柱。
ナミとゾロは、2人である島のバーに来ていた。
この日の午前中に島に着いた麦わらの一味は、
翌日の朝までは自由行動で、ゾロとナミは一緒に町に出た。
港の近くのバーに入り、カウンターに座り2人はいつものように酒を飲む。
2人が店に入ってきた瞬間から、その様子を店内にいた1人の男が睨むように見てきたことに、
ゾロは気づいていたが無視していた。
だがしばらくしてその男がテーブルから立ち上がり、ナミの傍にズンズンと近づいてくると、
ゾロはその男にチラリと視線を向ける。
ナミもそれに気付き、男の方に顔を向ける。
「よぉナミ、久しぶりだなぁ」
海賊らしき風体のその男は、ゾロではなくナミに声をかけた。
ゾロは無言のまま横目で見る。
「懐かしいな、元気だったか? また美人になったなぁお前」
「・・・・・」
男はカウンターに片肘をつき、ナミの顔を覗き込む。
「なぁナミ、おれンとこ戻ってこいよ。 昔のことは水に流してやるぜ」
「・・・・・」
馴れ馴れしく顔を近づけてくる男に冷たい視線を送ったあと、ナミはグラスの酒を飲む。
「おいおい、ツレねぇなぁ。おれとお前の仲じゃねぇか・・・」
「・・・・・」
男はニヤニヤと笑いながらナミに話しかけるが、ナミは一向に返事をする気配はない。
苛ついた男は、派手な音を立ててカウンターを叩いた。
その音に一瞬店内の客の目がナミたちに向けられるが、すぐにそれは外され元通りの騒がしいバーに戻る。
「まさか忘れたとは言わさねぇぞ、この女狐が!!!!」
「悪いけど、いちいちあんたみたいなヤツの顔なんて覚えてないわ」
「何だとてめぇ!!」
酔っているらしい男はナミの肩に手を伸ばそうとするが、その手をゾロが掴んだ。
ぎゃ、と呻いて男はすぐに離れた。
男は赤くなった手首をさすりながら、ゾロの顔をジロリと睨む。
「・・・・・あんた、まさか・・・『海賊狩りのゾロ』か?」
「だったらどうした」
「・・・・そうか、そいつがお前の新しい男か」
「だったら何?」
「ロロノア・ゾロは今海賊だって聞いたが・・・・へぇ、今度はそいつらの船を狙ってんのか、ナミ」
ナミを睨んでいた男は、口端を歪めてゾロに向かって声を上げる。
「ロロノア、気をつけろよ! この女は泥棒だ。
コイツはどうせあんたを利用するだけ利用して、お宝持ってトンズラするぜ!」
「へぇ」
「・・・・・・・けっ、海賊狩りも落ちたモンだな・・・こんな女に引っかかるなんざ」
相変わらず男のことを相手にしていないゾロに、男は悔し紛れのセリフを吐く。
次の瞬間、ナミは立ち上がりその男の頭からグラスの酒を浴びせかけた。
「私に文句があるなら、女々しいひがみ根性丸出しのセリフじゃなくて行動に移したら?」
「・・・・てめぇ・・・・っ!!」
男が拳を握った瞬間、無言のままのゾロがゆっくり立ち上がる。
男はそれを見て、ひっと小さく呻いて後ずさる。
「か、海賊狩りに守ってもらって、大層なご身分だなナミ! 泥棒女のくせに!!」
「へらず口叩いてないで、さっさと来なさいよ」
ビビりながらも相変わらず口だけは動かす男の前で、ナミは手馴れた動きで棍を組み立てた。
「ナミ」
「大丈夫よゾロ、こんな雑魚に負けると思う?」
「・・・思わねぇな」
「まぁ見ててよ」
ナミは振り返り、ゾロに向かってニッと笑って見せた。
それを見てゾロも苦笑し、また椅子に腰を落とした。
「・・・・あとで泣いて謝ったって知らねぇぞ・・・・」
「そういうセリフって弱い奴が言うわよね、とことんベタな男なのねあんた」
「くそ・・・・っ!!」
額に血管を浮かべて、男は腰から短剣を抜きナミに突進した――――。
「おぉ・・・・」
「やるなぁ、オレンジの姉ちゃん!」
「だらしねぇ野郎だな、女一人に!! しっかりしろよてめぇ!!」
周りで見ていた客たちがそれぞれ騒ぎ立て、
ナミと、その前で地面に伸びている男を眺めている。
ゾロもナミの後ろで、グラスを傾けながらその様子を満足気に見ていた。
ぐ・・・、と男は呻く。
ナミは男を見下ろしたまま、棍の先をその顎に当て顔を上げさせる。
「私は今は泥棒じゃないの、海賊よ」
「・・・・」
「いいこと、それに私はゾロに守ってもらってるんじゃないわ」
「・・・・」
「私がゾロを生かしてあげてんのよ」
ナミは棍を戻してクルリと向きを変え、カウンターのゾロの横に戻った。
ゾロからグラスを奪い取って、一気に酒をあおった。
「どういう意味だよ」
「私がいないと、あんた生きてけないでしょ?」
「・・・・・・・ははっ!」
当然、といったように微笑むナミに、ゾロは思わず声を出して笑った。
立ち上がり、いまだ床に這いつくばっている男に近づく。
男がギクリと体を竦ませて、じたばたと体を起こしゾロから逃げようとするが、
ナミの攻撃を受けた体は思うように動かず、床の上で暴れるだけに終わった。
「コイツの言うとおりだぜ」
刀を抜くわけではなく、呑気な声を出したゾロを男はきょとんと見つめる。
「おれはコイツがいねぇと生きていけねぇ」
男も、3人を囲んでいた客たちもそれを聞いてポカンと口が開きっぱなしになる。
ナミは満足気に微笑んで、ゾロの隣に移動した。
「私の乗ってる船は、高額賞金首が3人いるわ。
私が欲しかったら、せめて6000万ベリーの男になりなさい。まぁそれでも足りないけどね?」
そう言って、唖然としたままの男たちを残してナミとゾロはバーを出た。
「おい、せめてって何だよ」
「いいじゃない別に、どうせあんたもまだ額上がるでしょ」
「・・・てめ、懸賞金を株か何かと勘違いしてねぇか?」
「まぁ最終手段ではあるわね」
「売る気か!!」
2006/07/16 UP
『男前なナミ、ゾロナミで』
6/6にリクくれた方、ナミさんのかっこよさは私の文章では表すことができませんでした(哀)。
ごめん、ごめんよナミさん!!!
私が不甲斐無いばっかりに!!
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