縁。
「おねーちゃん、あんたオトコはいんのかい」
「・・・いたら何?」
トンジットの旅支度を手伝いながら、青キジはナミに近づき声をかけた。
海軍本部大将という肩書きを持つわりには、どうも抜けた感じのするその男は、
衣服を籠に詰めるナミの傍にしゃがみこみ、ジロジロとその顔を覗き込む。
ナミはさりげなく距離を取り、青キジの方を向きもせず手を動かす。
「ロロノア・ゾロだろ?」
「・・・・どうして解るの?」
「さっきからすごい目で睨んでくるんでね、誰だって気付くだろうよ」
ナミが後ろを振り返ると、巨大なテントを軽々と畳んでいるゾロと目があった。
不機嫌丸出しの顔で、睨んでいた。
「・・・・確かに、ね」
ナミは苦笑して、蓋を閉じた籠を抱えあげる。
青キジは立ち上がり、その籠をひょいっとナミから奪った。
そのまま台車に持っていく。
「ありがと」
「どーいたしまして」
ナミも小さめの籠を抱えて、青キジの隣を歩く。
「あんた、かなり好みなんだがねぇ」
「ふーん」
「勝気そうな顔で目がデカくて、出るトコ出てて締まるトコ締まってて、
足首なんか、こう・・・きゅーっと・・・」
「足首?」
「あぁいや、気になさらんな」
台車に籠を積みながら、ナミはのんびりと歩く青キジを観察した。
海軍本部大将。
先程自分たちの前で見せただらけた姿は、当然仮の姿なのだろう。
何のために自分たちの前に現れたのか。
さっきはロビンの消息確認だけだと言っていたが、油断はできない。
どちらにしろ『海軍』なのだから。
それにロビンのあの動揺・・・。
「ねぇ、青キジさん」
「何だい」
「本当に、何もしないわよね?」
「おれァ散歩の途中さ」
「・・・・・・ロビンにも、何もしないわよね?」
「・・・・」
「・・・・ちょっと、答えなさいよ」
「おねーちゃんが今夜付き合ってくれたら答えようかね」
「冗談言わないで」
ナミの腰にまわされそうになった青キジの手をバシンと叩く。
青キジはその手を大袈裟に扇ぎながら、ちらりと背後を振り返る。
やはりゾロが殺気を含んだ目で、2人を睨んでいた。
「若いねぇ、あんたの彼氏は」
「おじさんとは違うから」
「あららら、言ってくれる」
にこりと笑ったナミの言葉に、青キジは苦笑してペシンと自分の額を叩く。
「おねーちゃん、本気でおれとどうよ? おれのほうがロロノアより強いぜ?」
「そうねぇ・・・」
「地位も権力もある」
「ふふ、でもおあいにくさま」
「あららら、それでもダメかい」
青キジは肩をすくめる。
ナミは楽しそうに笑った。
「私、お金は大好きだけど、地位も権力も興味はないの」
「・・・ふぅん、それは残念」
籠を積み終えたナミは、台車から離れていく。
途中でふと立ち止まり向きを変えて、青キジにびしっと指を突きつける。
「ロビンや私たちに何かしたら、タダじゃすまさないからね?」
「・・・・海軍大将に向かってなかなか生意気な口聞くじゃないの、おねーちゃん」
「当然よ。 だって私、海賊だもん!」
にかっと笑って、ナミはゾロの所に駆けていった。
青キジは頭をボリボリかきながら、その背中を見送る。
まわりを見渡すと、小物を片付けていたロビンと目が合う。
ロビンは一瞬体を強張らせ、すぐに青キジから視線を外した。
その様子に、小さく息を吐く。
ふと気付くと、ゾロだけではなく今度はナミもこちらを睨んでいた。
どうやらロビンを見ていたことに気付かれたらしい。
青キジは無言で肩をすくめて、両手を上にあげる。
ゾロは相変わらずの凶悪面だか、ナミの方は苦笑して視線を外した。
海賊にしておくには勿体無い、イイ女だ。
しみじみ思って、コキコキと首を鳴らす。
けど、悪ぃなねーちゃん。
自分のケツは自分で拭かなきゃなんねぇのよ。
青キジは呟いて、またひとつ、小さな息を吐いた。
2006/07/25 UP
『原作・ナミ←青キジ(ゾロナミベース)』
6/9にリクくれたReeさん、これじゃダメ・・・・?
書きながら気付く。
・・・・私、青キジ→ロビン派だった!!(笑)
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