告。










 「別れよう」


そう言って、ナミはぎこちなく笑った。










 「何で」

 「そのほうが、2人のためだと思わない?」

 「それはお前の勝手な言い分だ」

 「思ってるくせに」





意図せず開いた2人の距離に、気付いていなかったわけではない。
でもそれは、そのうち埋められるものだと思っていた。
2人で共に過ごした過去の時間が、その隙間を補ってくれるものだと。





 「他に好きなヤツでもできたか」

 「違うわ」

 「サンジか」

 「違うって言ってるでしょ」





親友との間に不要な嫉妬を抱いた時期がなかったわけではない。
それが長年の友情に小さなひびを入れてしまったこともあったが、それも過ぎた話。
でも、思えばその頃からおれたちは少しずつ離れ始めていたのかもしれない。





 「最後まで信用なかったわね」

 「・・・・・・」

 「あんたは強い男よ」

 「・・・どういう意味だ?」

 「他の人間も、自分みたいに強いと思ってるの?」





自分の勝手な感情を押し付けて、相手を理解しようとしていなかった?
衝動の裏の真実を、相手が気付いてくれるものだと決め込んでいた?





 「考え直せよ」

 「考えたわ、何度も」

 「・・・・・・」

 「あんたに何度もチャンスもあげた」

 「・・・・・・」





ナミはいつも『言葉』を求めていた。
それでも口数少ないおれの気持ちを、
きっと理解してくれているのだろうと勝手におれが思っていたのだろうか。
おれはナミのことを理解したように勘違いしていたのだろうか。





 「そうね・・・もしかしたら、あんたが悪いんじゃないのかもしれない」

 「・・・・どういう・・・・」

 「私が・・・弱かっただけなのかも」

 「・・・・・・」

 「でも・・・どっちにしろ、もうムリなのよ」

 「・・・・ナミ・・・」

 「さよなら、ゾロ」

 「・・・・・・」





そう言って最後に微笑んだナミに、おれは何も言えなかった。
こんなときでさえ、おれは何も。

そんなおれの様子をしばらく見ていたナミだったが、やがて去って行った。



胸の中の暖かな光が、失われようとしている。
それなのにおれは何をしている?
ただこのままじっとしているのか。
それとも情けなく追いすがるのか。
どうすればいいのか分からない。


ただ一つ言えるのは、ナミがずっとおれに求めていたものを、おれは与えなければいけないということ。
そしてそれは今この瞬間を逃したら、おそらく永遠に伝えることはできないだろう。



伝わっていると思っていた。
伝えられていると思っていた。



このまま眠らせることなどできない、かと言って簡単に言葉にできるほど軽いものではない。


だがナミはそれを求めていたのだ。

ずっと。






人はおれをみっともないと笑うだろうか。
それでも今伝えなければ、おれはあいつを永遠に失ってしまう。


そう時間はかからない。
まだ間に合う。


たった一言なのだから。










 「・・・・・・ナミ!!!!」










おれはお前を――――。








2006/07/04 UP

『ゾロがフラれる話』
6/1にリクくれた瀬袂さん、こんな感じで!
でも一応最後にちょこっと希望をもたせてみました(笑)。

・・・・・ぎゃーーー!!!!
自分で書いてて恥ずかしぃーーーーっっ!!!(逃)
こんなラスト耐えられないぃーー!!どんな羞恥プレイよ!!!

前作サウダージ『深。』のゾロ編のようですが、違いますよ。
別物としてお考えください。
こっちはmariko的には現代パラレルゾロナミです。

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