三。






今日着いた島は、それなりに賑やかだった。



午後からナミはゾロを荷物持ちに従えて一緒に出かけ、
日用品などの買い物を済ませていったん船に戻り、
嫌がるゾロを連れて、また町に出ていった。









 「めんどくせぇ・・・」

 「何よ!たまにはデートしたっていいじゃない」

 「毎日船で顔合わせてんのに・・・・」

 「気分が大事なの!気持ちの問題!」

 「へーへー」




俯いてブツブツと文句をたれるゾロの腕に、
ナミは自分の腕をからめる。

チラリとゾロが視線を寄越したので、
ナミはにっこりと微笑んでみせた。

それを見たゾロは、溜息をついて顔を上げた。

結局、ナミには逆らえないのだ。




 「夕食、オゴってあげるから」

 「当たり前だ、おれは金が無ぇ」

 「威張って言うな!」
















島の中心部、様々な店が立ち並ぶメイン通りに、2人は再びやってきた。

夜になりライトアップされた通りは昼間の雰囲気とは変わり、
淡い光に浮かぶのは家路を急ぐ人や、これから2人の時間を過ごす恋人たちだった。
時折、仲良く手を繋ぎあった家族の姿もある。



そんな人ごみの中に、ゾロは見慣れた姿を発見した。




 「チョッパー」

 「え?どこ?」



ナミがキョロキョロとゾロの視線の先を追うと、チョッパーが紙袋を抱えて歩いていた。




 「チョッパー!!」



ナミが声を上げて呼ぶと、
チョッパーはすぐに気付いて、嬉しそうに2人の元に走り寄ってきた。






 「欲しい本、買えたの?」

 「あぁ!偶然見つけたんだ!」



チョッパーは笑って、嬉しそうに紙袋をナミたちに向けて掲げてみせる。



 「2人とも、まだ買い物か?」

 「ううん、私達はもう済んだわ。今から晩ゴハンよ」

 「あ、そっか。各自だったな」

 「チョッパーは?もう食べた?」

 「ううん、今から食べるトコ探すんだ」

 「じゃあおれらと食うか?」

 「・・・・・え、でも、おれ、・・邪魔じゃない・・・?」




ゾロの申し出に、チョッパーは一歩後ずさり2人の顔を交互に伺う。






 「やーだチョッパー!何言ってんのよ」



その様子にナミはケタケタと笑う。
ゾロも苦笑しつつ、チョッパーを優しく見つめる。




 「早く行こ、オナカすいちゃった」

 「あぁ、それになチョッパー、今日はナミのオゴリだぜ?」

 「・・・・しかたないわね、今日だけよ2人とも!」




そう言いながら、ゾロはチョッパーの持っていた本の包みをひょいと奪う。
ナミはチョッパーの後ろ頭をポンと叩いて、前へ促す。



 「ほら、行くわよチョッパー?」

 「置いてくぞ」

 「・・・う、うん!!」
















しばらく歩くと、ナミが店を見つけた。


建物の間にひっそりと佇むその店は、
お世辞にも繁盛しているとは思えなかった。

だが、窓から覗くとチラチラと家族連れの客の姿がある。

レンガの壁や、豪勢にではなく自然に置かれた緑の植物、淡い色のライトなど、
落ち着いた雰囲気を出していて、さらに奥にはワインラックにかなり種類豊富なワインが並んでいた。

別に上品な店ではないのだが、
酒を飲んで騒ぎまくる、といった店でもない。

ゾロもここなら静かに飲めるな、と思いナミの後に続いた。








扉を開けると、ウェイターが笑顔で出迎えてくれた。





 「本日はファミリーデーとなっておりまして・・・」

 「あら、いいわね」

 「お客様、ご家族でしたらサービス・・が・・・・・えと、お子様・・ですか・・?」



二足歩行のトナカイを見て、店員はゴシゴシと目をこする。
チョッパーはビクビクとゾロの足にしがみつき、その後ろに隠れる。






 「親子ですv」



にっこりと微笑んで、ナミはそう言った。



 「・・・あの、失礼ですが、お二人の・・お子様で・・・?」



店員は微妙な表情で3人の顔を代わる代わる見る。



ゾロはチョッパーを抱上げ、肩の上に乗せた。


 「あぁ、おれの子だ」



ニヤリと笑って、言い切った。



 「チョッパーは私とゾロの、かわいい息子よ?」

 「なぁ?」



そう言いながら目を見合って笑う2人に、



 「それではどうぞ!」



とウェイターはにこやかに店内へと促した。
















 「ご家族でいらした方には、お飲み物とデザートが本日無料となっております。
  お決まりになりましたらお呼びくださいませ」




そう言ってウェイターは、丁寧なお辞儀を残して消えた。




 「どうしたのチョッパー?」



ナミはメニューを見ながら、
椅子に座って俯いているチョッパーに声をかける。



 「・・・だって、親子って・・」



チョッパーは嬉しいのか遠慮しているのか、
微妙な表情で呟いた。



 「・・・・いやだった?」

 「いやじゃない!いやじゃない、けど・・・おれ、トナカイだし、2人の子供ってムリがある・・」



まぁ最もな意見だが、
ナミはそんなチョッパーのおでこをビシっとつついた。



 「何で?私たち家族でしょ?ねぇ?」

 「あぁ、全然ムリじゃねぇな」



ゾロとナミは真面目な顔でウンウンと頷く。
それを見てチョッパーは、おずおずと2人に聞く。



 「・・・・ゾロとナミが、お父さんとお母さん?」

 「私たちじゃ、イヤ?」

 「いやじゃない!!すごく嬉しい!」

 「よかった!」



頬を染めて叫ぶチョッパーに、ナミも嬉しそうな笑顔を返す。















 「しかしドリンクにデザートって、太っ腹な店だな」

 「でしょー?味も結構いいのよ」

 「何だ、お前ここ知ってたのか?」



運ばれた料理を口に運びながら、ゾロは驚いてナミを見た。



 「3ヶ月に一回なのよ、このサービス。ちょうど時期があったから、来れたらいいなとは思ってたの。
  この店、穴場の美味しい店ってことで有名なのよ」

 「計画的か」

 「まぁ、チョッパーと会ってから思い出したんだけど」

 「ふーん」

 「たまには家族で外出しなきゃね! 美味しい、チョッパー?」



ナミはそう言ってチョッパーに首をかしげながら笑いかける。



 「うん!美味い! 美味いけど、でも!でも!サンジのメシのが美味いなやっぱり!」



チョッパーは口一杯に頬張った料理を急いで飲み込んで、そう答えた。



 「あはは!!そうね、サンジくんのは私たちのオフクロの味ってヤツだもんね」

 「てことは、チョッパーのばあちゃんだな・・」

 「・・・・・・ゾロ・・それはちょっと、さすがにサンジくんがカワイソウよ・・・」



そうは言いながら、ナミは笑いをこらえる。



 「せめておじいちゃんに・・・っ」

 「それもどうなんだ」

 「サンジはじーちゃんかー」

 「お前、それコックの前で言うなよ?非常食が常食になっちまうぞ?」

 「・・・・・言わない!!」

 「じ、じーちゃん・・・っ」

 「いつまで笑ってんだお前」









料理に続いてドリンク(というか酒)とデザートを堪能したあと、
3人は仲良く手を繋いで、船に戻った。








サンジの顔を見て、思い出し笑いを必死にこらえたのは内緒の話。






「ゾロナミチョパの親子話」
10/19に拍手でリクくれた方。
親子ですかねコレ。
親子できてますかねコレ。
親子だってば(押し付け)。

オマケのようにサンジくんが登場(笑)。

2005/11/07

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