体。







 「ナミ、大丈夫か!?」

 「う・・・・・」






夕食後、女部屋のカウンターでゾロとナミは一緒に酒を飲んでいたのだが、
その最中突然、ナミがテーブルに突っ伏した。



ゾロは慌ててナミの体を抱き起こし、その頬をペチペチと叩く。






 「ナミ!?」

 「・・・・・・ん・・・」




うっすらと目を開いたナミに、ひとまずゾロはほっと息をつく。






 「どうしたんだよ、このくらいで酔うハズねぇし・・・大丈夫か?」

 「・・・おにいちゃん、だれ?」

 「・・・・・・・・・・・・は?」



ナミは、大きな目をさらに大きく見開いて、
じっとゾロの顔を覗き込む。






 「ここ、どこ?」




 「・・・・・・・・・・・チョッパーーーーーーーーー!!!!!」


















 「で、お酒飲んだら、ナミが幼児退行しちゃったの?」

 「あぁ」



ゾロの叫び声を聞いて、クルーたちがキッチンや男部屋から飛び出してくると、
ゾロがナミを抱きかかえ、はーはーと息をきらしていた。
そして一言、ナミがおかしい、とゾロは呟いた。

とりあえずキッチンに皆が揃って、
ゾロはチョッパーに大体のことを話した。
皆が訳分からず頭を抱える中、
当のナミは一人で無邪気に笑っていた。



 「シカだーー!!」

 「おれはトナカイだってば!!」






ナミは、自分の名前以外、この状況は何も分からないようで、
記憶が昔に戻ったというわけでもなかった。
中身は、4歳とか5歳とか、せいぜいそのくらいだろう。
名前以外、何を聞いても『分かんない!』と呑気に答える。

外見は全く変わっていないのだが、なんせ中身が子供だ。
表情が、やはり幼くなっている。

さっきからチョッパーを見てはキャッキャッと笑っている。



 「あははー!!何かナミかわいいなー!おい遊ぼうぜ!」

 「うん!」



ルフィの後に続いて、ナミはキッチンから飛び出して行った。

クルーもとりあえずナミの後を追って、ぞろぞろと甲板を覗く。

甲板を走り回ったり、メリーの上に乗せてもらったりと、
ルフィと2人で何か仲良く遊んでいる。

普段なら、ありえない光景だった。




 「本当、かわいいわね航海士さん」

 「外見変わってねぇのに、気持ち悪ぃよ・・」



微笑ましい光景を見ながらロビンが言うと、
隣に立っていたゾロは溜息まじりに呟いた。



 「あら、外見まで変わってたら、困るのは貴方でしょ?」

 「・・・・・あぁ?」

 「いろいろと、ね?」

 「・・・・・・・言っとくが、あんな状態のナミはいくら何でも襲わねぇぞ?」

 「あら、そうなの?」

 「・・・・・てめぇ、おれの事何だと思ってやがんだ・・」

 「魔獣、かしらね・・?」

 「・・・・・・・・・」



にっこりと微笑むロビンを、ゾロは殺気混じりで睨みつけるが、
当然ロビンがそんなものに堪えるわけがなく、
さらに笑顔を返されて、ゾロは諦めてはーっと長い溜息をつく。





 「原因はやっぱり酒なのか?」

 「多分・・・。ゾロ、これどこで買ったんだ?」



ウソップの問いに、チョッパーは女部屋から持ってきた、
あの時ナミが飲んでいた酒瓶をじっと見る。



 「知らね」

 「は?」

 「もらった」

 「・・・・誰に?」

 「・・・・知らねぇおっさんに」

 「「「「・・・・・・・・・」」」」



ゾロの答えに、しばらくクルーは沈黙していた。
それを破ったのは、やはりサンジだった。




 「マリモくん!知らない人からモノ貰っちゃいけません!!」

 「何だその言い方!!バカにしてんのかてめぇ!!」

 「してんだよクソ剣士がぁ!!得体のしれねぇモン持って帰りやがって!!
  ・・・・・でもナミさんかわいいなぁvv 純真無垢な天使だなありゃvv」



ゾロに掴みかからん勢いだったサンジだが、
チラリとナミ視線を送ると、一転して格好を崩す。



 「変態」

 「あぁ!?」

 「ロリコン」

 「何だとコラァ!!」



再び喧嘩モードになった2人の間に、チョッパーがあせって割り込む。



 「あーもう!とにかく!おれ酒調べてくるから!ナミの様子見といてね!!」



そう叫んでチョッパーは、色々な道具を抱えてキッチンに戻った。






 「あら、何だか眠そうよ」

 「あ?あー、ガキだからもう眠ぃんだろ」



ロビンに言われて皆がナミの方を見ると、
ルフィと2人でメリーの上に座って海を覗き込んでいるのだが、
ナミは時折アクビをしたり、とろんとした目をゴシゴシとこすっていた。




 「航海士さーん!もう寝なさーい」

 「はーい!」



ロビンの声に振り向いたナミは、返事をしてぴょんとメリーの上から飛び降りた。
ルフィは遊び相手がいなくなって寂しそうだったが、
一人でまたメリーにぶらさがったりしていた。





 「・・・・オフクロかお前は」

 「それもいいわね」



ナミはトテトテと走ってきて、ゾロの腕にしがみついた。



 「何だよ」

 「ナミ、ゾロのおふとんで寝る」

 「・・・・・は?」

 「ゾロ!いっしょに寝よ!!」

 「「「・・・・・・・」」」







ゾロとナミがそういう関係にあるのは、この船の上では暗黙の了解で知られていた。
皆に宣言があったわけではないが、
2人の視線の先や、ゾロが女部屋にちょくちょく出入りしているのを見れば、
その関係は、そう時間はかからずにクルーの知れるところとなった。

とは言っても、こうもあからさまに誘っている(?)場面など、クルーには刺激的であった。

ただし、中身は子供である。
純粋に、『睡眠』という意味なのだが、
外見がいつものナミのため、ゾロの腕に自分の腕をからめて摺り寄るその姿は、
どうもそっちの光景に見えてしまう。



 「ナミ、いい子だからロビンと寝ろ?」

 「ダメダメダメ!ナミさんそんなのと寝たらヤバイよ!!!!」

 「何がだコラ」

 「やだーー!!ゾロと寝るの!!!」



サンジとウソップがナミをどうにか説得して引き剥がそうとするが、ナミはゾロの腕にしがみついて離れない。
それどころか余計に密着している。



 「刷り込みみたいなものかしら」

 「あぁ?」

 「子供になって、最初に見たのが剣士さんでしょう。懐かれちゃったわね、貴方」

 「・・・・・・」

 「ゾロ、だめ?」



ナミはじっとゾロの目を覗き込む。



 「一緒に寝てあげなさいよ。何かお話でも読んであげれば?」

 「冗談・・・・・」

 「私、見張り台に行きましょうか?」

 「・・・・だから、襲わねぇって・・・」

 「当たり前だボケ!天使を襲うなんて言語道断!!!!」

 「ゾロ、中身は子供なんだからな、そのへんをな」




うんざりしながらゾロはまた盛大に溜息をつく。



 「どいつもこいつも、おれを何だと思ってるんだ・・・」

 「「「魔獣」」」

 「・・・・斬られたいか?」

 「ゾロ、おふとん行こ」




結局ゾロは、女部屋のナミのベッドで一緒に眠ることになった。
ゾロが必死に『妙なことはしねぇ!!』と主張するので、
その発言を信用し(+万が一のために byサンジ)、ロビンもそのまま女部屋で眠った。














 「ねぇゾロ!」

 「あ?」



シーツの間で、ナミはゾロの胸に寄り添っていた。
ゾロは、これはまだガキだガキだ、と心中で念じつつ、
ナミの頭を撫でながら寝かしつけていた。


 「ナミね、ゾロのおよめさんになりたいな」

 「・・・・・・・あ?」



ナミは恥ずかしそうに、そう言った。
一瞬何を言っているのかと、ゾロは固まってしまった。



 「およめさんにして」

 「・・・・・・・」

 「だめ?」

 「・・・・・・・いや・・・・」

 「じゃあ、ナミ、ゾロのおよめさんね!!!」

 「・・・あぁ・・・」

 「約束!!」



嬉しそうに、ナミは自分の小指を立ててゾロの顔の前に出す。



 「・・・・約束、な・・」



ゾロも仕方なく、自分の小指を立ててナミのそれと絡ませる。
ナミは満足気に笑って、ゾロの胸にうずまった。
そうしてすぐに小さな寝息を立て始める。






ナミが寝たのを確認して、ゾロがはーっと息を吐くと、
ロビンの笑いをこらえる声が聞こえてきた。



 「笑うな・・・・」

 「だって・・・貴方たち、かわいすぎ・・・」



そう言ってロビンはまた笑いを耐える。



ほざいてろ、とゾロは呟いてナミを抱きしめる。
その頭を撫でながら、頼むから明日には元に戻っててくれ、と願うのみだった。
このままナミがこの状態なら、心身ともに、もたない。







翌朝、元に戻ったナミは何一つ覚えておらず、
『ロビンがいるのにあんたココで何してんのよー!』と起き抜けにゾロを殴り飛ばし、
ゾロは『しばらくあのままでも大人しくてよかったな・・』と後悔した。



「体は大人で中身は子供なナミ×ゾロ+ALL、最後は元通り」
10/19に拍手でリクくれた方。
こんなモンで・・・・・ダメ?
最後は何とか元に戻ってます(逃)。

2005/11/13

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