47777ゲッター、カノコさまに愛をこめて。

渡。










 (バレンタインか・・・・・・)








バレンタインバレンタインバレンタインバレンタインバレンタインバリンタン・・・・ん?











脳内で反芻しすぎておかしなことになってきた。





今日は2月14日。
世界が甘く香るとき。

















 「ナミさんはどんなのあげるの? もうあげた?」

 「へぁ!?」



変な声を出してしまった。
前の席のビビが横座りでこっちに顔を向けて、にこにこと微笑んでいる。



 「どどどどんなのって? 何が?」

 「チョコよ、チョコ。やっぱり手作り?」

 「・・・・ていうか、誰にあげるのよ私」

 「それはもちろん、Mr.ブシドーでしょ?」

 「・・・・・ななななんでゾロに!?」



思いのほか大きな声が出てしまい、慌てて口を手で塞ぐ。
ビビはきょとんとした顔をしていた。



 「え? だって、付き合ってるんでしょ?」

 「・・・・・・・はぁ!? 何でよ!!」

 「えぇ!? だってだって、クリスマスも2人で一緒に居たんでしょ!?」




何でそんなこと知ってんのよ、ビビ。
話したっけ?




 「それはっ、みんな彼氏彼女持ちで誘うに誘えなかっただけで、
  別に最初から2人きりで遊ぶつもりじゃ・・・・・」

 「えー、じゃあ付き合ってないの?」

 「・・・・・・・付き合ってないわよっ!」



吐き捨てるような私の言葉に、ビビは心から残念そうな顔をした。



 「なぁーんだ・・・じゃあ、あげないの? Mr.ブシドーに」

 「・・・・・あげないわよ! 誰にも!!」

 「ふぅん」



つまんない、と呟いたビビに顔を寄せて小声で尋ねる。



 「人のことより、ビビはルフィにどんなのあげるのよ」

 「え?私?私は・・・・だってルフィさん、質より量だから・・・・」

 「あぁ、そうね・・・・」



同じクラスのルフィとビビは、高校に入ってからすぐに付き合い始めた。
ビビみたいなお嬢様タイプがどうしてルフィと付き合うのか、
当初はみなが疑問だったが、実際はビビも結構豪快な性格だったため、
今ではすっかりお似合いカップルとして公認されている。



 「だから、トリュフとかたっっくさん作ってきたの!!
  さっきあげたら美味しいって言って、すぐに食べ始めちゃって」



相変わらずルフィの話をし始めると、頬を染めて心底嬉しそうな顔をする。
彼氏が同じクラスだっていうのに、何でこうも堂々と惚気られるのかしら。
さすがだわ、ビビ。



 「そりゃあ、あんたの愛がこれでもか!!ってくらい詰まってんだから、さぞかし美味しいでしょうねー?」

 「茶化さないでよ、ナミさん!」






親友にウソをついた。

チョコなら、ガッチリ用意している。
しかも、手作りだ。

あげる相手は・・・・・ビビ、ご名答よ。相手はロロノア・ゾロ。



ゾロとは付き合ってはいない。
・・・・・いない。

だって別に、好きだとか言われてないし。
言ってないし。
確かによく一緒に帰ったり日曜に映画見に行ったり、休み時間に話したりはするけども。

そりゃあね、好きかと聞かれたら別に嫌いじゃないっていうか、
付き合おうって言われたら別に断る理由もないかなっていうか。

とにかく、まだ付き合っては無い。



鞄の中に眠るこのチョコは、あくまでも義理ってことで。
手作りの義理チョコだってよくあるでしょ?
うん、そういう顔して渡せば全然平気。

・・・・・平気のはず。

それなのに、気付けばもう午後の授業も終りかけ。
やばい、学校終わっちゃう。
私らしくない、何やってるのよ。
お返しは3倍返しね!って笑って渡せばいいだけなのに。
だって、だって。
いきなり深読みされちゃったりしたらアレだし。
かと言って素直に義理と受け取られても腹立つし。

あーーーー、もう。
何なのよ、バレンタインって。




















クラスの女子や野郎どもが、朝からどうも浮かれてやがる。
今日はバレンタインだとか。

サンジの奴は、社会人の彼女とディナーに行くと朝からヘラヘラしっぱなしで、
ルフィは朝イチでビビから大量のチョコを貰って、さっきから嬉しそうに食ってやがる。


バレンタイン、ね。


何がそんなに楽しいんだか。
おれは大して甘いものは好きじゃないし、
大半の男どもみたいに、数が欲しいとも思わない。

・・・チョコなんざ、1個もらえりゃ充分だろ?



おれがぼんやりとルフィのチョコを眺めていたら、『いるか?』と嫌そうに聞かれた(なら聞くなよ)。
即座にいらねぇと答える。
お前のおこぼれなんか誰がいるか。


それに・・・・・もらうアテなら、無いこともない。
何となくだが。
くれるような、気がする。
・・・・いや、くれるだろ。
そりゃ、確かにあいつとは正式に付き合ってるわけじゃないが、
でもまぁ、似たようなモンだろ。

朝からナミのヤツは何となく挙動不審で、休み時間にこっちにも来やがらねぇ。
なるほど、昼休みか。

・・・・と思ってたらスルーだ。
おいコラ。
放課後になっちまったぞ。



帰り支度をして立ち上がると、ちょうどナミと目が合った。
その瞬間・・・あのヤロウ、一目散に逃げやがった。
何だよソレ。
このままじゃおれは単なる勘違い野郎だ。

ちくしょう、バレンタインなんざ消えちまえ。












ナミとは帰り道が途中まで同じだ。
だからよく2人で帰ったりもするし、暗くなってたら家まで送ることもある。
そのせいでおれたちが付き合っていると思ってるヤツもいるのだが、
別にからかわれる訳でもないので、2人ともそのまま気にせずにいる。


誰と誰が付き合ってるって?
チョコもくれねぇ相手と?


ばかばかしい、と呟きながら帰り道を歩いていると、見覚えのある後姿が目に入る。



オレンジの頭に、それと似た色のマフラー。
ナミだ。
いつ見てもスカート短ぇなオイ。
寒くねぇのか。























放課後、いつもの流れに乗ってゾロと帰るつもりだった。
そのまま途中で、ほいっと渡せばいい話だ。
と思ってたら。
立ち上がった瞬間にゾロと目が合ってしまい、思わず教室から飛び出してしまった。

あぁヤバイ。
何やってるの私。
自分でどんどんチャンスを潰してる。




そのまま帰り道を一人で歩く。
鞄が妙に重いのは気のせいではない。


ゾロはまだ教室にいるのかしら。
もしかして、他の女子からチョコもらったりするのかな。

・・・・・・・何かムカつく。
この私がわざわざ手作りチョコ作ってきたのに、それを食べないで他の女子からのを食べるの?

冗談じゃないわ。




足が止まる。

ラッピングだって、あいつの変な頭の色にわざわざ合わせてあげたのに。
・・・・・変な?
んん・・・、別に嫌いじゃないけどさ。
嫌いっていうか、むしろ。みたいな。





その場に立ち尽くして、しばし考える。

一つももらえないのも可哀想だから私があげるわ?
暇だから作ってみたの?
私が食べたかったからついでにあんたにも作ってあげたのよ?
お返しを期待して手作りしてみたわ?

どれが一番シックリくるかしら。
うーんと唸りながら、とりあえず学校に戻ろうと決意して振り返る。





















何やら急に立ち止まり、ナミはコートのポケットに手を突っ込んで地面を睨むように動かなくなった。
何やってんだあいつ?
そのまま足音を消して近づく。
驚かすつもりがあったわけではないが、何か呟いているようだったので、
まぁちょっとした好奇心だ。

が、ナミは急に顔を上げ、振り返った。

ヤバイ、近すぎた。






















 「きゃあ!!!」

 「っっ!」



振り返っていきなりゾロの姿を発見し、ナミは思わず叫んだ。



 「ななななな何よゾロ!! 何でこんなトコに!!」

 「何でって・・・・家に帰るからに決まってんだろ・・・」

 「じゃなくて、何で真後ろに・・・っ!!」

 「・・・・べ、別に、抜かそうとしただけで・・・・」



ゾロは視線を彷徨わせつつ、何とか答える。
ナミは顔を真っ赤にして俯いてしまった。


まだセリフも何も決めていないのに、こんないきなり遭遇するのはナミには予定外だった。





 「・・・・・・・」

 「・・・・・・・」



何故かお互い向き合ったまま、無言。
ゾロの視線は相変わらずあちらこちらを彷徨っているし、
ナミは真っ赤な顔で地面を睨んでいる。



 「・・・・おい」

 「・・・・何よ」

 「何か用か」

 「・・・っっなななな何で私があんたに用があるのよ」

 「・・・・じゃなんで動かねぇんだよ」

 「・・・・あんたが動かないから・・・」

 「・・・・おれはお前が動かねぇから・・・」

 「・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・」





この沈黙はヤバイ。
キツすぎる。


お互いがそう思いつつも、さらに沈黙が続く。









 「・・・・・・今日って」

 「っっっあーーーそうだ!!」

 「あ?」



ようやく意を決してゾロが口を開いた瞬間、
ナミは慌てて誤魔化すように叫びながら、鞄に手を突っ込んで小さな箱を取り出した。





 「今思い出したんだけど今日は一応世間ではバレンタインだし
  誰にもあげないのはシャクだからだからだからあげるわっっ!!!」



ナミは一息で言い切って、ゾロの胸に乱暴にそれを押し付けた。




 「・・・・他に言い方ねぇのかよ・・・」




ゾロは口調とは裏腹に顔を赤くしている。
何となく恥ずかしくて、ポケットから手を出せないでいた。






 「・・・・・・・・あんたにしかあげないんだから、受け取りなさいよね」

 「・・・・・・・・おう」




ナミが真っ赤な顔でポツリと呟くと、ゾロも小さく返事をして、そっとその箱を受け取った。





 「・・・・義理か?」

 「・・・・・・別に」

 「別にって何だよ」

 「別に・・・・・・・どっちでもいいじゃないの!!!」

 「何で怒るんだよ!!」





47777HITリク!!
あと掲示板の4100も同時に。
ゲッターは『SUPER★NOVA』のカノコさんでした。

リクは、カノコさま宅↑の、10日付けUPイラストのお話。
バレンタイン高校生ゾロナミです。
意地っ張りナミとへたれ気味ゾロ。
裏設定教えてもらって、それを文字にしただけな気がします(爆)。
どうでしょ、どうでしょ。
あのイラストの空気を出せてますでしょうか・・・(ドキドキ)。
甘酸っぱいよ! 青春よ!!(笑)
そんなわけで、カノコさんへ捧げますv

・・・何気に過去拍手の同級生ゾロナミだったりします(こっそり)。

2006/02/12

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