巻。









 「・・・・これは誰が包んだんだ?」







夕食後、皆からキッチンに呼び出されたゾロは、
目の前のモノを見下ろしながら尋ねた。







 「おれとロビン!」



ルフィが得意げに答える。



 「あぁ・・・なるほど・・・」



そりゃナミも逆らえねぇな、と思いながら、
再び目を下ろす。









ゾロの前には、ナミが座っていた。
正確には、座らされていた。
さらに言うと、
グリーンのリボンで、キレイにグルグル巻きになって、座らされていた。



両腕は肩の少し下あたりまで体と一緒に巻かれており、
膝まで両足がまとめられているので、
座り込むしかできないようだった。
リボンは首元で、蝶々結びされて終わっている。

こんな風に全身巻けるほどの長いリボンをどうやって巻いたのか、と疑問だったが、
ロビンがいるなら、不自由なくできただろう。
ルフィとロビン、この2人の手にかかっては、
さすがのナミの抵抗も敵わなかったようだ。


ナミはかなり不機嫌な顔で、そっぽを向いていた。
顔は別に巻かれていないので、
文句を言おうと思えばいくらでも言えるのだが、
むすっとした顔で口をつぐんでいる。








 「・・・・で?何なんだ?」

 「誕生日のプレゼントだ!」



ルフィがそう叫ぶと、
ナミはルフィにギロリと殺意のこもった視線を送る。
もちろんルフィは気にしない。
本人的には、ものすごくいいプレゼントを贈ったと思っているのだから。






 「・・・・おい、まさかあれもプレゼントだとか言わねぇよな?」



ゾロがキッチンの隅を指差す。
そこには、同じようにリボンで、こちらは足の先まで簀巻きにされ転がっているサンジがいた。




 「あ?あぁ、サンジか!あいつうるせぇんだ。あっちもいるか?」



ナミと違い、口までしっかり塞がれ、
サンジは恨みがましく皆を睨んでいる。




 「いらねぇよ。まぁ、静かでいいな・・・」

 「てことでゾロ!プレゼント、受け取れ!」

 「あぁ、ありがたく貰ってくよ」



そう言ってゾロはナミを肩の上に荷物のように抱え上げ、
女部屋へと消えた。
















 「ししし!ゾロ嬉しそうだったなー!」

 「んー!んー!!んーーーー!!!!」

 「あ、サンジ、悪ぃ悪ぃ」




ゾロが去って、またサンジが苦しそうに暴れ出したので、
ウソップはサンジのリボンをほどいてやった。


ようやく口の拘束を解かれたサンジは、
その瞬間にわめきだした。




 「てめぇら何でクソマリモにナミさんをーーー!!!!」




緩まったリボンを引き千切りながら、
サンジは立ち上がり叫んだ。




 「だってあいつら、うっとーしぃんだよ」

 「うっとーしぃってお前・・・」



しれっと答えたルフィに、サンジは思わず絶句する。



 「さっさとヤっちまえばいいんだよ」

 「・・・・お前、いつの間にそんな大人に・・・」

 「サンジ、親父くせぇなー」

 「うるせぇ!!」






とりあえず残ったクルーは、女部屋には近づかないように、
キッチンでケーキの残りを食うことになった。




















 「あんたねー!何考えてんの!!!」

 「何が」



一方、女部屋に下りたゾロは、
ナミをソファの上に座らせて、自分はカウンターで酒を物色し始めた。


運ばれている最中は無言で怒りのオーラを出していたナミだったが、
ソファに下ろされた瞬間、怒鳴り出した。




 「私がプレゼントvv なんてふざけてるにも程があるでしょ!!ノってんじゃないわよ!!」

 「そうか?」

 「そうかって・・・」




不思議そうな顔を向けたゾロに、ナミは顔を引きつらせる。




 「ま、心配すんな。別に襲ったりしねぇよ」

 「・・・・・・・あ、そう・・・?」

 「何だよ、何かヤリたかったのか?」

 「・・なっ、!ばっ!ばか!違うわよ!誰がそんなこと!!」




ゾロがからかうように笑ったので、
ナミは真っ赤になって慌てて否定する。
その様子に、ゾロの顔が少し険しくなった。




 「ちっ、何だよ・・」

 「・・・何よそれ」

 「てめぇ、気付いてねぇとは言わさねぇぞ」

 「・・・・・な、何に」




ゾロはナミを睨んだ。
ナミは一瞬たじろいだが、すぐに負けじと睨み返す。

しばしのにらみ合いの後、ふいっとゾロは視線を背け、
選んだ酒をグラスに注ぐ。





 「誕生日だしな、それくらいの祝いがあってもいいかなとは思ったんだが・・・」




一気にグラスを煽り、テーブルにどんと置く。




 「ま、そう上手くはいかねぇよな」


 「・・・だから、何なのよ!」




ゾロの曖昧な発言に、ナミはイラついて叫ぶ。






 「とりあえず、てめぇと2人にはなれた」





ゾロはニヤリと笑う。





 「それでもまぁ、ヨシだ」

 「・・・・・・・・・」

 「それにせっかくのあいつらからのプレゼントだからな、ちゃんと貰っとかねぇとルフィがうるせぇだろうし。
  おい、お前も飲むか?」

 「・・・・元々それ、私のお酒でしょ」

 「ははっ、そりゃそうだ」








何だか嬉しそうなゾロを、ナミはじっと見つめる。
ゾロはまたカウンターの奥をゴソゴソと漁り、別の酒を引っ張り出す。








 「・・・・あんた、私のこと好きなの?」

 「・・・・・改めて言うなコラ」



ナミの方を向きもせず、ゾロは素っ気無く答えた。






 「・・・な、によ。はっきり言えばいいのに」



うっすら頬を染めつつ、ナミはわざと冷たく言った。



 「はっきり言ったら、どうなるんだ?」

 「・・・・何かいいこと、あるかも・・・しれないわよ?」



 「たとえば?」


 「・・・あんたが今考えてるようなことよ」






そう言って、魔女の笑みをゾロに送る。







 「・・・・・そりゃいいな」

 「とりあえずさ、リボン取ってくれない?息苦しくてコレ」




酒瓶をカウンターに置き、ゾロはゆっくりとナミ近づいてその正面に立ち、
首もとの蝶々結びされたリボンに手をかける。





 「・・・・これ、下、着てんのか?」

 「・・取ったら、分かるわ」

 「なるほど」










それから女部屋で何があったのか、
他の皆にあえて報告はなかった。






「リボンでデコレーションされたナミがプレゼント」
10/16に拍手でリクくれた方。
とりあえず、巻いてみた(笑)。
グリーンのリボンって微妙ですかね。
無難にピンクでしたかね。
うぅむ。

2005/11/03

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