襲。



夜のキッチンに、皿のぶつかる音と、水の音が響く。
サンジは夕食後の皿洗いをしていた。
一人のこの時間が、サンジは結構気に入っている。
ただ、あと少ししたら・・・・・・・、
・・・・恨めしいことに、ヤツが来る。






 「酒くれ」




トレーニングを終えてキッチンに入ってきたゾロは、
開口一番そう言った。

 「てめ、昼間勝手に取ったから抜き」
 「あぁ?」
 「水で充分だ。水飲め、水」
 「ちっ」

喉が渇いてたのか、ゾロも素直(?)にコップを取って
皿を洗っているサンジの隣へと来た。



 「汗臭ぇな」
 「うるせ」


皿を洗う横からコップを突き出して、蛇口から水を取る。


 「邪魔」
 「水飲めっつったのてめぇだろ」


ゾロは1杯目を一気に飲み干し、再び水を取る。



 「風呂入れよ、男部屋がこれ以上臭くなったらシャレなんねぇ」
 「てめぇに言われなくても入る」



2杯目を飲み干したゾロは、
コップをシンクの中へ泡々の皿と一緒に入れる。
サンジはすぐにそれにも泡をつけて洗い、水で流す。



 「突っ立ってんなら、皿拭け」
 「何でおれが」
 「勝手に酒呑んだくせに手伝いの一つもしないのかこの甲斐性無しめ」
 「・・・・・・」


皿洗いは第2陣だったらしく、その量は大して無い。
ゾロももう無駄に言い争いをして体力消耗したくなかったので、
ここは素直に手伝うことにした。
サンジが皿を泡立て、水で流し、ゾロがそれを受け取ってタオルで拭く。




 「くそ、ナミさんも何でこんな汗だくマリモがいいんだか」
 「・・・・・・・・・おれはお前みてぇな変態じゃねぇからな」
 「あぁ!?何でおれが変態なん・・・・・・・・・」







そーいや昼間、腹が立ったんでゾロに仕返ししようとして
コイツにキスしようみたいな事を言ったような言わなかったような・・・・。
いや、言ったな。
確実に言ったな・・・・・。






 「・・・・・・あれは冗談だぞ?」
 「ナミに相手にされないもんで男に走ったかと」



馬鹿にするような言い方をされて、
再びサンジはムカムカしてきた。
皿を洗う手が止まる。







 「・・・おれのキスを待ってるレディは世界中に溢れてんだよ」
 「言っとけ」
 「そのおれにそんな言い草とはなぁ・・・・・」
 「・・・・・おい・・、何か目がすわってんぞ・・・・?」





ゾロはタオルを持ったまま思わず後ずさりをする。






  こうなったらマジでヤってやる・・・・・・

  屈辱感に打ちひしがれるがいいさ!!!!









普段のサンジなら、男にキスしようなんて微塵も思わないだろう。
でも今は、昼間ナミに触れたこととか
下ごしらえしといた明日の朝食が船長と狙撃手に盗まれたこととか
(追いかけて半殺しにしたが)
あと日頃の鬱憤とか。
そういったものが頭の中で混ざりに混ざって
軽く脳内パニックになっていた。






おかげで今、「ゾロを襲う」という有り得ない状況に陥っている。







 「何血迷ってやがる!!」
 「オラァ!!いいから大人しくしろ!!痛くしねぇから!!」
 「痛くって何だよ!!アホかお前!?」




端から見れば単なる取っ組み合いの喧嘩に見えなくも無い。






が、実際はサンジがゾロを襲っている。








そしてとうとう、サンジはゾロを床に押し倒すことに成功した。




恐らくゾロもパニクっているのだろう。
こんなに簡単に押し倒されることは有り得ない。








目一杯の力でゾロを床に押し付けるサンジ。




 「さーーー、観念しろクソマリモ・・・・・・」







ゾロの腹の上に馬乗りになって、両手で動きを封じ、
ゆっくりと顔を近づける。


 「ちょっ、マジでやめろ!おい!!」







その距離、あと3cm。









 「サンジーーー、ちょっとコショウ分けてく・・・・・・・・・・・・・」











そのままの姿勢で固まるサンジとゾロ、そしてウソップ。










 「・・・・・・・・」
 「・・・・・・・・」
 「・・・・・・・・・・・・・・邪、魔、した、な」






ガチャンガチャン、と機械のような動きで
回れ右をしてキッチンから出て行くウソップ。



 「まっっ待て!!勘違いするな!!ていうか助けろ!!!」
 「へっ、これでてめぇはホモ野郎だ」


サンジは大して慌てもせず、ゾロの上に乗ったままニヤニヤしている。


 「ホモ野郎はてめぇだろ!!」
 「おれは別に気にしないぜぇーー?」

 「ナミにバレてもか?」
 「・・・・・・・・・・・」







 「待て長っ鼻ぁーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
 「がぁっ!!!」




ゾロの腹を蹴り飛ばしてキッチンから飛び出していくサンジ。
キッチンの床には、腹を押さえて悶えるゾロが残される。







 「あら、ゾロどうしたの?」
 「・・・・・ギリ、セーフ・・・」
 「??、・・・・・何かあっちで断末魔の悲鳴が・・・・・」
 「・・・・・気にするな・・・」
 「そうね」


頬。の続き。一応。
サンジくんとゾロ、2人の時は普通に話してればいいのに、と思う。
あぁサンゾロにしてしまいたい(笑)。
哀れウソップ、生きて還ってこい!!

2005/01/24

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