鎹。
『大体あんたはいっつも寝てばっかりで! 少しは船のために動きなさいよ!』
『敵襲でもありゃ動いてやるさ!!』
『そうじゃなくて、甲板掃除とかすることいっぱいあるでしょ!?』
『んなかったりぃ事やってられっか!! おれは今昼寝がしてぇんだよ!!』
「まーた始まった・・・・」
「本当、夫婦みたいだなぁあいつら・・・」
ミカン畑から聞こえてくる男女の怒鳴り声に、ウソップとルフィは揃って溜息を漏らした。
手すりに胡座をかいて釣り糸を垂らす2人は、触らぬ神に祟りなし、とばかりに喧騒が収まるのを待つ。
「・・・・・・今日の喧嘩は長ぇなー」
「明日上陸なのによぉ、ナミの機嫌悪いままだったら小遣い減らされちまうぜ」
「まずぃなそりゃ! 肉が食えねぇ!!」
顔をしかめる2人は、釣りをする手を休めキョロキョロと周りを見渡す。
そこへ、ちょうど倉庫から何やら薬品の入っているらしい瓶を抱えたチョッパーが出てきた。
「お、いたいたチョッパー!」
「なんだ? ケガか?」
呼ばれたチョッパーはトコトコと2人の傍に駆け寄ってくる。
「いや違う、あいつらまた喧嘩してんだ」
「あいつら? ゾロとサンジか? それともナミか?」
「後者」
「あー・・・・・・」
ルフィとウソップが小声で言うと、チョッパーの耳にもナミの怒鳴り声が届いたらしく、苦笑した。
「今回のは長いぞ」
「本当にあの2人はもぉーーーー」
チョッパーは壁際にコトンと薬瓶を置いて、急いでミカン畑に走って行く。
ルフィたちはそれを頼もしげに見送った。
それから1分もせずして、ミカン畑は静かになった。
「・・・・お、止まったな」
「さすがチョッパー!」
「知ってるかルフィ、ああいうのを『子はかすがい』lって言うんだぜ」
穏やかになった船尾に安心して、2人はまた釣り糸を垂らす。
「かすがい?」
「まぁ、宝って事だ」
「何かよく分かんねぇけど、ナミが喜びそうな言葉だな」
「でもナミには言うなよ、殴られんぞ」
「そうか、じゃあやめとく」
今頃ミカン畑では、チョッパーを挟んで2人は仲直りしているはずだ。
メリー号で繰り広げられる擬似親子関係に、
ウソップは頬を緩めつつ、今日の夕食をゲットするために釣り糸を垂らすのであった。
きっと夕食時には、3人揃ってキッチンに現れるのだろう、と思いつつ。
2006/07/08 UP
『ゾロナミチョパ親子』
6/2にリクくれた東さん、メインの2人が全然出てきませんが、
ゾロチョパナミ親子だと言い張ります!(笑)
【かすがい】と読みます。
へぇーーー(笑)。
あ、サンジくんが出てこなかったなぁ・・・。
そして短い・・・・うぅむ・・・・。
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