抗。
2人が一緒に居るのを見ると、体がおかしくなる。
胸の中をぐしゃぐしゃにかき回されるみたいに。
気分が、悪い。
「おいゾロ、ちょっと味見してくんねぇか」
キッチンに水を飲みに来たゾロに、サンジは鍋の中のスープをかき混ぜながらそう声をかけた。
ゾロはコップの水を飲み干して、鍋の前の近づく。
「おれぁ料理なんて分かんねぇぞ」
「あぁ、別に批評してくれってわけじゃねぇから。
ルフィなんざにさせたら味見じゃ終わらねぇし、ウソップとチョッパーは妙なモノ足そうとすんだよ。
女性陣にゃ途中段階の料理の味見なんて頼めねぇ!!! ・・・てことでお前だ」
「消去法か」
「まぁそうだ。たまには第3者の意見が聞きたくてな・・・」
ゾロはサンジからスープの入った小皿を受け取り、それを飲んだ。
「いいんじゃね」
「塩が足りねぇかな?」
「別に、こんなモンじゃねぇの。旨いぜ」
「・・・・へへ、そうか」
ゾロの言葉を聞いて、サンジは嬉しそうに笑った。
小皿をサンジに返しながら、ゾロは鍋を覗き込む。
「腹減ってくんな、見てたら」
「もう少し待て。 ・・・・早く食いてぇなら、ちょっと手伝えよ?」
「何を」
「あーー・・・・野菜切るとか、皿洗うとか」
「ふーん・・・・まぁそんくらいなら、手伝ってやってもいいぜ」
ゾロが素直に申し出たので、サンジは慌ててキッチンを見渡す。
「あ、じゃ、じゃあ、あそこのキャベツ刻んどいてくれよ」
「わかった・・・その前に、もう一口くれ」
「ん? あぁ、これか」
腹を空かせた子供のように強請ってきたゾロに苦笑して、サンジはまたゾロに小皿を渡してやる。
「やっぱうめぇな」
「当たり前だ」
「コックやってるヤツってのは、女だったら皆いい嫁さんになるだろうな」
「・・・・・・」
ゾロの何気ない一言に、サンジは思わず動揺する。
だがゾロはそれには気付かず、テーブルの上のキャベツを取りに行く。
2,3個のキャベツを抱えて隣に戻ってきたゾロに、包丁を渡しながらサンジが話しかけようとした瞬間。
キッチンの扉が勢いよく開け放たれた。
「ゾロ」
「・・・・ナミさん」
「何してるの、ゾロ?」
「手伝い」
「ふぅん、珍しいのね」
そう言ってナミはサンジに目をやる。
サンジはどこか戸惑ったようすで、ナミを見返す。
目が合ったのは一瞬、ナミはすぐにサンジから視線を外し、ゾロに向かって話しかける。
「ねぇ、部屋の掃除したいんだけど、重くて棚が動かないの」
「あぁ? 何で今頃ンな掃除なんて・・・」
「そんな気分なの。手伝ってよゾロ」
「・・・・・」
ゾロは包丁とキャベツを持ったまま、ちらりとサンジを見る。
一瞬の間を置いて、慌ててサンジは笑った。
「それはもういいから行け、ナミさんのお願いだぞ! 断るなんて許さねぇ!」
「・・・・分かった、悪ぃな」
そう言ってゾロはサンジに包丁を戻す。
「先行ってて。私、手洗っていくから」
「あぁ」
ゾロが出て行き、キッチンにはサンジとナミが残される。
「・・・・・・」
「サンジくん、私のこと今キライでしょ」
「そ、そんなこと天地がひっくりかえってもありえませんよ!!」
「うそつき。よくも邪魔してくれたなーって顔してるわ」
「・・・・・・そんなことは・・・・」
ナミはサンジの隣に歩いていき、手を洗う。
水を止めたナミに、サンジはさっとタオルを差し出す。
ナミはそれを受け取って手を拭き、にっこりと微笑みながらサンジに返した。
「言っとくけど、サンジくんには負けないからね」
「・・・・・」
「・・・ゾロは、渡さないわよ?」
「・・・何言ってるか分からないよ、ナミさん」
「・・・・・・うそつきね、サンジくん」
そう言い残して、ナミは出て行った。
静かになったキッチンで、
テーブルに置かれたゾロが使った小皿を、サンジはぎゅっと握り締めた。
「おい、どれを動かすんだ?」
「あ、いいの。ただの口実だから」
「口実?」
女部屋に先に戻っていたゾロは部屋の中央に突っ立って、扉から下りてきたナミに声をかける。
ナミはヒラヒラと手を振りながらゾロの傍に立つ。
「ゾロからサンジくんを引き剥がす、口実」
「・・・・・・何だよそりゃ・・・・」
「ゾロも気付いてるんでしょ、サンジくんの気持ち・・・」
「・・・・・何のことだか」
ナミはゾロの隣で、その服の端をぎゅっと握った。
「・・・・二人とも、揃ってうそつきなんだから・・・・」
俯くナミの頭を、ゾロがガシガシとかき混ぜる。
ナミは促されるようにゾロに抱きついた。
「・・・・・サンジくんなんかに、負けないんだから・・・・」
「ナミ」
「・・・・・」
「女だろうが男だろうが、お前に勝てるヤツはいねぇよ」
「・・・・本当に・・・?」
「あぁ・・・・だから泣くなよ」
ならどうか不安にさせないで。
私だけを見て。
この腕で、私だけを抱いていて。
みっともない我儘。
情けない嫉妬。
どうやっても拭い去ることのできない、賎しい感情。
いつか『これ』が、消える日は来るのでしょうか。
2006/07/15 UP
『ゾロナミでサンジに嫉妬ナミ、最後は甘めに』
6/5にリクくれた柳さん、最後・・・・甘くない・・・・っ!!!!
イタイ・・・っ!!??
しまった!!(笑)
最初と最後の語り(?)は、果たして誰でしょー?
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