捕。






ゾロとナミがめでたく両思いとなって10日あまり。
船は変わらぬ平穏な時間が流れていた。

一部を除いて。











 「ナミさーんv 3時のおやつのドリンク、何にしますかぁ〜?」

 「んー、そうねぇ・・・」



2階に立って、海図を片手に雲と波の様子を見ていたナミのところに、
サンジがくるくると回りながらキッチンから出て近づいた。



 「甘くて冷たい・・・・」



ナミが答えようとした瞬間、何かにグイと引き寄せられた。







 「!?」








 「何してんだてめぇら」

 「・・・クソマリモ!そっちこそ何してやがる!!」




ナミの背後から片手でその体を抱き寄せて、
ゾロはサンジを正面切ってギロリと睨む。

ナミはというと、ゾロの腕に捕らわれたまま、
頭を抱えて溜息をついた。



 「ゾロ・・・あんたいい加減に・・・」



うんざりと呟くナミを無視して、ゾロはサンジを睨みつけたまま、ナミを離さない。



 「何やってたんだよ2人で」

 「お前なぁ、ドリンクのリクエスト聞いてただけだろが!!」










クルー公認の仲になってから判明した、ゾロの意外な独占欲。

他のクルーがうっかりとナミと2人っきりで仲良く話でもしようものなら、
どこからともなくゾロがやってくる。


別にその相手を殴ったりするわけではないのだが、
自分のモノだと主張するかのように、今のようにナミを抱きしめつつ睨んでくる。


最初はナミもゾロのヤキモチに嬉しいやら恥ずかしいやらで、
いちいち真っ赤になってオタオタしていたのだが、
さすがに連日続くと、いい加減面倒くさいし、正直うっとうしい。











 「ねぇゾロ」

 「何だ」

 「ヤキモチやいてくれるのは嬉しいんだけどね」

 「・・・何だよ」

 「別に、『仲間』と話してるだけなんだから、いちいち飛んでこなくてもいいでしょ?」

 「・・・・・」




夕食前に女部屋のカウンターで酒を飲みながら、
ナミはゾロに切り出した。



 「サンジくんとは食料の話もあるんだし。
  ウソップたちとも、船の進め方とかで話したりするんだから、ね?」

 「・・・・・ウソップたちは、まぁ別にいい」



諭すような口調で話すナミに、
ゾロは憮然とした表情で小さく答えた。



 「・・・・・じゃあ誰がダメなのよ」

 「クソコック」

 「サンジくん?何で?」



その答えを聞いてゾロは呆れたように口を開けて、ナミの顔を見る。
呆れるのはこっちよ、などと思いつつ、ナミはそんなゾロを睨み返す。



 「な、なによ」

 「何でってなぁ、あからさまにアイツ狙ってんじゃねぇか」

 「狙うって、何を?」

 「・・・お前、天然か?」

 「どういう意味よ」



ゾロが溜息つきつつ言うと、
今度はナミはムッとした顔でゾロを睨む。



 「とにかく、あの野郎は要注意なんだよ!」

 「訳分かんないわ。とにかく、あんまりああいうことしないでね!」



ゾロが力を込めてナミに念押ししても、
ナミは全く動じず、ゾロを叱るように言い放った。



 「わかった?」

 「・・・・・・・」

 「私が好きなのはゾロなんだから、心配する必要ないでしょ?」

 「・・・・・・・」

 「返事!!」

 「・・・・おぅ」



ナミにビシッと指を突きつけられ、
ゾロはたじろぎつつ、やはり不満そうに何とか返事だけはした。


 「約束よ!」

 「・・・・おぅ」












 「んナミすわぁ〜〜ん!!夕飯なにがイイ〜?」

 「そうねー、今日はあっさり系がいいかな」

 「肉?魚?」

 「どっちでもいいわ、サンジくんのなら何でも美味しいもん」

 「ナミさん!!おれを喜ばせてどうするおつもりですか!!!」



大袈裟に身悶えるサンジに、ナミはクスクスと笑う。
そんなナミを見て、またサンジも嬉しそうに笑顔になる。



 「貴女のためにこの腕ふるわせていただきます!」



そう言ってサンジはさり気なくナミの肩を抱く。






その瞬間、サンジは背後の殺気に気付いて、さっと身を翻らせた。






サンジが立っていた場所に、ゾロの刀が振り下ろされ、深々と床に突き刺さった。



 「ゾロ・・!!」

 「てっ、てめぇ!!何しやがる!!しかも鬼徹じゃねぇかコラ!!!」



サンジは床から不気味に生えている刀を見て、慌てながら叫んだ。
ナミも今度は青ざめている。
さすがに刀を出してくるとは思っていなかった。



 「死ぬ覚悟はできてるんだろうなぁ・・クソ眉コック・・・」



ゆらりとドス黒いオーラを出しながら、ゾロは低く呟いた。
さすがに手ぬぐいは巻いてはいないが、かなりの本気モードだった。



 「ゾロ!落ち着いてってば!!さっき約束したでしょーー!!」

 「いや、悪ぃが今回は譲れねぇ。コイツぶった斬る!!」



ナミはゾロのシャツを引っぱって必死に止めるが、
ゾロは当然ビクともせず、唸り声でも上げそうな勢いでサンジを睨み続けている。




サンジは正直、ゾロのこの意外な一面を結構楽しんでいた。

ナミにちょっと話しかけただけで、不器用なこの剣豪は必死になって飛んでくる。
最初はナミを奪われて(元々サンジのものでは無いが)、かなりムカっ腹がたっていたのだが、
こうも分かりやすい反応を返してくれると、逆に面白い。

なので(認めたくはないが)負けた腹いせに、サンジは敢えて以前よりもおおっぴらにナミにちょっかいを出していた。

だが、今回はヤバすぎる。
鬼徹は、反則だ。

さすがにサンジも腹が立って、
ナミさんのためを想って身を引いてやったのに、と思いつつ、
ネクタイを緩めながらゾロを睨みつける。





 「上等だ!おれが勝ったらナミさんは頂くぜ!!」

 「てめぇがおれに勝てると思うのかコラ!!」



いつもの調子を取り戻したサンジが、ポケットに手を突っ込んで、片足で軽く床を叩く。
お互いに不敵な笑いをこぼしながら、睨みあう。







 「ナミさんへの愛ならおれの方が断然勝ってるな!!」

 「けっ、ありえねぇな!おれのが上だ!」

 「あぁ!?何だと!?もう一度言ってみろクソマリモの分際で!!」





 「おれの方がナミを愛してる!!!」










 「・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・」

 「・・・・・・・・・・・」











 「・・・・・・・・いや、まぁ、その、なんだ、おれもからかいすぎたな、うん・・」

 「分かりゃいいんだよ!」



拍子抜けしたサンジがあっさりと身を引くと、
ゾロは鼻息荒く鬼徹をしまった。



サンジは、ゾロを直視できなかった。
筋肉バカの剣豪に、こうも堂々と目の前で愛の宣言をされてしまっては調子が崩れる。

ナミの方も、大声で『愛してる』などと言われて、
さすがに真っ赤になって口をパクパクさせていた。

ついでに遠巻きに3人の様子を見ていたルフィとウソップも、
各々頬を染めて、ゾロから目を逸らす。


ゾロは周りのそんな様子に全く気付かないようで、
サンジが退いたことで満足したのか、
いまだ言葉の出せないナミの腕を取って女部屋へと戻って行った。












 「本当どうにかしてくれよあいつ・・・!!」

 「見てるこっちが恥ずかしいなぁ」

 「自分のキャラ考えてくれ・・・っ!!」



何度見ても慣れることのできない『未来の大剣豪』のあの姿に、
サンジ、ルフィ、ウソップはいまだ熱の引かない顔を寄せ合い、半泣き状態で愚痴っていた。



「独占欲の強いゾロとナミ+サンジ」
10/19に拍手でリクくれた方。
うーむ、微妙な・・・腕が足りなくて申し訳ない・・っ!!

ゾロは熱くなると甘い言葉を吐いてくれます(笑)。
言った本人は気付いてませんが。
しょうがないよね、天然タラシだから。

2005/11/15

生誕'05/NOVEL/海賊TOP

日付別一覧

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送