはお試し品なんだ」
「お試し?」
「1日だけの試用期間ってことだ」
「1日・・・」
ゾロとナミは、自分たちの膝の上に座っているチビたちの頭を無意識に撫でながら呟いた。
「だから、明日になったらただの人形に戻る」
そう言って何故か得意そうにウソップは2人の顔を見る。
だが安心しているかと思いきや、複雑な顔をしているのに気付いて戸惑った。
「な、なんだよ、よかったろ?」
「あ、あぁ・・・」
「そ、そうね・・・」
何故か2人とも微妙に暗い顔になって、チビたちを見下ろしていた。
「あ、それにな・・・」
ウソップがさらに言葉を続けようとすると、ナミが突然立ち上がった。
「1日くらいなら・・・いっぱい可愛がってあげなきゃね!」
「だな・・・」
続いてゾロも立ち上がり、再びチビナミを肩車する。
ナミもチビゾロの手を引いて、キッチンの扉に向かう。
「さぁチビゾロ、畑でミカンの手入れでもしましょ!」
「チビナミ、お前も行くだろ?」
チビ2人はにっこりと笑って、声を揃えて「うん!」と叫んだ。
その返事に満足して、ゾロとナミも笑顔になってキッチンから出て行った。
ウソップとルフィがこっそりとミカン畑を覗き込むと、チビナミはナミと一緒にミカンの木の手入れ、
チビゾロは鞘におさまったままのゾロの刀を持って、握り方や構え方を教えてもらっている。
時々チビナミはゾロの背中に飛びついて、悪い葉っぱを取ったことを褒めてもらい、
チビゾロはナミに自慢げに刀を持つ姿を見せて、褒められると嬉しそうに笑っている。
どっからどう見ても、『家族4人仲むつまじい』光景だった。
それを眺めながらルフィが、ウソップから取った説明書を見ながら呟いた。
「なぁウソップ、ここに『鼻の頭押せば元に戻る』って書いてあんじゃねぇか」
「あーー・・・そうなんだけどな」
「どした?」
「いや、あいつら楽しそうだしな」
その日以来、ゾロとナミの距離が近づいたように見えるのは、クルーの気のせいではなかった。
2006/08/19 UP
『ゾロナミの子供で2人にそっくりな男女の双子』
6/22にリクくれた方、・・・・ごめん!!!
ロボットにしちゃったよ・・・!!!
いや、ゾロナミ(原作)@隠れ家子供って、私的にはとりあえずミラちゃんなんですよね。
あともう1バージョン。
後日UPになりますが。
これ以上増えると私の脳内パーーン!てなります。
だからロボット(苦しい言い訳)。
・・・あ、パラレルですればよかったか・・・・!!!!(遅)
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