惜。
「何泣いてんだお前」
「金の冠・・・」
「まだ言ってんのか、沈んじまったモンは諦めろ」
「だって〜〜」
カラクリ島を出航し、戦利品として手に入れたのは黄金の卵の殻だった。
1000年に一度目覚める亀が産み落とした卵は黄金に輝き、
2つに割れて新たな命が誕生したあとのその殻は、まさに『金の冠』だった。
ナミは目をベリーに輝かせ、そのひとつをメリー号の船尾にくくりつけて持ち帰った。
だが・・・・2つに割れた卵はボウル型になっている。
波に揺られて中に水が入れば・・・・後から後からと海水がその中に流れ込んでいく。
クルーたちが見つめるなか、その卵はゆっくりと海に沈んで行った。
ナミはショックのあまりへたりこんでいたが、
その隣でゾロは、メリー号が海中にひっぱられないように、卵をくくりつけていたロープを全て斬った。
「ゾロ! 何してんのよ!!」
「何って、船ごと沈んでも困るだろ」
「じゃなくて黄金をひっぱりあげなさいよ!!」
「もう手遅れだ。あー、完璧沈んだ」
「あ〜〜〜〜・・・・!!」
ナミはフラフラとキッチンに向かい、テーブルにうつ伏せてシクシクと泣き濡れる。
頑張ったわりには稼ぎが少ない。
麦わら海賊団にはよくある話だが、さすがに目の前で黄金が沈んでしまってはショックも大きいようだった。
クルーたちはナミの様子に苦笑しつつ、
メリーの船尾から空しく揺れる、ロープの切れ端をただ見つめるのだった。
夜になり、ゾロは交替のために見張り台に上がる。
前の見張り番はナミだった。
ゾロがひょいっと手すりを越えて着地すると、
いまだショックの抜けきらぬナミが、膝を抱えて座り込みじっとりとした目で振り返る。
「諦めの悪ぃヤツだな」
「お宝はいくらあってもいいじゃない!」
「第一あの状態のままで運ぶってのが間違いだろ」
「え?」
ゾロはナミの隣に腰を下ろし、持ってきた酒をあおった。
「あの形であのデカさだぜ? 水が入ってきたら一気に沈むに決まってんじゃねぇか」
「・・・・・急いでたんだからしょうがないじゃない」
「適当な大きさに斬って甲板に乗せてりゃよかったんだ」
ナミは今気付いた、とばかりに目を見開いて、
ゾロの首を掴んでガクガクと揺さぶる。
「・・・・・早く言ってよ!」
「お前が何も言わねぇんで・・・首締めるな!」
「斬るのはあんたの担当でしょ!? 言われなくても考えて行動しなさいよ!」
「知るか! あの形にこだわってると思ったから・・・」
「・・・確かに、『金の冠』の形だもんね・・・あのままの方が価値はありそうなのよ・・・」
「どうせ斬ったら斬ったで文句言ってただろ、お前」
「・・・・」
おそらくそうだろうな、と自分でも思ったので、
ナミは言い返さずにゾロから酒瓶を奪い取ってあおった。
「ま、なかなか面白ぇ島だったじゃねぇか」
「・・・・でもジェットコースターはもうイイわ」
「そうか? 結構楽しかったがな、早くて」
「・・・・あんたは途中で降りたくせに!」
ナミはそのときのことを思い出したのか、キッとゾロを睨む。
ゾロは汗をかきつつ、目を逸らした。
「・・・・だから・・・しょうがねぇだろ、あの場合は」
「あんなトコで飛び降りるなんて」
「何だ、心配したか?」
「雑魚キャラ相手に心配するわけないでしょ」
ナミは空になった瓶をゾロに突き返し、ぷぅと頬を膨らませる。
ゾロは逆さにしても1滴たりととも落ちてこない酒瓶を哀しげに見上げて、床に置いた。
「せっかく2人きりになれたのに、さっさと消えちゃうなんて」
「ソコかよ」
「何よ、バカ」
再び膝を抱え込むナミの頭を、ゾロはポンポン叩く。
「今2人きりなんだから別にイイだろ」
「・・・・・」
ゾロが肩を抱き寄せると、ナミは大人しくゾロにもたれかかる。
「・・・・ねぇゾロ、お願いがあるんだけど」
「何だ」
「・・・潜って、金の冠サルベージしてきてv」
「・・・・・・・・・お前ってヤツぁ・・・・」
「だって私のヘソクリーーー!」
再び思い出し泣きを始めたナミを、ゾロは苦笑しながらも慰めてやった。
2006/08/01 UP
『【カラクリ城のメカ巨兵】ネタでゾロナミ』
6/9にリクくれた華澄さん、遅くなりましたが・・・。
このへんでmarikoの限界が来ました(早っ!)
ヤマなしオチなし・・・・・。
とりあえずゾロナミシーンは何度も見ました(笑)。
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