和。
「ねぇゾロ、上陸したら・・・」
「あぁ悪ぃ、次はチョッパーに付き合う約束してんだ」
「え、」
数時間後には次の島に着く。
ナミは一緒に街に出るつもりで、甲板でダンベルを上下させていたゾロに声をかけたのだが、
すぐにそう断られてしまった。
「何か、メスとか新しいの買うらしいんでな、ついでに一緒に出るってことになった」
「・・・・前の島でも、あんたチョッパーと出たじゃない」
「ん? そうだったか? 覚えてねぇ」
「そうよ、一緒に薬買うとか言って・・・」
「あぁ・・・」
ゾロは腕を組んで、思い出したのか顎をさする。
「そういやおれ怪我してたから、すぐ飲ませたいとか言って出たなぁチョッパーと・・・」
「今回は私と出てよ」
ふと気付くと、ナミはゾロのシャツの裾を掴んで俯いていた。
ゾロはナミを見下ろして、呆れたように首を傾ける。
「だから、もうチョッパーと約束したっつったろ」
「・・・・・そんなの、断ればいいじゃない」
「・・・何言ってんだお前」
「私と行こ」
「・・・・・・」
様子がおかしいと気付いたゾロは、ナミを無言で見下ろす。
「・・・3人で出りゃいいだろ」
「いや!! ゾロと2人がいいの!!!」
ナミは大声を出して、首を振る。
その手は相変わらずゾロの服を掴んでいる。
「我儘言うな」
「・・・・・何よ、あんたが居たってチョッパーの道具の買い物には関係ないでしょ!!」
「チョッパーは誰かと一緒に出たいんだよ、分かってんだろ?」
「・・・・・・知らないそんなの!」
「いい加減にしろ、あんまり大声出すとあいつに聞こえるぞ」
「知らない!!!!」
「・・・・・・」
ゾロは溜息をついて、泣き出してしまったナミを自分の胸に引き寄せる。
ナミはゾロの胸に顔を押し付けて、しがみつく。
「お前、何チョッパー相手に妬いてんだ」
「・・・・・だって、ゾロがチョッパーにばっかり優しいから」
「お前にだって優しくしてんだろうが、ホレ」
ゾロはナミを抱いたまま、頭をポンと叩く。
ナミはそれでも顔をあげずに、小さく鼻をすする。
「じゃあ私と街に出て」
「だーーから、3人で行きゃ問題無ぇだろ?」
「・・・チョッパーは私じゃなくてゾロと行きたいんでしょ・・・」
その小さな呟きに、ゾロは片眉を上げた。
「・・・お前、一体どっちに妬いてんだ?」
「どっちも」
「あぁ?」
「ゾロが私よりチョッパーを選ぶのもムカつくし、チョッパーが私よりゾロを選ぶのもムカつくの」
拗ねたその口調に、ゾロは苦笑した。
オレンジの髪をガシガシとかき混ぜると、ナミが小さく抗議する。
「どこのお姫様だよ、全く」
「・・・ウルサイ」
「おーーいチョッパー!!」
「ちょっと、ゾロ!」
ゾロが叫ぶと、倉庫から出てきたチョッパーがトコトコと素直に駆けてくる。
「どうした? ・・・ナミ、泣いてるのか!? ケガしたのか!?」
「いやコイツがな、おれとお前だけで街に出るのが寂しいんだとさ。自分も連れてってーーーって泣いてんだ」
「ゾロ!」
ナミは顔を赤くしてゾロを睨む。
それを無視して、ゾロはチョッパーを見下ろしながらニヤニヤと続けた。
「だからチョッパー、次の島は3人で街に出てもいいか?」
「本当か!!? やったーー!!!」
心配そうにナミを見上げていたチョッパーは、ゾロのその言葉を聞いてパッと顔を輝かせる。
「おれ、ゾロとナミと3人で一緒に遊びに行くの大好きなんだ!!」
「そうか、じゃあそうしような」
「あぁ!!」
「チョッパー・・・」
本当に嬉しそうなチョッパーの顔を見て、
ナミは瞳を潤ませ、しゃがみこんでチョッパーに抱きついた。
「ごめんねありがとう大好きよチョッパー!!」
一息に言われたのと、ぎゅうと抱きしめられたことで、
チョッパーは目を丸くして、それからまたニコニコと笑った。
「手間のかかるヤツだ、全く・・・」
ゾロは2人の様子に笑いながら、早く島に着かねぇかな、と一人船首の先を見つめた。
2006/08/07 UP
『ゾロナミチョパ、チョパに優しいゾロに嫉妬ナミ、最後は親子で暖かく』
6/17にリクくれた方、これじゃダメ・・・?
短い!
ナミさん何でこんなテンションなんだろう・・・(自分で書いといて)。
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