解。








 「とりあえずは一番大きい本屋行ってー、それから古書店に行く?」

 「えぇ、それでいいわ」





ナミとロビンは本屋巡りをするために2人揃って上陸し、町の中心部へ向かっていた。



ナミは久しぶりの大きな島にご機嫌で、
時折ロビンの方を見ては嬉しそうに笑っていた。

ロビンもそれを見て頬を緩める。



 「嬉しいわ」

 「何がー?」

 「航海士さんが笑ってくれて」

 「・・・」

 「こうして、航海士さんと一緒に町を歩けて」

 「ロビン・・・」








ナミの気持ちと、ロビンの気持ちと、ゾロの気持ち。

それぞれが交錯して、一時期メリー号には微妙な空気が流れていた。


ナミとゾロが恋人同士であるのはクルー全員が承知していることだったが、
ロビンがゾロに自分の気持ちを打ち明けたことから、少しずつその関係がぎくしゃくとし始めたのだ。

ゾロの中に、本人も気付いていなかったロビンに対する微妙な感情があった。
ナミはそれに随分前から気付いていたし、ロビンはそれを気付かせてしまった。

それはナミに不安と焦りを与えて、
ロビンには罪悪感と、叶わないと知りながらも少しの希望を与えた。


はっきりとした態度に出られなかったゾロだったが、
嵐の日の事故で、自分の感情を自覚した。



結果的にはロビンはフラれたのだが、ナミの前では涙など見せなかった。
今回一緒に上陸するよう誘ったのもロビンだ。
ナミは若干戸惑ったが、ロビンがあまりに普通の態度だったこともあり、
それに2人で出るのは久しぶりだったから了承した。

本当は、ナミの方から誘うつもりだった。
ゾロとのことを話題にすべきか迷うところだが、それよりもナミはロビンと普通に話をしたかったのだ。
ナミにとってロビンは頼れる仲間であり、憧れる女性だ。
男関係のゴタゴタでその関係がおかしくなるのは嫌だった。




それでも、さすがに自分からゾロの話を持ち出せずにいたのだが、
ロビンはそんなナミの感情も理解しているかのように、にっこりと微笑む。





 「こんな関係って、すごく不思議なのよね」

 「関係?」

 「・・・全部が初めてなのよ」

 「・・・?」



ロビンは立ち止まり少し頬を染めて、恥ずかしそうに俯いた。
ナミはきょとんとしてその顔を下から覗き込む。



 「恋敵で、仲間で、家族みたいで、・・・友達、で。 ・・・私の勝手な思い込みかもしれないけど」



ふふ、とロビンは笑った。
ナミは目を丸くして、ロビンを見つめ続ける。
ロビンは照れたようにまた笑って、ナミの一歩先を歩き始めた。

その背中を見て、ナミはポツリと呟く。



 「・・・ロビンも、そんな風に思っててくれたの?」

 「私はね、剣士さんのことも好きだけど・・・でもそれ以上に貴女って人が大事なの」

 「・・・」

 「だから貴女が笑っててくれれば、嬉しいの」



そう言ってロビンが振り返ると、ナミがその胸に飛び込んできた。



 「航海士さん?」

 「ねぇロビン!!」

 [なぁに」

 「手、繋ごう!!」

 「・・・手?」

 「うん!」



ロビンの胸にしがみついて、顔を上げたナミはそう言ってロビンに向かって片手を広げる。

ロビンは戸惑いつつも、おずおずと手を出した。
ナミはそれを取ってぎゅっと握る。
それから言った。





 「大好きよ、ロビン」

 「・・・ありがとう」

 「だから、お願いだから、傍に居てね」

 「・・・喜んで」










本屋の中でロビンは思い出したように言った。



 「あのね、多分彼・・・」

 「なになに?」

 「自覚して区別できてないのよ」

 「何を?」

 「仲間と、恋人の違い」






















 「あいつと何か話したのか?」

 「ん? 別にー」



ミカン畑で寝転んで船番をしていたゾロは、帰ってきたナミにそう尋ねた。
女部屋に本の山を運び終わったナミは、ミカンの葉の様子を見ながら、
足元に座るゾロに意味深に笑ってみせる。



 「ねぇ、ゾロってさ」

 「あ?」

 「仲間と恋人の違い、分かってる?」

 「・・・・・・てめぇもンなこと言うのか・・・」



ゾロはうっすら顔を赤くし、ナミから目をそらして小さく呟いた。
ナミは正面にしゃがみこんで、楽しそうに笑いながらゾロの目を追う。



 「え、何、分かってないのー?」

 「・・・わ、分かってる」

 「本当に?」

 「もう分かった」

 「本当に?」

 「しつこい!!」



グリグリと頬に指を押し付けてくるナミの腕を払いのけて、ゾロは怒鳴る。
ナミはひるみもせず、さらにゾロに指を突きつける。



 「じゃあ説明してみてよ」



からかうように言うと、ゾロは言葉を選ぶように考え込む。
しばらくすると口を開き、あーだのうーだの呻き始める。




 「やっぱ分かってないの?」

 「分かってるっつってんだろ! ・・・だから、仲間と恋人の違いは・・・・・・ロビンとお前、の違いだ」




耳たぶまで赤くして、ゾロはボソボソと答える。
ナミは首をかしげてその様子を笑顔で眺める。



 「・・・私が、恋人?」

 「当たり前だろ、今さら何だ」

 「・・・ふふ、そっか」



ナミもうっすら頬を染め、それからゾロの広い額にキスをした。



 「・・・何だよ」

 「別に、したかっただけ! それよりさっき『てめぇも』って言ってたけど、誰かにも言われたの?」

 「・・・あーー、あぁ、クソコックの生霊に・・・」

 「・・・何それ?」

 「気にするな」



照れ隠しにゾロが腕を伸ばしてナミの体を抱き寄せるのは、それからすぐのこと。




2006/08/12 UP

『【巡】設定のゾロナミ』
6/20にリクくれた方、これゾロナミ・・・・? す、すまん。

何かロビンちゃんが可哀相な気がしないでもないけど、
ゾロナミサイトだから仕方ないね!(笑)。
ウチのロビンちゃんは、どんなCPでもナミさんが大好きなんで、ある意味幸せなんだよ彼女は。

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